コンテンプト・オブ・コート 3-25
アンカレッジ刑務所。
正門前。
鉄製の門が開いた。
最初に出てきたのはマイクだった。
その後ろから、エイダンの部下たちが続く。
一人が大きく息を吐く。
「外はいいな」
別の男が空を見上げた。
「刑務所よりはな」
マイクは何も言わず、駐車場の方へ歩いた。
そこに一台の車が止まっていた。
運転席の窓が開く。
ローリーが顔を出した。
「馬鹿たちを迎えに来たわ」
エイダンの部下の一人がローリーを見る。
「俺たち?」
「他に誰がいるの?」
「マイクも馬鹿なのか?」
ローリーはマイクを見る。
「当然でしょ」
マイクは車の前まで歩いてきた。
「遅かったな」
「誰のせいよ」
「俺のせいか?」
「そうよ」
ローリーは助手席のドアを開けた。
「乗って」
マイクが乗り込む。
後ろから部下たちも近づいてくる。
「俺たちは?」
ローリーが振り返る。
「後ろ」
「狭いぞ」
「文句があるなら歩いて帰れば?」
男たちは顔を見合わせた。
「乗ろう」
「そうだな」
全員が車に乗り込んだ。
車内が一気に狭くなる。
ローリーがエンジンをかける。
「全員いる?」
「いる」
「怪我は?」
「大したことない」
ローリーはルームミラーを見る。
「あなたたち、刑務所で何してたの?」
部下の一人が答える。
「待ってた」
「何を?」
「釈放を」
「それだけ?」
「それだけ」
ローリーは呆れた。
「マイク」
「何だ?」
「この人たち、本当にあなたの仲間?」
「もちろん。意外と役に立つ」
後部座席から声がした。
「ひどい言い方だな」
「事実だ」
ローリーはため息をついた。
車が走り出す。
刑務所の門が遠ざかっていく。
しばらくして、ローリーが口を開いた。
「それで」
「何だ?」
「あなた、ちゃんと仕事してた?」
「してた」
「刑務所に入ってたのに?」
「刑務所でも仕事はできる」
「普通はできないの」
マイクは窓の外を見た。
「必要なことは分かった」
ローリーの表情が変わる。
「何が?」
「市長殺害事件のことだ」
「そう」
ローリーはそれ以上聞かなかった。
後部座席の男たちも黙っている。
車はアンカレッジの市街地へ入っていく。
ローリーはハンドルを握ったまま、前を見ていた。
信号が青になる。
車が動き出す。
しばらくして、後部座席の一人が言った。
「マイク」
「何だ?」
「俺たち、事務所に戻っていいのか?」
「もちろん」
「仕事は?」
「ある」
ローリーが横目でマイクを見る。
「また何か面倒なことを考えてるの?」
「考えてる」
「でしょうね」
ローリーは小さく息を吐いた。
マイクが刑務所を出た。
証人も動き始めた。
市長殺害事件が、少しずつ形を変えようとしている。
