韓国人の糖類摂取量、アイスより市販キムチの方が多い、知っておくべきポイント
今回のソウル大学健康文化事業団による分析で明らかになったのは、韓国人の糖類摂取において、キムチが無視できない供給源になっているという事実である。2023年の韓国人1人当たりのキムチ類由来糖類摂取量は1日平均2.30gで、アイスクリームの1.42g、菓子類の1.18gを上回った。
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現状(2026年11月時点)
韓国で、日常的に食べられているキムチが、アイスクリームや菓子よりも多くの糖類を供給しているという調査結果が注目を集めている。2026年10月26日、ソウル大学健康文化事業団が韓国の国民健康・栄養調査のデータを分析した結果として公表され、韓国の主要メディアが相次いで報道した。
注目されたのは、2023年の韓国人の食品群別糖類摂取量である。キムチ類から摂取する糖類は1人1日平均2.30gで、アイスクリームの1.42g、菓子類の1.18gを上回った。キムチは韓国の食卓に欠かせない伝統食品であり、一般的には発酵食品、野菜食品、健康的な副菜として認識されているだけに、この結果は意外性をもって受け止められた。
ただし、この数値を正確に理解するには注意が必要だ。キムチ100gに含まれる糖類がアイスクリーム100gより多いという意味ではなく、韓国人が実際にキムチを食べる頻度や量を反映させた、食品群別の1日当たり糖類摂取量を比較したものである。
つまり、今回の調査が示しているのは、キムチがアイスクリームより甘いという事実ではない。甘くないと感じる食品であっても、日常的に大量かつ頻繁に食べることで、国民全体の糖類摂取量に相当な影響を与える可能性があるということだ。
この問題は、韓国だけに特有のものではない。日本でも漬物、煮物、総菜、調味済み食品などに砂糖や水あめが使用されることがあり、食品の味覚的な印象と実際の糖類含有量が一致しない場合がある。韓国の研究結果は、健康的な食事を心掛けている人であっても、主食や副菜、調味料を含めた食生活全体を確認する必要があることを示している。
発表の概要と背景
今回の発表の基礎となったのは、韓国の国民健康・栄養調査である。同調査は、韓国国民の健康状態、食生活、栄養摂取状況などを継続的に把握するための全国規模の調査で、韓国の保健政策や栄養政策を検討する際の重要な基礎資料となっている。
ソウル大学健康文化事業団は、この調査の食事摂取データを分析し、韓国人がどのような食品から糖類を摂取しているのかを調べた。特に注目されたのは、従来から糖類の多い食品として認識されてきた清涼飲料水、菓子、パン、アイスクリームだけでなく、日常的な食事に含まれるキムチや副菜にも相当量の糖類が存在している点だった。
2023年の加工食品由来の糖類摂取量は、1人1日平均35.5gだった。その内訳を見ると、炭酸飲料が4.43gで最も多く、パン類が3.15g、コーヒーが2.74g、砂糖類が2.34g、キムチ類が2.30gと続いている。
この結果から、キムチ類は加工食品由来の糖類摂取量全体の約6.5%を占めることになる。単一の食品群として見ると、キムチ類は炭酸飲料やパン類ほど上位ではないものの、アイスクリームや菓子類を上回っており、日常的な食事における糖類供給源として無視できない存在となっている。
一方、研究の背景には、韓国人の糖類摂取経路そのものが変化しているという問題がある。従来、糖類の過剰摂取といえば、清涼飲料水、菓子、ケーキ、アイスクリームなど、甘味の強い食品や間食が主な対象とされてきた。しかし、近年は間食から摂取する糖類が減少する一方、食事から摂取する糖類の割合が増加している。
ソウル大学の分析によると、間食由来の糖類摂取量は2019年の1人1日平均17.7gから、2023年には15.6gへと2.1g減少した。これに対し、食事由来の糖類摂取量は同じ期間に19.0gから19.9gへと0.9g増加している。
この変化は、糖類摂取の問題が単に甘いものを食べ過ぎるという従来型の理解では捉えきれなくなっていることを意味する。間食を控えていても、普段の食事に含まれる加工食品や市販総菜を通じて、知らないうちに糖類を摂取している可能性がある。
