コンテンプト・オブ・コート 6-33
アンカレッジ市内。
ノーススター・キッチンの駐車場には、同じ型のキッチンカーが何台も並んでいた。車体の色や看板に大きな違いはない。会社には運行記録がなく、事件当日にどの車がどこを走っていたのか、記録から追うことはできなかった。
エイダンとローリーは、会社から許可を得て、一台ずつ車両を調べていた。
「外観だけじゃ分からないわね」
ローリーが車体の写真を確認しながら言った。
「現場にいた車を特定できるのは、ドラレコの映像だけだ」
エイダンは運転席を覗き込み、ダッシュボード周辺を調べた。機器の型番を確かめ、記録媒体の有無を確認する。ローリーも別の車両を調べ、ドラレコの設置状況と記録媒体の種類を記録していった。
取り付けられている機器は統一されていなかった。古い機種もあれば、記録媒体が抜かれたものもある。そもそもドラレコを搭載していない車両もあった。
二人は手分けして確認を続けた。
「こっちのドラレコには何も映っていない」
ローリーが車内から顔を上げた。
「こっちもだ。次を見よう」
エイダンは車両番号を一覧に記し、隣の車へ移った。時間だけが過ぎていく。運行記録がない以上、候補を絞る手掛かりは限られていた。事件現場の映像が残っていること。それだけだった。
しばらくして、ローリーが声を上げた。
「エイダン、これを見て」
彼女が示した車両には、ドラレコが取り付けられていた。
エイダンは記録媒体の状態を確かめた。再生する前に、まず映像の日時と撮影範囲を確認する必要がある。
二人は機器を操作し、保存された映像を再生した。
画面には、市長が殺害された現場が映っている。当時、現場に止まっていた車を特定できた。
エイダンが記録媒体を取り出す。
「急ごう」
ローリーは記録媒体をケースに収めた。二人は調査を切り上げ、駐車場を後にした。
車に乗り込むと、エイダンは時計を確認した。
「公判中にマイクに届ける必要がある」
「もう一度映像を確認するわ」
ローリーはバッグの中の記録媒体を機器につないだ。
カーターの公判は最終局面に入っている。マイクは法廷でコールを証人として呼ぶよう求めた。しかし、コールの証言だけでカーターの無実を立証できる保証はない。必要なのは、事件当日の状況を裏付ける証拠だった。
「どうだ?」
エイダンがエンジンをかけながら尋ねた。
「……皆、度肝を抜かれるはず」
ローリーは答えた。
