コンテンプト・オブ・コート 7-7
市街地を抜ける道路は、昼間の交通量が落ち着き始めていた。前方を走るカーターの車は、一定の速度を保っている。マイクは車間距離を取りながら、ルームミラーに目を向けた。
後方に一台の車がいた。
車間を詰めてくるわけではない。だが、こちらが速度を落とすと同じように減速し、車線を変えると少し遅れて動く。偶然にしては動きが揃いすぎていた。
「つけられてるな」
マイクが言う。
ローリーは振り返らず、サイドミラーを確認した。
「コールの車?」
「分からない。カーターも尾行に気づいてるはずだ」
「カーターを先に行かせましょう」
マイクはアクセルを緩めた。速度が落ちる。後方の車は一瞬だけ間を置き、急に加速した。
車が二人の横を猛スピードで追い抜いていく。
マイクはルームミラーで車内を確認した。助手席と後部座席に男の姿が見えた。運転席の男も含め、見覚えのある顔だった。
ジョニーだ。
「やっぱりな」
マイクはアクセルを踏み込んだ。前方の車列を抜き、ジョニーの車に追いつく。マイクはその前に割り込むと、急ブレーキを踏んだ。
タイヤが路面を鳴らした。
ジョニーの車も急停車する。車体が大きく揺れ、後部座席の男が前につんのめった。
マイクはドアを開け、道路脇に降りた。
ジョニーが窓から顔を出した。目が合う。
「市長の秘書、元気か?」
ジョニーの顔が険しくなった。
「この野郎、邪魔しやがって」
マイクは車の前に立ったまま、動かなかった。
ジョニーの車は一度バックし、ハンドルを切る。次の瞬間、エンジン音を響かせて走り去った。
マイクはその後ろ姿を見送った。
「馬鹿なやつ」
車に戻ると、ローリーがマイクを見た。
「……何か準備してるんでしょ?」
マイクはシートベルトを締め、携帯電話を取り出した。ジムに電話をかける。
「カーターの位置は?」
『幹線道路を北上してる』
「追いかける。見失うなよ」
『急げ。カーターが携帯を捨てるかもしれない』
マイクは通話を切った。
ローリーが尋ねる。
「ジムが追っているの?」
「ああ。カーターの携帯から位置を確認してる。今は北へ向かっているらしい」
マイクは車を発進させた。ジョニーの車を追う必要はない。今、優先すべきなのはカーターだった。
ローリーは前方を見た。
「あいつらも、カーターを探しているのね」
「そうだろうな。あいつらが先に見つけたら、面倒なことになる」
マイクはアクセルを踏んだ。
幹線道路へ向かう車の流れに入り、北へ進路を取る。カーターの車は見えない。頼りになるのは、ジムが追っている携帯電話の位置だけだった。
