◎南東部の港湾都市マリウポリにとどまっている住民は10万人以上と考えられている。
2022年4月14日/ウクライナ、首都キーウ、世界食糧計画のビーズリー事務局長(Evgeniy Maloletka/AP通信)

国連世界食糧計画(WFP)のビーズリー事務局長は14日、ロシア軍に包囲されたウクライナ南東部マリウポリの住民が飢餓に直面していると警告した。

ビーズリー事務局長はAP通信のインタビューの中で、「今後数週間のうちにロシア軍が東部地域への攻撃を強化すれば、進行中の人道的危機はさらに悪化する」と述べ、即時の停戦、人道回廊の設置、住民の避難、支援物資の輸送許可を求めた。

また事務局長は、穀物の輸出国であるロシアとウクライナの争いは欧州から遠く離れた貧しい国々を不安定化させ、ウクライナ以外の国でも移住や亡命の波を引き起こす可能性があると警告した。

WFPや赤十字社は東部ドネツク州の近くで活動しているが、ロシア軍の砲撃に巻き込まれる可能性があるとして、マリウポリには近づけずにいる。

ビーズリー事務局長はマリウポリへの支援物資輸送が行えないことを嘆いた。「ロシア軍の砲撃がやむとは思えません...」

東部地域の最前線の戦況はほとんど明らかになっていないが、ロシア軍に包囲されたと伝えられている地域に近づくことは間違いなく困難になっている。

ビーズリー事務局長はアクセスの欠如だけでなく、戦争に多くの資源が投入され、人手や燃料が不足していることも問題と指摘した。「今後数日、数週間、数カ月先の状況は今よりもっと複雑になる可能性が高いと思います。最前線の地域の状況は悪化し、さらに前線が移動することで、別の地域の状況も悪化するでしょう」

マリウポリにとどまっている住民は10万人以上と考えられている。住民たちは2月24日の開戦以来、ロシア軍の砲撃に耐え、食料、水、医薬品、その他の日用品を分け合って生活している。

WFPはロシアに支援物資の輸送を許可するよう求めているが、ロシアは要求を拒否している。

ロシアは2014年に併合したクリミア半島と東部の一部地域を支配するテロ国家(ルガンスクとドネツク)の領土を陸上回廊で結びたいと考えており、その中間に位置する港湾都市マリウポリの奪取に固執している。

ビーズリー事務局長は世界を代表する穀倉地帯であるウクライナが戦地になったことで、世界規模の悲惨な食糧危機が発生すると警告した。

ビーズリー事務局長は先月の国連安全保障理事会でも、「戦争は第二次世界大戦以来見たこともない規模の移住・亡命を引き起こす可能性がある」と警告していた。

ロシアとウクライナの小麦供給量は世界の30%、ヒマワリ油は75%を占めている。WFPが世界の貧しい国々に供給している穀物の50%がウクライナ産である。

WFPによると、ウクライナに保管されている輸出向けの穀物約3,000万トンが出荷を待っているという。

ウクライナの農家は肥料や種子の入手に苦労しており、なんとか作付けできた農家も戦争が長引き出荷の手段がなければ、収穫物をダメにする可能性があると警告している。

ビーズリー事務局長は、「WFPは支援を必要としている数百万人への配給を半減させざるを得ず、さらに減らすことになるかもしれない」と説明した。「マリウポリでも餓死者が出るかもしれません」

2022年3月11日/ウクライナ、東部ドネツク州マリウポリ(Evgeniy Maloletka/AP通信)
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