◎自動車などを乗せた貨物船はイラン南部の港から約50kmの地点で荒波にもまれ沈没した。
イランの港湾当局は17日、南部沿岸のペルシャ湾でUAE(アラブ首長国連邦)船籍の貨物船が沈没したと発表した。
当局によると、貨物船は南部の港から約50kmの地点で荒波にもまれ沈没したという。イラン沿岸警備隊が現地に派遣され、乗組員の救助作業にあたった。
アルジャジーラによると、乗組員30人のうち29人が救助されたという。1人の安否は不明。
イランの危機管理担当室は国営IRNA通信に、「現地に派遣された2隻の救助艇は行方不明者の捜索活動を継続している」と説明した。
予報官によると、事故当時、ペルシャ湾では強い北西風が吹いていたという。当時の海域の風速は20m/sと予想されていた。
貨物船の所有者であるサレム・アル・マクラニ・カーゴ社の広報担当はAP通信の取材に対し、「アルサルミー6号は強風と荒波にあおられ、沈没した」と語った。
サレム・アル・マクラニ・カーゴ社はドバイに本社を置き、自動車の輸送を専門に扱っている。同社によると、貨物船は数日前にドバイで自動車やその他の貨物を積み、イラク南部のウンム・カスルに向かっていたという。
乗組員はスーダン、インド、パキスタン、ウガンダ、タンザニア、エチオピア人で構成されていたと伝えられている。
石油資源の豊富な湾岸アラブ諸国の貨物船はペルシャ湾からホルムズ海峡を通って世界各地に原油を供給している。
この海域で貨物船が沈没することは稀である。ただし、季節の変わり目には強風が吹き、大荒れになることも珍しくない。
イランの気象当局は16日、ペルシャ湾に面するブーシェフル州の近海で20m/sの突風とそれに伴う高波が観測されたと述べていた。当局は今後数日は荒天が続く可能性があると警告し、湾を通過する貨物船やその他の船舶に警戒を呼びかけている。