さらに、今回の発表を単独の報道として扱うべきではない理由もある。2026年6月には、ソウル大学の研究者である権成玉らが、韓国人の加工食品由来糖類摂取と糖類の過剰使用に関する横断研究を専門誌に発表している。2019年から2024年までの国民健康・栄養調査を利用した研究であり、今回の報道の背景にある韓国人の糖類摂取状況を理解するうえでも重要な資料となる。
同研究では、平均的な糖類摂取量が減少傾向にあっても、子ども、青少年、若年成人では世界保健機関の推奨基準を超える人の割合が高いことが示された。特に学齢期の女子では、基準を超える割合が41.4%に達しており、国民全体の平均値だけでは把握できない世代別の問題が存在している。
したがって、今回のキムチに関する発表は、単に伝統食品に糖類が含まれているという話ではない。韓国の食生活が変化するなかで、加工食品の利用、食事の簡便化、糖類摂取の世代差などが複雑に関係していることを示す、栄養政策上の重要な問題提起と位置付けられる。
今回の発表を評価する際には、糖類の定義と調査方法を混同しないことが重要である。食品に含まれる糖類には、原材料に自然に存在する糖類と、製造・調理の過程で添加される糖類があり、両者を区別しなければ、キムチが健康に与える影響を過大評価するおそれがある。
また、2023年の数値は国民全体の平均値であり、すべての韓国人が毎日同じ量の糖類をキムチから摂取しているわけではない。年齢、性別、所得、食習慣、自家製キムチと市販キムチの利用状況などによって、実際の摂取量には差があると考えられる。
さらに、今回の調査は食品群別の摂取量を分析したものであり、キムチの摂取が肥満、糖尿病、虫歯などの疾病を直接引き起こすことを証明した研究ではない。糖類摂取の実態を明らかにする研究と、特定の食品が疾病の原因になることを検証する研究は、明確に分けて理解する必要がある。
このように、今回の発表は「キムチは健康に悪い」という単純な結論を導くものではない。むしろ、健康的と考えられている食品であっても、製造方法や加工の程度、摂取頻度によって栄養学的な評価が変わるという点に重要な意味がある。
食事からの糖類摂取の増加
今回の研究発表で、キムチがアイスクリームを上回ったという結果と同じくらい重要なのが、韓国人の糖類摂取経路に変化が起きていることだ。これまで糖類の過剰摂取対策では、清涼飲料水、菓子、ケーキ、アイスクリームなど、甘味の強い食品や間食が主な対象となってきたが、近年は通常の食事から摂取する糖類の比重が高まっている。
ソウル大学健康文化事業団が国民健康・栄養調査を分析した結果によると、韓国人の間食由来の糖類摂取量は2019年の1人1日平均17.7gから、2023年には15.6gに減少した。一方、食事由来の糖類摂取量は同じ期間に19.0gから19.9gへ増加しており、両者の動きは対照的である。
この変化によって、糖類摂取全体に占める食事の割合は、2019年の51.8%から2023年には56.1%へ上昇した。つまり、間食を減らす取り組みが一定の成果を上げている一方、日常の食事に含まれる糖類への対策が追い付いていない可能性がある。
ただし、食事由来の糖類が増加したからといって、韓国人全体の糖類摂取量が増え続けているわけではない。間食由来の減少幅が食事由来の増加幅を上回ったため、両者を合わせた糖類摂取量は2019年の36.7gから2023年には35.5gに減少している。
問題は、糖類摂取の総量が減少していても、その供給源が変化していることだ。甘い飲み物や菓子を控えるだけでは、食事に含まれる糖類を十分に減らせない可能性があり、糖類対策の対象を間食から食事全体へ広げる必要が生じている。
この背景には、韓国の食生活や食品購入行動の変化がある。かつては家庭で食材を購入し、キムチや副菜を自ら調理する世帯が多かったが、共働き世帯の増加、単身世帯の拡大、生活時間の変化などにより、市販のキムチや調理済み副菜を購入する機会が増えている。
こうした変化は、食事の準備に必要な時間を短縮し、食品の選択肢を広げるという利点を持つ。一方、加工・調理済み食品の利用が増えれば、家庭で調理する場合とは異なる量の砂糖、水あめ、果糖を含む原材料などを摂取する可能性がある。
