コンテンプト・オブ・コート 2-1
アンカレッジ刑務所。
面会室の扉が閉まる。
マイクとローリーが向かいに座ると、少し遅れてカーターが入ってきた。前回と同じ囚人服だった。手錠を外されたカーターは、椅子に座るなりマイクを見た。
「また来たのか」
「話がある」
「俺はない」
カーターは机に両腕を置いた。
ローリーは隣で黙っている。
マイクが口を開いた。
「カーター。俺がお前の弁護をする」
「断ったはずだ」
「考え直せ」
「必要ない」
カーターは短く答えた。
「俺の弁護士は100%勝つと言った。お前の弁護などいらない」
マイクは少しだけ目を細めた。
「100%?」
「そうだ」
「絶対に勝つという弁護士は怪しい。やめとけ」
カーターの眉が動いた。
「何を根拠に言ってる」
「弁護士は未来を断言する仕事じゃない」
「俺の弁護士は勝てる材料を持ってる」
「……それなら、その弁護士に任せればいい」
マイクは椅子の背にもたれた。
「俺は止めない」
カーターが黙る。
マイクも黙った。
面会室には空調の音だけが響いた。
ローリーが二人を交互に見る。
「……もういいでしょう」
マイクが振り向く。
「何が?」
「話にならない」
ローリーは立ち上がった。
「馬鹿らしい、帰ろう」
カーターがローリーを見る。
「お前はまともそうだな」
「ありがとうございます」
「なのに、どうしてこいつと一緒にいる?」
「私も聞きたいです」
ローリーはマイクを見た。
「この人、自分の考えを説明しないんです」
「説明する必要がない」
「そういうところです」
カーターが小さく笑った。
「弁護士なら、もっとまともな奴を選べ」
マイクは立ち上がった。
「それはお前が決めることじゃない」
「俺は今の弁護士を変えない」
「そうか」
マイクは扉へ向かった。
ローリーも後に続く。
扉の前でマイクが振り返った。
「カーター」
「何だ」
「100%勝つって言った弁護士の言葉だけは、忘れるな」
カーターは答えなかった。
マイクは扉を開けた。
ローリーとともに面会室を出る。
廊下を歩きながら、ローリーが言った。
「本当に帰るの?」
「帰る」
「何もできなかったけど」
「今日はな」
ローリーがマイクを見る。
「今日は?」
マイクは答えなかった。
刑務官が背後で面会室の扉を閉めた。
カーターは一人、椅子に座ったまま扉を見ていた。
