◎労使は主に年俸、フリーエージェントの報酬、年金の問題で”すったもんだ”している。
3月1日、メジャーリーグ・ベースボールは労使交渉の決裂により、27年ぶりにレギュラーシーズンの試合を一部削減すると発表した。
MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は1日、「最初の2カードをキャンセルし、試合数を162試合から156試合に減らす」と明らかにした。
6試合分の給料は当然支払われない。
マンフレッド氏は記者団に、「私たちの望みは合意を得ることだ」と語った。「今日の労使交渉で合意できなかったことに失望しています...」
AP通信によると、労使は7時間ほど協議したが、主張の隔たりを埋めることはできなかったという。MLBは選手会に「ベスト・ファイナル・オファー」を送ったと主張したが、選手会はこれを却下した。
組合は交渉後の声明で、「コミッショナーは開幕延期を決断した」と述べた。「野球を愛する世界中の選手とファンはうんざりしているが、悲しいかな、驚いていません」
また組合は、「MLBは過去最高益を記録したにもかかわらず選手の友愛を破壊しようとしている」とコミッショナーを非難した。「マンフレッドの取り組みは選手の友愛を壊そうとするオーナーによる過去数十年にわたる試みの集大成です。しかし、過去と同様、この努力は失敗に終わるでしょう」
開幕を待ち望んでいる米国とカナダのファンはマンフレッド氏の発表に絶望した。
労使は主に年俸、フリーエージェントの報酬、年金の問題で”すったもんだ”している。
労使交渉の紛糾でレギュラーシーズンが影響を受けるの27年ぶり5回目。あるドジャースファンはソーシャルメディアに「は?」と投稿した。
マンフレッド氏は会見の中で、「ファンの懸念は私たちのリストの最上位にある」と述べた。
ロックアウトによるレギュラーシーズンの喪失で、2015年1月に就任したマンフレッド氏に対する風当たりはさらに厳しくなると予想されている。
シカゴ・カブスのマーカス・ストローマン投手は「マンフレッドは去るべきだ」とツイートしている。
ソーシャルメディアのMLBファンの怒りは、交渉の合間にゴルフのスイング練習をしていたマンフレッド氏に向けられた。写真をすっぱ抜いたAP通信によると、同氏はとても楽しそうに見えたという。
Photo taken by the Associated Press earlier today of Rob Manfred practicing his golf swing 🤦♂️ pic.twitter.com/tWuE6zWI7R
— Baseball Quotes (@BaseballQuotes1) March 1, 2022
ロサンゼルス・エンゼルスのマイケル・ローレンゼン投手は、「彼(マンフレッド)はなぜ今笑うことができるのか。私には理解できない」とツイートした。
給料をかけた労使交渉は何年も前から行われている。組合は2015年から昨年にかけて年俸が4%減少したこと、多くのチームが高額のベテラン選手の一部を捨て低年俸の若手選手を選んだこと、一部のチームが良いポジションを得るために競争をあきらめたことなどに怒っている。
主要メディアによると、両者の溝はここ数日の交渉で多少埋まったものの、それでも主張の隔たりは依然として大きいという。
MLBは今後3シーズンのぜいたく税の基準を2億1000万ドルから2億2000万ドル、2025年に2億2400万ドル、2026年に2億3000万ドルに引き上げることを提案した。選手側は、今年2億3800万ドル、2023年2億4400万ドル、2024年2億5000万ドル、2025年2億5600万ドル、2026年2億6300万ドルを要求している。
選手の総年俸がぜいたく税を上回ったチームはより多くの税金を納める必要がある。
MLBは1994年にサラリーキャップの導入を提案し、組合の激しい反発を招いた。このシーズンのストライキ期間は200日を超え、ワールドシリーズも中止になっている。
MLBは1997年にぜいたく税を導入し、選手には年俸税を課し、球団間で収益を分配するシステムを導入した。
1973年シーズンは年金交渉をめぐるストライキで86試合が中止になり、1981年はフリーエージェントの補償ルールをめぐる隔たりでシーズンの半ばまでストライキが続き、1994年8月に始まったサラリーキャップをめぐる紛争はワールドシリーズを崩壊させ、1995年シーズンの開幕を3週間遅らせた。
組合はコロナウイルスの影響で60試合に短縮された2020年シーズンにも不服を申し立てており、訴訟は現在も続いている。この短縮で大谷 翔平選手、ピート・アロンソ選手、ジェイク・クロネンワース選手、ジョナサン・インディア選手といったスター選手のフリーエージェントが1年遅れた。