特に韓国の食事では、キムチだけでなく、煮物、漬物、炒め物、和え物など、複数の副菜を組み合わせることが一般的である。個々の副菜に含まれる糖類が少量であっても、複数の料理を毎食食べることで、食事全体から摂取する糖類が積み重なる構造になっている。
したがって、今回の調査結果は、単純にキムチの糖類含有量だけを問題にしているわけではない。食品を家庭で調理する食生活から、市販の加工食品や調理済み食品を組み合わせる食生活へ移行することによって、糖類摂取の実態が変わっている可能性を示している。
意外な「糖類供給源」としてのキムチ
韓国人の糖類摂取源としてキムチが注目された最大の理由は、その食品としての性格にある。キムチは白菜、大根、唐辛子、ニンニク、ショウガ、魚介類の塩辛などを使用して作られる発酵食品であり、一般的には甘い食品として認識されていない。
韓国の食文化において、キムチは単なる副菜ではない。家庭の食卓、飲食店、学校給食、職場の食堂など、幅広い場面で提供され、白米や肉料理、スープ類と組み合わせて食べられる日常食品である。
このため、1回当たりの摂取量が極端に多くなくても、食べる頻度が高ければ、長期的には糖類摂取に一定の影響を与える。アイスクリームのように食べる機会が限定される食品とは異なり、キムチは朝食、昼食、夕食のいずれにも登場する可能性がある。
2023年の調査では、キムチ類からの糖類摂取量は1人1日平均2.30gだった。これに対し、アイスクリームは1.42g、菓子類は1.18gであり、キムチ類はアイスクリームを約62%上回り、菓子類の約1.95倍に達している。
この数値は、キムチがアイスクリームより糖類を多く含む食品であることを示しているわけではない。食品群ごとに、実際に食べた量や頻度を反映させた1日当たりの糖類摂取量であり、キムチが日常的に食べられる食品であることが結果に影響している。
また、キムチ類は加工食品由来の糖類摂取量35.5gのうち約6.5%を占める。炭酸飲料やパン類に次ぐ上位の供給源であり、伝統的な副菜が現代の加工食品由来糖類の摂取構造に組み込まれていることが分かる。
ここで重要なのは、キムチがもともと持つ糖類と、製造過程で加えられる糖類を区別することだ。白菜や大根などの野菜には天然由来の糖類が含まれており、発酵の過程では微生物が糖類を利用して乳酸などを生成するため、完成したキムチに含まれる糖類は原材料や製造条件によって変わる。
一方、市販キムチでは、味の調整や製品の品質を考慮して砂糖や水あめなどが使用される場合がある。家庭で作るキムチと市販キムチでは、原材料の配合や甘味の付け方が異なることがあり、同じ白菜キムチという名称でも糖類の含有量が一致するとは限らない。
さらに、キムチは辛味、塩味、酸味、うま味が複雑に組み合わさった食品である。甘味が前面に出にくいため、消費者は砂糖などが使用されていても、その存在や摂取量を意識しにくいという特徴がある。
この点は、栄養学的にも消費者行動の面でも重要である。食品の甘さを手掛かりに糖類摂取量を判断する方法には限界があり、味覚上は甘く感じない食品にも、相応の糖類が含まれている可能性を考慮しなければならない。
キムチの摂取頻度と蓄積的な影響
キムチの特徴は、1回当たりの摂取量だけでなく、食べる頻度が高いことにある。韓国では、キムチを単独で大量に食べるというより、食事のたびに少量ずつ複数回食べる習慣が定着している。
このような食品は、1回当たりの糖類摂取量が少なくても、毎日の食生活に組み込まれているため、長期的な摂取量に影響する。例えば、1日平均2.30gという数値を単純に365日分に換算すると、年間約840gになる。
もちろん、この計算は2023年の平均摂取量が1年間変化しないと仮定した試算であり、個人の実際の摂取量を示すものではない。それでも、毎日食べる食品から摂取する少量の糖類が、年間では相当な量になることを理解するための参考になる。
また、キムチだけを見ても問題の全体像は把握できない。韓国の食卓には、甘辛く味付けした煮物、醤油や砂糖を使った炒め物、果物や水あめを加えた漬物なども並ぶため、それぞれの食品から摂取する糖類を合算する必要がある。
したがって、糖類の摂取量を減らすには、甘い飲料や菓子を控えるだけでは不十分となる場合がある。毎日食べる副菜や調理済み食品についても、原材料や栄養成分を確認するという視点が必要になる。
なぜ「キムチ」に多くの糖類が含まれるのか?
