コンテンプト・オブ・コート 7-15
夜。マイクの事務所には、カーターが残した箱が運び込まれていた。
机の上にはファイルや封筒が広げられている。ローリーは書類を分類し、マイクは別の資料に目を通していた。
二人はあの後、駐車場の周辺を調べたが、カーターの姿はなかった。電話もつながらず、行き先を示す手掛かりも見つからなかった。
「カーターは大丈夫かしら」
ローリーが言った。
「分からない。だが、ここで時間を無駄にはできない」
マイクは書類を一枚、机の中央に置いた。
そこには複数の企業名と、取引日、金額が記されていた。別のページには土地の取得記録、銀行の融資資料、会社役員の名前が並んでいる。
「カーターは、かなり前からコールの周辺を調べていたようね」
「警察にいた頃から情報を集めていたんだろう。表に出せない資料もある」
「これだけの資料を集めても、コールを追い詰められなかった」
「証拠として使えるものと、単なる手掛かりは違う。記録の出所を確認しなければ、法廷では通用しない」
マイクは写真の入った封筒を開いた。建物、車両、人物の写真が数枚出てくる。裏には日付と短いメモが残されていた。
ローリーは一枚を手に取った。
「この人物は?」
「分からない。ほかの資料と照合する必要がある」
「会社の名前も多いわね。関連企業を調べるだけでも時間がかかりそう」
「一つずつ確認する。資金の流れ、土地の取得、役員の関係。どこかにコールの弱点があるはずだ」
マイクはファイルを閉じ、部屋の奥に目を向けた。
そこにはエイダンと部下たちがいた。彼らも別の資料を広げ、会社名や人物名をノートに書き出している。
「エイダン」
呼ばれて、エイダンが顔を上げた。
「何だ?」
「コールの弱点を探す。お前たちも準備を進めてくれ」
エイダンは机の上の資料に目を落とした。
「分かった。こっちは別のルートから調べる。会社の関係者や、コールの周辺で動いている連中を洗う」
「表に出ている情報だけじゃ足りない」
「分かってる。必要な人員を動かす」
エイダンは部下に目配せした。男たちは資料をまとめ、それぞれ調査の分担を確認し始めた。
ローリーは箱の中から、さらに別のファイルを取り出した。
「カーターは、これを私たちに託したのね」
「そうだろうな」
「でも、本人はどこにいるのかしら」
マイクは答えなかった。
カーターはコールのもとへ向かったはず。だが、その後の足取りはつかめていない。自分から連絡を絶ったのか、誰かに捕まったのか。それを判断できる材料はなかった。
「捜索は続ける。ジムが動いてる」
マイクは時計を見た。
「まずは資料を調べよう。カーターが何をつかんでいたのか、全体像を把握する必要がある」
ローリーはうなずき、手元のファイルを開いた。
部屋の中では、紙をめくる音と、エイダンたちの短い会話が続いていた。
カーターの行方は分からない。
一方で、彼が残した資料は、コールとその周辺に広がる組織の一端を示していた。
マイクは新しいファイルを手に取った。
