コンテンプト・オブ・コート 7-14
夜。レストランはすでに営業を終えていた。店内に客の姿はなく、コールの部下たちが数人、テーブルから離れた場所に待機していた。
奥のテーブルでは、コールが一人で食事をとっていた。
上着を脱ぎ、ワイングラスを傍らに置いている。料理にはほとんど手をつけていなかった。テーブルの少し離れた場所には、コールの部下が数人、待機していた。
入口のドアが開いた。
カーターが入ってきた。コールの部下たちは動かず、カーターを奥へ通した。
コールはナイフとフォークを置いた。
「……遅かったな」
カーターは返事をせず、コールの向かいに座った。
「覚悟は?」
コールはグラスを持ち上げ、ワインを一口飲んだ。
「奥さんは残念だったな」
カーターの顔がこわばる。
「……この野郎」
「警察を辞めたんだろ。退職金で旅行にでも行ったらどうだ?」
カーターはコートの内側に手を入れた。
拳銃を引き抜き、コールの眉間に銃口を向ける。
周囲にいた部下たちが、わずかに身構えた。しかし、コールは片手を上げて制した。部下たちはその場にとどまった。
「決着をつけてやる」
カーターは静かに言った。
コールは動かなかった。銃口を見つめたあと、カーターの目に視線を戻す。
「……撃てよ」
カーターの指が引き金にかかった。
コールの額まで、わずかな距離しかない。
それでも、カーターの指は動かなかった。
沈黙が続いた。
「撃てと言っている」
コールが繰り返した。
カーターは歯を食いしばった。引き金にかけた指に力を込める。だが、最後の一線を越えられなかった。
コールの口元が歪んだ。
「二十年前も撃てなかった腰抜けが!」
コールは一気に身を乗り出した。カーターの手首をつかみ、銃口を横へそらす。カーターが抵抗するより早く、コールはもう一方の手で拳銃を奪い取った。
カーターが立ち上がろうとした。
その頭部に、コールが手元のワイングラスを振り下ろした。
鈍い音がした。
グラスが砕け、ワインがテーブルに飛び散る。カーターはよろめき、椅子ごと床に倒れた。
「ぐっ……」
カーターは床に手をつき、起き上がろうとした。だが、身体に力が入らない。頭部の傷から血が流れる。
コールは奪った拳銃をテーブルに置いた。
そして、床にうずくまるカーターの腹部を蹴り上げた。
一度。二度。三度。
カーターの身体が床の上で折れ、低い呻き声が漏れた。
「拘置所暮らしで腕が鈍ったな」
コールは息を整え、シャツの袖口を直した。
部下の一人が近づいてきた。
「どうしますか?」
「連れていけ」
コールは床に倒れたカーターを見下ろした。
「聞きたいことがある」
部下たちがカーターの両腕をつかみ、身体を起こした。カーターの頭は垂れ、足に力が入らない。呼びかけにも反応しなかった。
「車を回せ」
コールはそう命じると、テーブルに置かれた拳銃を手に取った。弾倉を確認し、上着の内側にしまう。
部下たちはカーターを支え、店の裏口へ運び始めた。
床には砕けたグラスと、こぼれたワインが残っていた。
コールはテーブルの上のナプキンを取り、手を拭った。
「片づけておけ」
そう言い残し、裏口へ向かった。
