コンテンプト・オブ・コート 3-31
アンカレッジ連邦地方裁判所。
午前。
市長殺害事件、第2回公判。
法廷の扉が開いた。
マイクとローリーが入ってくる。
ローリーは手にした資料を確認しながら歩いていた。
「今日は大丈夫でしょうね」
「何が?」
「また遅刻したり、拘束されたりしない?」
「大丈夫だ」
「本当に?」
「ああ」
マイクは前を向いたまま答えた。
法廷内には、すでに多くの傍聴人が入っている。
記者席も埋まっていた。
ローリーが傍聴席を見る。
その中に、見覚えのある男がいた。
「……あれ」
「何だ?」
「コールCEO」
マイクが視線を向ける。
傍聴席の中央に、ケンドリック・コールが座っていた。
その隣には秘書がいる。
二人とも法廷の前を見ていた。
マイクはしばらくコールを見た。
コールがマイクに気づくが、表情は変えなかった。
マイクは弁護人席へ、ローリーは傍聴席に座った。
被告人席にはカーターがいる。
カーターがマイクを見る。
「来たか」
「ああ」
マイクは資料を机に置いた。
カーターが小さな声で言う。
「傍聴席を見たか?」
「ああ」
カーターはコールを見る。
「なぜ、あいつがここにいる?」
マイクは少し黙った。
「お前を見に来たんだろ」
「俺を?」
「それ以外にない」
カーターはコールを睨んだ。
「何を考えてるんだ」
マイクはカーターを見る。
「コールは、なぜお前を犯人にしたと思う?」
「知らない」
「俺は分かったよ」
カーターがマイクを見る。
マイクは声を落とした。
「市長になる前に、ゴミを処理したかったんだろう」
カーターの顔が険しくなる。
「……」
カーターは拳を握った。
傍聴席のコールを見る。
「市長を殺して、自分が市長になると……」
「そうだ」
「そのために俺に罪を着せた」
「おそらくな」
カーターはしばらく黙った。
やがて、低い声で言った。
「あの野郎……」
マイクがカーターを見る。
カーターはコールを睨んだまま続けた。
「絶対に許さない」
マイクは何も言わなかった。
そのとき、マリベル裁判官が入廷した。
「全員、着席してください」
法廷内が静かになる。
マリベルが法廷を見渡す。
そして、一瞬だけマイクを見る。
「それでは、市長殺害事件の公判を再開します」
マイクは時計を確認した。
マリベルが告げる。
「弁護側、準備はできていますか?」
マイクが立ち上がる。
「はい」
「検察側は?」
アトキンソンも立つ。
「できています」
マリベルが頷いた。
「それでは、証人を」
法廷の後方にある扉が開く。
一人の男が入ってきた。
カーターは黙って前を向いていた。
傍聴席では、コールが静かに男を見ている。
マイクは椅子に座った。
そして、静かに資料を開いた。
