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新生児のB型肝炎ワクチン接種が遅れると感染率高まる=研究

B型肝炎は血液や体液を通じて感染するウイルス性疾患で、乳幼児期に感染すると慢性化する確率が極めて高い。
B型肝炎ワクチンのイメージ(Getty Images)

新生児に対するB型肝炎ワクチンの接種を遅らせると、感染者数が増加する可能性が高いとする研究結果が公表され、医療専門家の間で懸念が広がっている。米国で行われた複数の研究によると、従来推奨されてきた「出生後24時間以内の接種」を見直し、接種開始を遅らせた場合、乳児の感染リスクや死亡率、医療コストがいずれも増大する可能性が示された。

この研究は数百万人規模の出生データや感染モデルを基に分析したもので、ワクチン接種を2カ月遅らせるだけでも急性・慢性のB型肝炎感染が増え、死亡例や医療費の増加につながると推計されている。さらに遅延期間が長くなるほど影響は深刻化し、感染者数や死亡数はいずれも大きく増加する傾向が確認された。

B型肝炎は血液や体液を通じて感染するウイルス性疾患で、乳幼児期に感染すると慢性化する確率が極めて高い。特に出生時や直後に感染した場合、約90%が慢性化し、将来的に肝硬変や肝がんなどの重篤な疾患に進行するリスクを抱える。

これまで米国では、こうしたリスクを防ぐため、すべての新生児に対し出生直後のワクチン接種を行う「ユニバーサル接種」が長年推奨されてきた。この政策により、小児の感染率は大幅に低下し、事実上ほぼ排除された状態に近づいていた。しかし、近年は政策変更により、母親が陰性と確認された場合には接種を遅らせる新たな方針が導入され、議論を呼んでいる。

研究者たちは母親の感染検査が完全ではない点を特に問題視している。実際には、一定数の妊婦が検査を受けていなかったり、結果が適切に管理されていなかったりするケースが存在する。このため、出生時にワクチンを接種しない場合、感染リスクのある新生児を見逃す可能性がある。また、家庭内での接触による感染も無視できず、乳児期の早い段階での防御が重要である。

さらに、接種開始が遅れると、その後の定期接種を完了できない割合が増える傾向も指摘されている。ワクチン接種は複数回に分けて行われるため、初回接種が遅れるほどスケジュール全体が崩れやすく、結果として免疫を十分に獲得できない子どもが増える恐れがある。

医療関係者の多くは、出生時接種の重要性を強調している。ワクチンは安全性が確立されており、長年にわたる実績もある。感染後の治療には限界がある一方、予防は比較的容易であるため、「最も確実な対策は早期接種である」との見解が主流である。

今回の研究結果はワクチン政策のわずかな変更が公衆衛生に大きな影響を及ぼし得ることを示している。感染症対策においては、個々のリスクが低いと見なされる場合でも、集団全体での防御を維持することが重要であり、専門家は引き続き慎重な判断を求めている。出生直後のワクチン接種をめぐる議論は今後も医療現場と政策の双方で大きな論点となり続ける見通しである。

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