介護する人にもセルフケアが必要、米国で6300万人が担う無償ケア、心身の負担深刻
全米介護連盟と全米退職者協会がまとめた報告書によると、2025年には米国の成人約6300万人が、病気や障害のある成人または子どもの介護を担った。
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米国で家族や知人の介護を担う人が増加する中、介護者自身の健康を守る「セルフケア」の重要性が改めて注目されている。介護に追われる人々が心身の疲弊を防ぐため、休息や運動、人とのつながりを確保し、必要に応じて周囲に助けを求めることが大切である。
全米介護連盟と全米退職者協会がまとめた報告書によると、2025年には米国の成人約6300万人が、病気や障害のある成人または子どもの介護を担った。これは成人のおよそ4人に1人に当たり、10年間で約50%増加した計算となる。介護の多くは無償で行われ、負担の長期化や複雑化が進んでいる。介護者の約3分の2が、強い精神的ストレスを感じているという。
ニューハンプシャー州で精神疾患のある子どもを持つ親や介護者の支援グループを率いるジェシカ・レンダ(Jessica Renda)氏も、介護と自身の生活の両立に苦しんだ経験を持つ。長女の精神面や行動上の問題に対応していた際、運動や自分の楽しみの時間を失い、心身ともに限界に近づいた。これを機に、自分自身のケアを優先する必要性を認識し、休息の確保や無理な要求を断ることを意識するようになった。
専門家は、セルフケアは特別な旅行や高額なサービスを利用することに限らないと指摘する。近隣住民や親族に短時間だけ介護を代わってもらう、睡眠を優先する、外を10分歩くといった小さな行動でも、疲労の蓄積を防ぐ助けになる。外出が難しい場合には、家の中を歩くだけでもよいという。
また、友人と会ったり電話で話したり、オンラインの支援グループに参加したりするなど、社会とのつながりを保つことも大切だ。支援団体の担当者は、介護者が完璧を求めすぎず、できる範囲で取り組むことが必要だと強調する。帰宅後に車内で10分間一人になり、気持ちを落ち着けることもセルフケアになり得る。
ニューハンプシャー大学の研究者ジェニファー・ラバレー(Jennifer LaValley)氏は、介護を担っている人の中には、自分を介護者だと認識していない人が少なくないと指摘する。買い物の代行、請求書の支払い、庭仕事、通院の手伝いなど、日常的な支援も介護に含まれるが、本人がその役割を自覚していなければ、利用できる支援制度にたどり着けない可能性がある。
こうした状況を受け、ダートマス大学と関連医療機関は最近、介護者向けの相談支援や教育、在宅介護サービスへのアクセスを提供する「ファミリー・ケアギバー・インスティテュート」の設立を発表した。高齢化や慢性疾患を抱える人の増加に対応し、介護者を支える体制の整備を目指す。
介護者は医療・福祉を支える重要な存在だが、自身の健康を犠牲にすれば、介護を続けられなくなる恐れもある。介護を個人や家族だけの責任とせず、周囲の支援と制度を組み合わせ、介護する側も支えられる環境を整えることが課題となっている。