キムチが糖類の供給源として注目される理由は、白菜や大根などの野菜に天然の糖類が含まれていることに加え、製造過程で甘味を補う原材料が使用される場合があるためだ。特に市販キムチでは、味の調整、製品の食べやすさ、製造上の安定性などを考慮して、砂糖や水あめ、果実由来の原材料が配合されることがある。
韓国の代表的な白菜キムチは、白菜、塩、唐辛子、ニンニク、ショウガ、ネギ、魚介類の塩辛などを基本原料とする。これに米粉やもち米粉を使ったのり状の材料、砂糖、果物、各種調味料などを加えることで、辛味、酸味、塩味、うま味、甘味のバランスを整える。
キムチの味は、単純に辛い、酸っぱいというものではない。唐辛子の刺激、塩辛や魚醤のうま味、野菜の自然な甘味、発酵による酸味が組み合わさっており、製造者はそれぞれの要素を調整しながら製品を作っている。
そのため、糖類は必ずしも甘味を強く感じさせる目的だけで使用されるわけではない。辛味や塩味を和らげ、全体の味を調和させる目的でも使用されるため、消費者が糖類の存在を味覚だけで判断することは難しい。
また、キムチの原材料に含まれる糖類は、すべて製造時に添加されたものではない。白菜や大根などの植物性食品にはもともと糖類が含まれており、これらはキムチの発酵に関わる微生物の栄養源にもなる。
キムチの発酵では、乳酸菌などの微生物が野菜や調味原料に含まれる糖類を利用し、乳酸をはじめとする有機酸を生成する。発酵が進むと酸味が強くなり、糖類の一部が消費されるため、製造直後と発酵が進んだ段階では糖類の残存量が異なる。
この点は、キムチの糖類含有量を考えるうえで重要である。原材料に砂糖を加えたからといって、その全量が完成品に残るわけではなく、発酵温度、保存期間、乳酸菌の活動、原材料の配合などによって最終的な糖類含有量は変化する。
一方、発酵によって糖類が減少するからといって、添加糖類の問題がなくなるわけではない。製造時に多くの糖類を加えれば、発酵後にも一定量が残る可能性があり、発酵が進む前に消費される製品では、糖類が比較的多く残っている場合もある。
したがって、キムチの糖類含有量は、原材料だけでなく、製造工程と流通・保存条件を含めて評価する必要がある。単に「発酵食品だから糖類が少ない」と判断することは、栄養学的には適切ではない。
砂糖や水あめの添加
市販キムチの糖類を考えるうえで、特に注目すべき原材料が砂糖と水あめである。これらは食品製造において広く使用される甘味原料であり、キムチでは味の調整や辛味・酸味とのバランスを取るために利用されることがある。
砂糖は、主としてショ糖から構成される甘味料である。キムチに加えることで、唐辛子や塩辛による刺激を和らげ、食べやすい味に仕上げる効果が期待できる。
水あめは、でんぷんを分解して製造する糖化製品であり、ブドウ糖、麦芽糖、その他の糖類などを含む。甘味だけでなく、粘度や食感にも影響するため、調味料や食品加工の原材料として使用される。
韓国のキムチ製造では、もち米粉や米粉を水と加熱して作るのり状の材料が使用されることがある。この材料は唐辛子粉や各種調味料をなじませる役割を持ち、製造者によっては水あめなどを組み合わせて、味や粘度を調整する。
さらに、梨、リンゴ、タマネギなどの果実・野菜をすりおろして加える製法もある。これらは自然な甘味や香りを与える一方、果物に含まれる果糖やブドウ糖なども製品中の糖類に寄与する。
ここで注意すべきなのは、原材料に果物が使われているからといって、糖類が存在しない、あるいは健康上の影響がないということにはならない点だ。食品の栄養成分として評価する場合には、糖類が天然由来か添加由来かだけでなく、最終製品にどれだけ含まれているかが重要になる。
また、砂糖、水あめ、果実濃縮物などが同時に使用される場合、それぞれの配合量は少なくても、合計すると相応の糖類になる可能性がある。原材料表示では複数の甘味原料が別々に記載されることがあるため、砂糖という単語だけを確認しても、製品の糖類全体を正確に把握できない。
市販キムチの糖類含有量が製品ごとに異なるのは、このような原材料の組み合わせや配合比率が統一されていないためである。白菜キムチという同じ分類であっても、辛口、甘口、熟成用、即席用など、製品の目的によって味付けは変わる。
