◎ロシア軍は16日、民間人1,000人以上が身を寄せていたとされる劇場を空爆した。
3月17日、ウクライナ東部マリウポリの当局者によると、ロシア軍の空爆で崩壊した劇場の救助活動は思うように進んでいないという。
ロシア軍は16日、民間人1,000人以上が身を寄せていたとされる劇場を空爆した。避難者の多くは戦闘で自宅を失った女性や子供と伝えられているが、詳細は分かっていない。
AFP通信などによると、空爆から1日以上経過したものの、死傷者が見つかったという情報は確認できていないという。戦地周辺のインターネット通信は途絶えているため、情報の伝達に時間がかかると伝えられている。
マリウポリ市役所の担当者はAP通信のインタビューの中で、「劇場下のシェルターに避難した人々は生きていると信じている」と語った。
ウクライナ軍が提供したビデオと写真によると、劇場の屋根はほぼ崩壊し、外壁も大きく損傷しているように見えた。
メッセージアプリのテレグラムには「避難所は持ちこたえている」という投稿が寄せられている。投稿によると、市民の一部は空爆後、外に出ることができたという。
マリウポリは東部の貿易の拠点のひとつであり、ロシア軍はそこを制圧することで首都キエフへの圧力を強めたいと考えているが、ウクライナ軍の激しい抵抗を受け、本格的な攻撃開始から数日たった今も制圧できずにいる。
主要メディアによると、市内の一部地域は「Z」のマークを付けた分離主義者に占領されたように見えるという。マリウポリのあるドネツク州は分離主義者の拠点のひとつである。
劇場への空爆は過去数日の間に複数の都市で行われた民間施設に対する猛烈な爆撃の一部だった。
北部のチェルニヒフでも空爆と地上戦が展開され、地元当局によると、16日から17日の間に少なくとも53人の死亡を確認したという。救急隊は別の声明で、子供3人を含む民間人少なくとも5人の死亡を確認したと伝えている。
ロシア軍は15日にチェルニヒフの食料配給所を攻撃し、配給を待っていた市民少なくとも10人を殺害した。AP通信によると、配給を待っていた市民の中には米国民も含まれていたという。
第二の都市ハリコフに近いメレファでは17日未明に学校と公民館が爆撃され、市長によると、少なくとも21人が死亡した。メレファへの侵攻も停滞していると伝えられている。
ゼレンスキー大統領はドイツ連邦議会の演説で、子供108人を含む数千人が死亡したと述べ、さらなる支援を求めた。また、マリウポリの悲惨な状況にも言及し、「ロシア軍は民間人を含むあらゆる施設を標的にしている」と述べた。
国連安全保障理事会では世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が医療機関に対する攻撃に深刻な懸念を表明した。WHOによると、17日時点で病院や医療施設に対する43件の攻撃を確認し、少なくとも12人が死亡したという。
テドロス事務局長は「ウクライナが必要としている薬は平和」と述べ、即時の停戦とウクライナへの医療支援を呼びかけた。