◎イランは核を平和利用すると述べているが、西側の主要国、湾岸諸国、そしてイスラエルは核兵器がテロリストの手に渡ることを警戒している。
イランの国営メディアは9日、同国のエブラヒム・ライシ大統領が核開発を継続すると表明したと報じた。
ライシ大統領はイランの「原子力技術の日」を記念する式典で、「平和的な原子力技術の研究加速を支持する」と述べた。
またライシ大統領は米国の制裁を念頭に置き、「核分野におけるイランの知識と技術を止めることはできず、他者はイランの平和的な核開発に干渉できない」とけん制した。
西側の当局者は2018年に崩壊したイラン核合意を復活させるためにウィーンで奮闘しているが、AP通信などによると、協議再開の目途は立っていないという。
イランは核を平和利用すると述べているが、西側の主要国、湾岸諸国、そしてイスラエルは核兵器がテロリストの手に渡ることを警戒している。
イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止しているが、国際原子力機関(IAEA)が先月初めに公表したレポートによると、イランは60%の高濃縮ウランを30kg以上の保有し、その量を増やし続けている。
<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用
AP通信によると、9日の式典では医療用アイソトープ(放射性ヨウ素内用療法)、農業用殺虫剤、無害化装置、核燃料物質など、民生用核の成果が展示されていた。
イランの民間原子力機関の責任者であるエスラミ氏は式典の中で、「イランは間もなく、36万kWの新しい原子力発電所の建設を開始することになるだろう」と述べた。
この原発は1979年のイスラム革命前に建設される予定だったが、初期段階で中止が決まった。1980年に勃発したイラン・イラク戦争はこの建設予定地が主要な戦場になった。
イラン唯一の原子力発電所(100万kW)は2011年にロシアの支援で南部の港湾都市ブシェールに建設され、運用を開始した。
一方、イラン外務省は9日、イランに損害を与える役割を果たしたとして、米政府高官16人に制裁を科したと発表した。
リストにはケーシー元イラク駐留軍司令官、中央軍のボーテル元司令官、ミラー元アフガニスタン駐留軍司令官使など、トランプ政権時代の政府関係者が含まれている。
イランは多くの米政府高官に制裁を科している。
今年1月には2020年のソレイマニ将軍殺害に関与した米政府関係者50人以上に制裁を科した。2021年にはトランプ前大統領とポンペオ前国務長官を制裁対象に追加している。