◎新政権の閣僚は女性が過半数を占める予定。
2022年3月11日/チリ、パルパライソ、ガブリエル・ボリッチ大統領(Natacha Pisarenko/AP通信)

3月11日、左派のガブリエル・ボリッチ氏が南米チリの新大統領に就任した。

ボリッチ大統領は昨年末の大統領選決選投票で極右のカスト候補に100万票以上の差をつけ圧勝した。

ボリッチ大統領は36歳で、南米史上最年少の大統領になった。17年続いた独裁政権が崩壊し民主主義が復活した時、同氏はまだ4歳だった。

ボリッチ大統領は選挙期間中、独裁政権がもたらした受け入れがたい貧困と不平等を克服すると宣言し、支持を集めた。

チリの経済は堅調に推移しているが、所得格差が深刻な社会問題になっている。国連によると、人口の約1%が国の富の25%を保有しているという。

ボリッチ大統領の就任式典は港町のバルパライソの立法府で行われ、社会党のエリサルデ上院議長が同氏に大統領の肩章をかけた。

ボリッチ政権の閣僚は女性が過半数を占める予定。ボリッチ大統領は優秀な人材を選んだ結果と述べているが、一部の保守派は新政権を「フェミニスト内閣」と呼び嘲笑している。

昨年末の大統領選後、多くの投資家が左派の大統領就任を警戒したが、ボリッチ大統領は改革だけでなく財政にも責任を持つと誓い、財務相には経済学者として名高いマルセル元中央銀行総裁を起用するなど、現実主義的な姿勢も強調している。

ボリッチ大統領を支持する中道左派政党の議席は他の左派政党を加えても過半数に達しておらず、同氏は難しい政権運営を迫られることになるだろう。

チリの経済は豊富な天然資源のおかげで堅調に推移しているが、この10年間、教育、年金、医療の改善や、平等な富の分配を求める大規模な抗議デモが各地で繰り返されてきた。

また現在は、ベネズエラなどから押し寄せてくる移民が北部で不安を引き起こし、領土の保全を求める先住民の権利活動家が南部で暴力的な抗議デモを行っている。

ボリッチ大統領は富裕層に課税し、医療、教育、国民皆年金制度の財源に充てるよう議会に要求し、最低賃金の引き上げや女性の雇用創出も推進している。

また、進行中の鉱業プロジェクトにも懸念を表明し、環境保護の強化を訴えている。

世界最大の銅生産国であるチリの鉱業プロジェクトは国の経済に大きな影響を与える事業のひとつと見なされている。

ボリッチ政権は新憲法の草案を今年中に作成し、国民投票で是非を問う予定である。

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