したがって、市販キムチを購入する際には、商品名や辛さの表示だけでなく、原材料名と栄養成分表示を確認することが望ましい。特に砂糖、水あめ、果糖、ブドウ糖、濃縮果汁などが複数使用されている製品では、糖類の含有量を個別に確認する必要がある。
市販キムチと家庭製造キムチの違い
市販キムチと家庭で作るキムチの違いは、糖類の問題を考えるうえで重要な比較対象となる。家庭製造の場合、白菜や大根などの野菜、唐辛子、ニンニク、ショウガ、塩辛などを使用し、砂糖や果物を加えるかどうか、どの程度加えるかは家庭ごとに異なる。
一方、市販キムチは、多数の消費者に販売する商品であるため、味の均一性、製造効率、保存・流通条件、消費者の嗜好などを考慮する必要がある。原材料の調達から製造、包装、輸送、販売までを管理しなければならず、家庭製造とは異なる品質管理上の制約が存在する。
特に、製造ロットによって味が大きく変化しないようにすることは、食品メーカーにとって重要な課題である。原材料となる白菜の産地、収穫時期、水分量、成熟度などが異なれば、自然な甘味や食感にも違いが生じるため、調味原料を使って味を調整することがある。
また、消費者が好む味も一定ではない。辛味や酸味が強い伝統的なキムチを好む人がいる一方、甘味があり、購入直後から食べやすいキムチを好む人もいるため、メーカーは複数の商品を展開している。
このような商品開発や製造上の事情が、糖類を含む原材料の使用につながる場合がある。ただし、市販品の方が家庭製造品より必ず糖類が多いと断定することはできず、実際には製品ごとの比較が必要である。
さらに、家庭製造品であっても、砂糖や果物を多く使用すれば糖類は増える。反対に、市販品でも砂糖などの添加を抑えた製品は存在するため、製造方法だけで栄養価を判断するのは適切ではない。
発酵食品だから糖類が少ないとは限らない
キムチをめぐるもう1つの誤解は、発酵食品である以上、糖類が少ないはずだという考え方である。確かに、キムチの発酵では乳酸菌が糖類を利用するため、発酵の進行に伴って糖類の一部が減少する。
しかし、発酵は糖類を完全に取り除く工程ではない。原材料に含まれる糖類の量、添加された糖類の量、発酵に関与する微生物の種類、温度や保存期間などによって、完成品に残る糖類の量は変化する。
また、キムチの発酵は、糖類を減らすことだけを目的として行われるものではない。乳酸などの有機酸を生成して独特の酸味を生み出し、香りや食感を変化させることで、キムチ特有の品質を形成する工程である。
このため、発酵が進んだキムチと、製造直後に近いキムチでは、糖類の残存量や味に違いが生じる可能性がある。ただし、酸味が強いから糖類が必ず少ない、甘味があるから必ず多いという単純な関係ではない。
糖類の量を正確に知るには、官能評価だけでなく、食品分析による測定が必要となる。甘味、酸味、塩味という味覚上の特徴だけで栄養成分を推測することには限界がある。
糖類の種類と健康への影響を区別する
糖類を分析する際には、砂糖、水あめ、果糖、ブドウ糖などの違いも理解しておく必要がある。これらは化学的な構造や代謝上の特徴が異なるものの、いずれも食品から摂取する糖類として扱われる場合がある。
世界保健機関は、肥満や虫歯などのリスクを抑える観点から、遊離糖類の摂取量を総エネルギー摂取量の10%未満に抑えることを強く推奨し、可能であれば5%未満にすることを追加的に推奨している。ここでいう遊離糖類には、食品製造時や調理時に添加される糖類のほか、蜂蜜、シロップ、果汁などに含まれる糖類も含まれる。
ただし、野菜などに細胞構造の中で自然に含まれる糖類は、一般に遊離糖類とは区別される。したがって、キムチに含まれる糖類をすべて同じ健康リスクとして扱うことはできない。
また、韓国の調査で示された総糖類や加工食品由来糖類の数値を、そのまま世界保健機関が定義する遊離糖類の摂取量と比較することにも注意が必要だ。調査上の分類と国際的な栄養基準の定義が一致しているかを確認しなければ、政策的な評価を誤る可能性がある。
