◎キプロスの移民受付数は人口1人当たりに換算するとEU加盟国の中で最も多い。
ウクライナから避難を余儀なくされた数百万の市民の窮状は世界の注目を集めている。しかし、サハラ以南のアフリカ、中東、その他の地域からの移住を希望する人々は厳しい現実に直面しており、欧州と中東の中間に位置するキプロスの当局者は難しい対応を迫られている。
首都キプロスの郊外にある移民受付センターはひどく混雑しており、食事を確保することも難しいと伝えられている。
ソマリアからキプロスにわたった16歳の少年はAP通信のインタビューの中で、「母親に欧州で生活する親族の元に向かうよう言われた」と語った。
少年は1ヶ月前にアフリカ北部から北キプロス・トルコ共和国に飛行機で入国し、国連が管理する緩衝地帯を通って南部のキプロスに入った。北キプロスは国連非加盟国で独立を認めている国はトルコだけである。
キプロス政府のデータによると、北キプロスに入国した移民希望者の85%が国連の緩衝地帯をすり抜け、国境を越えるという。
数カ月前に受付センターに入った男性はAP通信に、「食事とトイレを改善してほしい」と語った。
キプロスで子供や移民の支援を行っている団体によると、受付センターに収容された未成年者の生活環境は「悲惨・劣悪・不衛生」で、数平方メートルの部屋で15人が同居していたという。
この団体は公式ウェブサイトの中で、「約30人の未成年者グループが受付センターの環境に抗議したため、現地を視察した」と明らかにした。
団体によると、未成年者たちに与えられる1日の食事は小さなパン1個とミネラルウォーター1本だけで、300人のグループは2つのトイレと小さなシャワー室1つを共有しているという。
団体は声明の中で、「キプロス当局はアフリカや中東の移民希望者を軽視している」と非難した。「助けを求めている人々の健康、衛生、栄養、保護、尊厳を確保することは国の責務です...」
しかし、内務省は団体の主張に反論しており、「未成年者は6つのトイレと3つのシャワーを備えた宿舎で1日3回食事をとっている」と述べている。
内務省はウェブサイトの声明で、「356人の未成年者のうち214人は社会福祉サービスによって別の施設に移されたが、適切な宿泊施設が見つかっていない一部は受付センターに残っている」と述べている。
キプロスやギリシャの島々は2015年~2016年に発生したシリア難民危機の主要な入り口のひとつになり、危機の間、100万人以上が複数のルートを使ってEUに渡ったと推定されている。
キプロス政府によると、同国の移民受付数は人口1人当たりに換算するとEU加盟国の中で最も多いという。EUはキプロスの移民問題を解消するために予算を計上すると約束している。