◎フランスは戦争に巻き込まれたくない。
フランスのマリーヌ・ル・ペン党首は13日、ウクライナにこれ以上兵器を送らないよう警告し、ロシアのウクライナ侵攻が収まれば「NATOはロシアと和解すべき」という見解を示した。
極右政党国民連合を率いるル・ペン党首は4月24日の大統領選決選投票でマクロン大統領と対決する予定である。
ル・ペン党首は当選した場合、フランス軍をNATO軍司令部から引き離し、EUに対する支援を縮小すると公言している。
中道のマクロン大統領はウクライナ侵攻の経済的影響が低中所得者層の生活を直撃したことにより、厳しい戦いを強いられている。
一部の専門家は西側諸国が対ロシア制裁を強化する中でル・ペン大統領が誕生すれば、西側の結束が弱まる可能性があると懸念している。
ル・ペン党首は13日の会見でウクライナへの軍事支援について問われると、「防衛と情報支援を継続する」と述べた。「しかし、兵器の供与は控えるべきです。なぜか?なぜなら...支援国と交戦国の境界線は薄いからです」
ル・ペン党首は兵器を供与すれば戦争をエスカレートさせ、フランスも戦争に巻き込まれる可能性があるという見方を示した。
一方、政府報道官は13日、フランスはここ数週間でウクライナに1億ユーロ(約137億円)相当の兵器を供与したと明らかにした。
マクロン大統領はプーチン大統領と何度も接触し、ロシアと欧米の関係を改善しようと試みたが、交渉は失敗に終わっている。
それ以来、フランスはEUの対ロシア制裁を支持し、ウクライナに兵器を含む多くの支援を提供してきた。
ル・ペン党首は、「フランスは米国主導のNATO軍事同盟ではなく、より独立した道を歩むべきである」と述べた。
またル・ペン党首は、ロシア軍がウクライナで行った大量虐殺には触れず、「侵攻が収まればNATOはロシアとの戦略的和解を模索すべき」という見解を示した。「戦略的和解はロシアが世界の大国である中国とより強力な同盟関係を築くことを阻止し、フランスと欧州、そして米国にとっても利益になると思います」
ル・ペン党首は決選投票に先立ち、フランスへの入国を希望する「望ましくない」移民を引き取らない限り、アフリカ諸国への援助を停止するなどの外交政策を発表している。
また、貧しい国々における女性の生殖と健康の改善、少数派の権利の拡大、環境問題の解決といった国際的な取り組みへの支援も削減する意向を示した。
AFP通信によると、13日のイベントにプーチン大統領とル・ペン党首が2017年に会談した写真を掲げて登場した活動家が警察に引きずり出されたという。人種差別に抗議する団体は会場外で抗議デモを行った。
パリに拠点を置く人権NGO「SOS Racism」の代表はAP通信の取材に対し、「ル・ペン氏の当選はフランスがプーチン崇拝、独裁政権、プーチン帝国主義を選択したことを意味します」と語った。
ル・ペン党首は2014年のクリミア併合を支持していたが、批判が相次いだことを受け、方針を転換している。