◎キプロスの移民受付数は人口1人当たりに換算するとEU加盟27カ国の中で最も多い。
2022年3月14日/キプロス、首都ニコシア郊外の移民収容センターを視察するアナスタシアディス大統領(Petros Karadjias/AP通信)

キプロスのアナスタシアディス大統領は14日、首都ニコシアの郊外にあるポルナラ移民収容センターを視察し、同センターを含む移民受け入れ施設の状況をより人道的にすると約束した。

ボルナラ収容所の環境は収容人数が増加したことで著しく悪化し、人権団体やメディアから厳しく批判されていた。

アナスタシアディス大統領は視察後の会見で、「移民の流入が引き起こした収容所の問題は適切に処理される」と述べた。

キプロスで子どもの権利保護にあたっている団体のミハライドゥ氏は先週、AP通信のインタビューの中で「収容所の食事、シャワー、その他の衛生設備は明らかに欠如している」と述べ、施設内の状況を「悲惨」と表現した。

キプロスの移民受付数は人口1人当たりに換算するとEU加盟27カ国の中で最も多い。

アナスタシアディス大統領は、「人口の5%近くが移民希望者であることを踏まえると、今回のような事態に発展することは容易に想像できる」と述べ、EU当局にさらなる支援を求めた。

ノウリス内相は14日、ポルナラ収容所の未成年356人のうち92人をホテルに移し、150人の宿泊先を探していると明らかにした。

またノウリス内相はポルナラ収容所の過密状態について、「首都ニコシアの近くに新設した施設に希望者を移動させれば緩和できる」と強調した。

キプロスやギリシャの島々は2015年~2016年に発生したシリア難民危機の主要な入り口のひとつになり、危機の間、100万人以上が複数のルートを使ってEUに渡ったと推定されている。

キプロスは1974年、トルコの支援を受ける反政府勢力のクーデターで南北に分断された。トルコは島の北側に住むトルコ系住民を支援するという名目で軍隊を派遣し、北キプロス・トルコ共和国の独立と主権を承認したが、国際社会はこれを認めていない。

キプロス政府はトルコと北キプロスがアフリカ(主にサハラ以南)や中東などから亡命を求める移民を集め、キプロスに押しやっていると非難している。ギリシャも移民の流入に直面しており、国境の壁の建設と警備の強化を進めている。

キプロス当局によると、移民希望者の85%は北キプロスから国連管理の緩衝地帯を越えてキプロスへの亡命を試みるという。

EUを統括する欧州委員会はキプロスへの支援を約束しているが、追加予算の配分には数カ月かかる見込み。ウクライナの難民160万人以上を受け入れたポーランド政府も欧州委員会に支援を要請している。

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