◎テドロス事務局長「貧しい国々の人道的危機が平等に扱われていないのは、恐らく苦しんでいる人々が白人ではないからだ」
2021年5月15日/スイス、ジュネーブのWHO本部、テドロス事務局長(Denis Balibouse/ロイター通信)

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は13日、世界は黒人と白人の生活に影響を与える人道的危機を平等に扱っていないと指摘した。

テドロス事務局長は定例会見の中で、「貧しい国々の人道的危機が平等に扱われていないのは、恐らく苦しんでいる人々が白人ではないからだ」と述べた。

またテドロス事務局長はエチオピア、イエメン、アフガニスタン、シリアで起きている緊急事態は、ウクライナに対する世界の関心のほんの一部に過ぎないと指摘し、「世界は本当に黒人と白人を平等に扱っているのか」と疑問を投げかけた。

テドロス事務局長はロシア・ウクライナ戦争が世界規模の緊急事態であることを認めたうえで、他の危機にも注意を向けるべきと訴えた。「世界は人類を平等に扱っていないと率直に申し上げたいのです。ある者は白人を優先すべきと示唆します。非常に受け入れがたいことですが、現実にそれが起きています」

テドロス事務局長は先月、生まれ故郷のエチオピア北部ティグライ地方で数百万人規模の飢餓が進行していることに懸念を表明し、国際社会に支援を呼びかけていた。エチオピア政府は3週間前に休戦を宣言した。

しかし、WHOや現場で活動している人権団体などによると、休戦以降、人道物資を積み込んだトラック約2,000台が速やかにティグライに入ると期待されていたが、現地入りできたのは30台に満たないという。

テドロス事務局長は「こうしている間にも、ティグライの住民は餓死している」と述べ、国際社会と戦争当事者に行動を起こすよう改めて呼びかけた。

またテドロス事務局長はティグライの現状を「悲劇」と呼び、「世界が正気に戻り、すべての人間の命を平等に扱うことを望む」と述べた。

国連によると、ティグライでは子供を含む数百万人が深刻な飢餓に直面し、水、燃料、電気、通信、インターネットアクセス、銀行などの基本サービスが復旧する見通しは全く立っていない。

1年半にわたる内戦の結果、200万人以上が自宅を失い、全国で少なくとも900万人が食糧支援を必要としている。

また国連はイエメンで進行中の飢餓を世界最悪を呼び、支援の強化を呼びかけている。また、経済崩壊の瀬戸際にあるアフガニスタンでも2,400万人以上が人道支援を必要としている。

シリア内戦の死者は推定50万人、数百万人が近隣隣国や欧州に逃亡した。

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