◎モンテネグロのジュカノビッチ大統領はバルカン半島で圧倒的な影響力を持つロシアに対抗する西側諸国の盟友のひとりである。
2021年7月/モンテネグロ(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

3月3日、モンテネグロのミロ・ジュカノヴィチ大統領は、ロシアのウクライナ侵攻でバルカン半島の緊張が高まる中、西側諸国寄りの首相を指名し、東ではなく西につくと誓った

親セルビア派のクリヴォカピッチ政権は先月の不信任投票で崩壊し、現在はアバゾヴィッチ副首相が暫定政府を率いている。

セルビアはロシアの緊密な同盟国であり、コソボの独立を認めておらず、西側諸国の目の敵にされている。

クリヴォカピッチ前首相は2020年8月の議会選挙でジュカノヴィチ大統領率いる社会民主党から政権を奪取した。

社会民主党は2006年にモンテネグロを独立に導き、2017年にはスラブ諸国の盟主ロシアの圧力をはねのけ、NATO(北大西洋条約機構)に加盟した。しかし、同党の人気は汚職疑惑などの影響で時間とともに低下した。

ジュカノビッチ大統領はバルカン半島で圧倒的な影響力を持つロシアに対抗する西側諸国の盟友のひとりである。

ジュカノビッチ大統領は3日の記者会見で、「速やかに新政府を発足させることが重要」と強調した。「ウクライナ侵攻は地域の平和と安定に大きな影響を与えているため、政治的な問題を速やかに解決し新政府を発足させたうえで、国の安全保障を確立する必要があります...」

バルカン地域はユーゴスラビア崩壊後の1990年代に発生した一連の民族紛争の影響でいまだに緊張状態にある。ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、コソボ紛争では合わせて10万人以上が死亡し、数百万人が避難を余儀なくされた。

アバゾヴィッチ暫定首相は現在もセルビア寄りと考えられているが、社会民主党議員の支持を得て新政府を発足させると述べている。しかし、親セルビアの議員はこの主張に強く反対し、実行すれば大規模な抗議活動を展開すると警告した。

モンテネグロは欧米派とセルビア派で分裂しており、今週初めには第二の都市ニクシッチでロシアを支持する集会が開催された。

一部の専門家は、「セルビア寄りの過激派はセルビアやロシアに支援を求める可能性がある」と警告している。

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