コンテンプト・オブ・コート 3-6
アンカレッジ連邦地方裁判所。
午後。
裁判所の入口付近。
マイクは両手に手錠をかけられ、警備員に連れられて外へ出てきた。
その後ろには、エイダンの部下たちが並んでいる。
全員、手錠をかけられていた。
ローリーは入口の前に立っていた。
マイクがローリーを見る。
「しばらく事務所を頼む」
ローリーは呆れた顔でマイクを見る。
「もう、何がなんだか……」
「そのうち分かる」
「分かるわけないでしょう」
「大丈夫だ」
「何が大丈夫なのよ」
マイクは答えなかった。
警備員がマイクの腕を引く。
「行くぞ」
マイクは歩き出した。
ローリーが追いかけようとする。
「マイク!」
マイクが振り返る。
「事務所を頼む」
「それは聞いたわよ」
「なら、分かってるな」
「何も分かってない!」
マイクは小さく笑った。
「それでいい」
「よくない!」
マイクはそのまま歩いていった。
エイダンの部下たちも続く。
裁判所の前に止まっていた警察車両の後部ドアが開く。
警官が一人ずつ乗せていく。
マイクも後部座席へ押し込まれた。
ドアが閉まる。
車が動き出す。
その後ろに別の警察車両が続く。
ローリーはその場に立ったまま、遠ざかる車を見ていた。
そのとき、背後から声がした。
「裁判長に反抗して拘束されるなんて、とんでもない連中ね」
ローリーが振り返る。
エルマ・アトキンソンが立っていた。
ローリーは黙っている。
アトキンソンは続けた。
「あなたも彼らと同類よ」
「……」
「友人として恥ずかしいわ」
ローリーの眉が動く。
「私があなたの友人?」
「違うの?」
「いつから?」
アトキンソンは少し笑った。
「本当に無謀ね」
「あなたに言われたくない」
「でも、勇気だけは認めるわ」
ローリーはアトキンソンを見た。
「それはどうも」
「裁判長に意見して、今度はあんな連中と一緒にいる」
「私は何もしてない」
「彼らと一緒に行動しているでしょう」
「弁護士として仕事をしているだけよ」
「それで拘束されるなら、仕事のやり方を考えたほうがいいわね」
ローリーは一歩近づいた。
「いつか法廷で会いましょう」
アトキンソンはローリーを見る。
「その時まで、弁護士でいられればいいけど」
「どういう意味?」
「まともな弁護士はいないの?」
ローリーは黙った。
アトキンソンは続ける。
「あなたは自分が不利になったら手を出す暴力弁護士よ」
「私は手を出してない」
「でも、同じ事務所の人間が裁判所で暴れた」
「それと私に何の関係があるの?」
「同僚なら、止めるべきだったでしょう」
ローリーはアトキンソンを見た。
「あなたは私の何を知ってるの?」
アトキンソンは答えなかった。
二人の間に沈黙が落ちる。
ローリーが先に目をそらす。
「私は自分の仕事をするだけよ」
「そう」
アトキンソンは短く答えた。
「なら、法廷で会いましょう」
「ええ」
アトキンソンは裁判所へ戻っていく。
ローリーはその背中を見た。
そして、警察車両が消えた方向へ目を戻した。
マイクは何を考えているのか。
なぜ、ここまでして裁判に関わろうとしているのか。
ローリーにはまだ分からない。
ただ一つだけ、はっきりしていた。
自分も、この事件から離れられなくなっている。
ローリーは一人、裁判所の入口で立ち尽くしていた。
