◎25日に14人、26日には62人が殺害され、1992年の内戦終結以来、24時間で最も多くの殺人を記録した。
エルサルバドル政府は27日、1日に数十件のギャング関連殺人事件が発生したことを受け、非常事態を宣言した。
警察によると、25日に14人、26日には62人が殺害され、1992年の内戦終結以来、24時間で最も多くの殺人を記録したという。
議会は27日に非常事態宣言の発令を承認した。これにより、集会の権利が制限され、令状なしの逮捕や通信の監視が可能になった。逮捕規則の緩和期間は30日間だが、延長される可能性もある。
警察によると、2021年の殺人事件数は1,140件で、この30年で最も少なかったという。しかし、それでも人口10万人あたり18人が殺害され、11月には暴力事件が頻発し、3日間で40人以上が殺害された。
一方、警察は27日未明、マラ・サルバトルチャ(MS-13)のリーダー5人を逮捕したと発表した。
MS-13は中米と米国で活動するギャングで、エルサルバドル内戦から逃れた難民などが1970~1980年代に結成したと考えられている。生業は殺人、恐喝、麻薬密売。構成員数は3万人以上と推定されている。
ナジブ・ブケレ大統領はツイッターに、「殺人事件が再び急増した」と投稿した。「犯罪者を取り締まる一方、事件が急増した理由、犯罪者に資金を提供している者などを解明しなければならない」
ブケレ大統領は組織犯罪との戦いと治安の改善を公約に掲げて2019年に選出された。
カストロ議会議長は非常事態宣言承認後、「警察や兵士に仕事をさせ、国民をギャングから守らなければならない」とツイートした。
一方、人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチは27日、逮捕規則の緩和に懸念を表明した。
警察によると、殺人事件は全国各地で発生し、中部の町で12人、首都サンサルバドルと西部の都市でそれぞれ9人が殺害されたという。
ブケレ大統領は2020年4月に3日間で50人以上が殺害されたことを受け、収監中のギャングの自由を厳しく制限する措置を導入した。
ブケレ大統領は「殺人の多くは獄中から指示されたもの」と指摘し、敵対するギャングの囚人と外部の連絡網を断ち切る必要があると述べていた。