コンテンプト・オブ・コート 3-29
アンカレッジ刑務所。
面会室。
マイクは椅子に座り、カーターを見る。
前の面会から、まだ時間はそれほど経っていない。
カーターは机の上に手を置いた。
「もう一度、確認したい」
「何を?」
「お前が言ったことだ」
マイクは黙っている。
「マリベル・ヴァレンタイン裁判官が、この事件の黒幕だと言ったな」
「ああ」
「本当か?」
「本当だ」
カーターはマイクを見つめた。
「証拠は?」
「ある」
「見せられるのか?」
「全部は無理だ」
カーターは少し黙った。
「俺は、あの女の法廷に何度も立った」
「知ってる」
「何度も判決を見てきた」
「そうだな」
「そんな人間が、市長殺害事件の黒幕だと言われても簡単には信じられない」
「信じなくてもいい」
マイクは淡々と言った。
「裁判で分かる」
カーターが眉を寄せる。
「裁判で?」
「ああ」
「検察が俺を追及するんじゃないのか?」
「表向きはな」
「じゃあ、実際には?」
マイクはカーターを見る。
「裁判官と戦うことになる」
カーターの表情が変わった。
「……本気か?」
「本気だ」
カーターはしばらく黙った。
そして、マイクを見る。
「あの女は裁判官だ」
「知ってる」
「検察の証拠を受け取るのも、証人の証言を判断するのも、最後に判決を出すのもあの女だ」
「そうだな」
カーターは椅子の背にもたれた。
「なら、どうする?」
「全部調べる」
「証拠を?」
「証拠も、証人も、裁判官もだ」
カーターはマイクを見た。
「お前一人でできるのか?」
「ローリーがいる」
「あの若い弁護士だな」
「ああ」
「信頼できるのか?」
「お前よりはな」
カーターは少し笑った。
沈黙が落ちた。
カーターが視線を落とす。
「俺は、あの女に何度も会っている」
「ああ」
「もし本当に黒幕なら、俺はずっと何も知らずに法廷に立っていたことになる」
「そういうことだ」
カーターは拳を握った。
「……ただじゃおかない」
マイクは何も言わなかった。
カーターが顔を上げる。
「裁判官もグルなのに、俺をここから出すと?」
「もちろん」
「……」
「ここからお前を出せるのは俺だけだ」
カーターはマイクを見つめた。
「オースティンは?」
「雑魚に興味はない」
「検察は?」
「俺が相手をする」
「裁判官は?」
マイクは少し間を置いた。
「お前は自分の心配だけしてろ」
カーターは黙った。
「お前を信じていいのか?」
「信じなくていい」
「なら、何を信じればいい?」
マイクは立ち上がった。
「証拠を信じろ」
カーターはマイクを見た。
マイクは面会室の出口へ向かう。
「法廷で会おう」
「おい」
マイクが振り返る。
「何だ?」
カーターはしばらく黙っていた。
「俺は、生きて出る」
「……」
「そのためなら、何でもする」
マイクは短く頷いた。
「それでいい」
扉が開く。
マイクは面会室を出ていった。
