コンテンプト・オブ・コート 5-8
アンカレッジ市内。
喫茶店の窓際に、エイダンとジムが座っていた。
テーブルには新聞が二紙と、飲みかけのコーヒーが置かれている。壁掛けのテレビでは、地元ニュースが流れていた。
エイダンは新聞を広げた。
一面には、昨日の除幕式の写真が載っていた。マリベルが記念碑の前に立ち、その隣でコールが笑顔を見せている。
見出しは、都市開発計画と市長選への期待を伝えるものだった。
エイダンは紙面をめくった。
「除幕式のニュースはあるが、ブローカーのことは全く書かれてないな」
ジムはテレビを見たまま答えた。
「市内のメディアは、マリベルとコールに不利になりそうなニュースは報じないだろう」
テレビでは、コールの記者会見が流れていた。
『私はアンカレッジの未来のために働きます。市民の生活を守り、街を発展させることが私の責任です』
画面の下には、コールの名前とテラ・インフラテックの肩書きが表示されている。
エイダンは鼻で笑った。
「立派なことを言うもんだ」
「表向きはな」
ジムがコーヒーを飲む。
「やつらは選挙の準備を進めてる。昨日の除幕式も、その一環だろう」
エイダンは新聞をテーブルに置いた。
「それにしても、ブローカーの件が一切出てこないのは妙だ」
「検察が動いてるんだろう?」
「そうだ……殺し屋とブローカー、そしてコールの秘書はつながっている」
ジムはテレビから目を離した。
「証拠があればな」
「ブローカーの証言しだいだ」
エイダンは窓の外を見た。
道路を車が通り過ぎる。歩道を人々が行き交っている。
いつもと変わらない風景だった。
「コールが何かを隠してるのは間違いない」
ジムは新聞を手に取った。
「市民は、こういう記事を読んでコールを信用する」
「そして、裏で何が起きてるかは知らない」
ジムは一面を折りたたんだ。
「マイクは?」
「事務所にいるはずだ」
ジムは腕時計を確認した。
「戻ろう。報告することがある」
エイダンはコーヒーを飲み干した。
