コンテンプト・オブ・コート 7-6
アンカレッジ市内。
マイクの車は、商業地区から少し離れた道路脇に停まっていた。歩道の向こうには小さな駐車場があり、その奥に古い倉庫や事務所が並んでいる。
カーターの車が駐車場に入ってきた。
エンジンを切ったカーターは、しばらく車内にいた。周囲を確認してからドアを開け、マイクたちの方へ歩いてきた。
「待たせたな」
マイクは小さく頷いた。
ローリーはカーターの顔を見た。警察を辞めたばかりの男は、以前よりもやつれて見える。目の下には濃い隈があり、髭も剃っていない。
三人は駐車場の端に移動した。通りを走る車の音が聞こえる。カーターは周囲に視線を走らせてから、マイクに向き直った。
「これからどうするつもりだ?」
マイクが尋ねた。
カーターはすぐには答えなかった。しばらくマイクを見ていたが、やがて口を開いた。
「……お前に一つ聞きたいことがある」
「何だ?」
「十一歳の子供が、たった一人でどうやって生き延びた?」
マイクは表情を変えなかった。
「伯父が助けてくれた」
「……そうか」
カーターは視線を落とした。
「その人も、何が起きたか全部知っているのか?」
「全部話した」
カーターは小さくうなずいた。
二十年前、目の前で母親を殺された少年が、どうやって生き延びたのか。カーターは以前から疑問に思っていた。自分が関わった事件の後、マイクが姿を消したことも知っていた。だが、その後の人生について詳しく調べたことはなかった。
ローリーは二人の会話を聞きながら、カーターの様子を観察していた。彼は何かを決めている。警察を辞めたことも、ここに来たことも、その決意の一部なのだろう。
「あなたはこれからどうするの?」
ローリーが尋ねた。
「自分の問題は自分で片づける」
「コールのところへ行くつもり?」
カーターは答えなかった。
その沈黙が返事だった。
マイクはカーターの目を見た。
「一人で乗り込む気か」
「お前たちには関係ない」
「コールを追っているのは俺たちも同じだ」
カーターは首を横に振った。
「俺についてくるな。危険な目に遭うぞ」
「危険なのはあなたよ。コールが狙ってる」
ローリーが言った。
カーターは彼女を見た。
「知ってる」
その声には迷いがなかった。
カーターはコールが自分を放置するとは考えていなかった。自分が握っている情報が外に出る前に、口を封じようとするはずだ。だからこそ、先にコールのもとへ行くつもりだった。
相手が何人いようと構わない。自分が倒れたとしても、コールを道連れにする。
マイクはその覚悟を察した。
「死ぬつもりなら、止めても無駄か」
「そういうことだ」
カーターは踵を返した。
「もう話すことはない」
カーターは駐車場に戻り、自分の車に乗り込んだ。エンジンがかかり、車は道路へ出ていく。
ローリーは走り去る車を見送った。
「本当に一人で行くつもりね」
「ああ。あいつはコールと刺し違えるつもりだ」
「放っておけないわ」
マイクは返事をせず、カーターの車が曲がった方向を確認した。
「行こう」
二人は車に乗り込んだ。
マイクはエンジンをかけ、少し間を置いてから道路へ出た。カーターの車は、前方の交差点を抜けていく。
マイクは一定の距離を保ちながら、その後を追った。
