コンテンプト・オブ・コート 7-8
マイクは前方の車列を確認した。
カーターの車は見えない。ジムから聞いた位置情報を頼りに進む。カーターは北へ向かっているはずだった。
「電話するの?」
ローリーが尋ねた。
「ああ。携帯を捨てられたら、位置を追えなくなる」
マイクはハンドルを片手で操作しながら、連絡先からカーターの番号を選んだ。呼び出し音が続く。
一度。二度。三度。
応答はなかった。
マイクはもう一度かけようとした。そのとき、通話がつながった。
「何だ」
カーターの声だった。
「もう話すことはない」
「そう言うな。まだ用がある」
「切るぞ」
マイクは携帯電話をスピーカーモードに切り替え、ダッシュボードの上に置いた。
「弁護料を支払ってないぞ。踏み倒すつもりか?」
沈黙があった。
ローリーはマイクを見た。彼が何を狙っているのか、すぐに察したようだった。
「カーター刑事、借りを返しなさい」
ローリーの声が車内に響いた。
電話の向こうで、カーターの息遣いが聞こえた。
「借り……」
通話が切れた。
マイクは画面を確認した。通話時間は短かったが、携帯の電源はまだ入っている。位置情報も途切れていないはずだった。
「少しは時間を稼げたな」
「今の言葉で、伝わったかしら」
「さあな」
マイクは前方に目を戻した。
ローリーは窓の外を見た。カーターは電話を切った。追われていることに気づいているのかもしれない。
「借りを返せ、か」
マイクがつぶやいた。
「あなたらしい言い方ね」
「弁護料の話は本当だ」
「本気で請求するつもり?」
「払う気があるならな」
ローリーは小さく息を吐いた。カーターが何を考えているのか、二人には分からない。ただ、電話の最後に口にした「借り」という言葉が、ローリーの耳に残っていた。
マイクの携帯電話が鳴った。ジムからの着信だった。
「どうした?」
『位置はまだ追えてる。北へ向かってるぞ』
「分かった。こっちも向かってる」
『急げ』
通話を終え、マイクはアクセルを踏んだ。
カーターが携帯を捨てる前に追いつかなければならない。ジョニーたちも動いている。時間をかければ、先に見つけられる可能性があった。
ローリーは前方を見据えた。
「間に合う?」
「間に合わせる」
マイクは速度を上げた。
