コンテンプト・オブ・コート 3-8
アンカレッジ刑務所。
警察車両が正門を通過した。
後部座席には、マイクが座っている。
両手には手錠がかけられていた。
その後ろを、別の警察車両が続いている。
中にはエイダンの部下たちが乗っていた。
車が建物の裏側へ回る。
鉄製の扉が開いた。
警官がマイクのドアを開ける。
「降りろ」
マイクは車から降りた。
目の前には、収容者用の入口がある。
壁は灰色だった。
窓は少ない。
警官がマイクの腕をつかむ。
「歩け」
マイクは何も言わずに歩いた。
建物の中へ入る。
受付を通過する。
手錠を外され、所持品を一つずつ確認された。
携帯電話。
財布。
鍵。
腕時計。
すべて袋に入れられる。
係員が名前を確認する。
「マイク・ハンター」
「はい」
「弁護士だな?」
「はい」
係員は顔を上げた。
「弁護士が何でここにいる?」
「いろいろあって」
係員は何も言わなかった。
書類を確認し、収容手続きを続ける。
別の場所では、エイダンの部下たちも同じ手続きを受けていた。
一人がマイクを見る。
「マイク」
「何だ?」
「大丈夫なのか?」
「問題ない」
「本当に?」
マイクはエイダンの部下を見る。
「俺は自分の意思で来た」
マイクは周囲を見回した。
廊下。
鉄格子。
監視カメラ。
看守。
収容者。
外から見れば、ただの刑務所だった。
だが、マイクにとっては違う。
ここに来る必要があった。
係員が指示する。
「収容区画へ移動する」
マイクたちは廊下を歩いた。
鉄格子の向こうに、何人もの収容者がいる。
誰もがマイクたちを見る。
新しく入ってきた人間を観察している。
マイクは気にせず歩いた。
やがて、一つの区画の前で止まる。
「ここだ」
扉が開く。
マイクが中へ入る。
扉が閉まる。
金属音が響いた。
エイダンの部下たちも、それぞれ別の区画へ移されていく。
マイクは一人になった。
壁際のベンチに座る。
正面には鉄格子。
その向こうを看守が歩いている。
マイクはしばらく周囲を見ていた。
そして、ゆっくり立ち上がった。
マイクは鉄格子の向こうを見た。
ここには、以前から調べていた男がいる。
アンカレッジ市の財務を担当していた男。
名前も知っている。
顔も知っている。
市役所での経歴も把握している。
どの部署にいたのか。
どの予算に関わっていたのか。
過去に何をしていたのか。
マイクは全て調べていた。
問題は、本人が何を知っているかだった。
資料だけでは分からない。
本人の口から聞く必要がある。
マイクはベンチに戻った。
向かい側の区画から、エイダンの部下の声が聞こえる。
「何を調べるんだ?」
マイクは答えなかった。
あの男は市長殺害事件の詳細を知っている可能性がある。
マイクはそれを確かめるために、ここへ来た。
まだ誰にも話していない。
この刑務所でなければ、聞けない話がある。
マイクは腕を組み、静かに呟いた。
「まずは、あの男だ」
