◎全財産を失ったという女性実業家はワヒーン市場を「ソマリランドの魂」と呼んだ。
2022年4月3日/ソマリランド、首都ハルゲイサの市場(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

ソマリランド政府は3日、首都ハルゲイサのワヒーン市場で発生した大規模火災により、20億ドル(約2,400億円)相当の資産が焼失したと発表した。

火災は1日の夜遅くに発生し、夜明け前に鎮火した。火元は特定されておらず、警察によると少なくとも28人が負傷した。死者は報告されていない。

ワヒーン市場はハルゲイサの住民の台所であり、商工会議所によると、市の経済の40~50%が市場に集まっていたという。

ラマダンの前夜に発生した火災は国民に絶望を与えたが、市場を再建するという政府の発表は国民を連帯させ、国際社会も支援を表明している。

市場の再建に向けた取り組みを主導する専門家チームは3日に公表した報告書の中で、15億~20億ドル相当の資産が焼失したと報告した。

火元はまだ特定されていないが、ワヒーン市場の関係者は電気接続の不備または故障が原因と指摘している。

一方、ソマリア政府によると、同国のモハメド大統領はソマリランドのアブディ大統領と電話会談を行い、市場の再建や支援の問題などについて協議したという。

2017年に大統領に就任したアブディ氏は、国際社会にソマリアからの独立を認めるよう求めている。ソマリランドは1991年にソマリアから独立したが、国連加盟国はこれを認めていない。

イギリスのジョンソン首相は市場の再建に向けた取り組みを支援するとツイートした。「ソマリランドの経済の中心である青空市場の火災は、多くの中小企業や露店に影響を与えました。イギリスは再建に向けた努力を支援するためにできる限りのことをします...」

市場で働いた男性はAP通信の取材に対し、「打ち砕かれている」と語った。「私たちはラマダンの初日に大打撃を受けました。この市場で生計を立てていた人を助けてください...」

全財産を失ったという女性実業家はワヒーン市場を「ソマリランドの魂」と呼んだ。

ソマリランドは国際的な承認は得ていないものの、ソマリアに比べると治安ははるかに安定し、通貨と安全保障システムも機能している。

政府の推計によると、同国の若者の失業率は60~70%と極めて高く、ワヒーン市場は若者の生活を支える生命線のひとつだったという。

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