重要なのは、キムチを食べること自体を避けるのではなく、製品に含まれる糖類の量と、食生活全体で摂取する糖類の量を把握することだ。発酵食品としての利点と、製品によって異なる糖類含有量を切り離して考える必要がある。
摂取量の多さ(蓄積効果)
キムチから摂取する糖類の問題を考える際、重要なのは1回当たりの摂取量だけではない。日常的に食べる食品は、1回の摂取量が少なくても、食べる頻度が高ければ長期的な糖類摂取量に影響する。
2023年の韓国人のキムチ類由来糖類摂取量は、1人1日平均2.30gだった。この数値を年間に換算すると約840gとなり、1年間で約0.84kgの糖類をキムチ類から摂取する計算になる。
ただし、これは国民平均値を365倍した単純計算であり、個人が実際に摂取する量を示すものではない。また、キムチ類に含まれる糖類がすべて添加糖類や遊離糖類に該当するわけでもないため、この数字だけで健康への影響を判断することはできない。
それでも、毎日の食事に含まれる食品が、年間を通じて相当量の糖類を供給する可能性を示す点では意味がある。糖類摂取を管理する場合、清涼飲料水や菓子など、目立つ食品だけでなく、日常的に食べる副菜にも注意を向ける必要がある。
例えば、朝食にキムチ、昼食にキムチと味付けされた副菜、夕食に市販キムチと調理済み総菜を食べる場合、それぞれの食品に含まれる糖類が合算される。個々の食品では少量であっても、複数の食品を組み合わせることで、1日の摂取量が増える可能性がある。
このような現象は、キムチに限った問題ではない。日本でも、煮物、照り焼き、漬物、総菜、めんつゆ、ドレッシングなど、甘味を強く感じない食品から糖類を摂取することがある。
特に、加工食品を複数組み合わせて食べる場合には、個々の食品の栄養成分表示だけを見ても、食事全体の糖類摂取量を直感的に把握しにくい。食生活全体を評価するためには、食品ごとの摂取量と頻度を合わせて考える必要がある。
また、糖類の摂取量は、年齢、性別、身体活動量、総エネルギー摂取量などによって評価が異なる。体格や生活習慣が異なる人々に同じ数値を当てはめるのではなく、総エネルギー摂取量に対する割合や、糖類の種類を考慮することが重要である。
知っておくべきポイントと示唆
今回の研究結果から得られる最も重要な示唆は、食品の健康的なイメージと、実際の栄養成分を分けて考える必要があるということだ。キムチは野菜を原料とする発酵食品であり、乳酸菌や食物繊維などの観点から評価されてきたが、それによって糖類の含有量まで自動的に低くなるわけではない。
キムチには、発酵食品としての栄養学的な特徴と、製品によって異なる糖類含有量という2つの側面がある。糖類が含まれているという理由だけでキムチ全体を不健康な食品と判断するのも、発酵食品だから健康に良いと無条件に評価するのも適切ではない。
重要なのは、製品の原材料、糖類含有量、食べる量、摂取頻度を総合的に判断することだ。例えば、同じ白菜キムチでも、砂糖や水あめを多く使用した製品と、添加を抑えた製品では栄養成分が異なる可能性がある。
さらに、糖類摂取を考える際には、キムチ単独ではなく、食事全体に目を向ける必要がある。白米、肉料理、スープ、漬物、総菜などを組み合わせた韓国の一般的な食事では、複数の食品から糖類を摂取する可能性があるためだ。
もう1つ重要なのは、糖類を減らすことと、栄養バランスを改善することは必ずしも同じではないという点である。糖類を減らすために野菜や発酵食品の摂取まで極端に制限すれば、食物繊維やその他の栄養素の摂取が不足する可能性もある。
したがって、健康的な食生活を実現するには、食品を単純に善悪に分類するのではなく、栄養成分と摂取量を踏まえて選択する姿勢が求められる。キムチについても、食べることを避けるのではなく、糖類の少ない製品を選び、適切な量を継続的に食べるという考え方が現実的である。
「甘くない食品」への油断
今回の研究結果が社会に投げ掛けた重要な問題の1つは、消費者が食品の甘さを基準に糖類の摂取量を判断していることだ。甘い食品には砂糖が多く含まれていると考える一方、辛い食品、塩辛い食品、酸っぱい食品については、糖類が多く含まれているとは考えにくい。
しかし、食品の味と糖類含有量は必ずしも一致しない。糖類は甘味を付けるためだけでなく、辛味や酸味とのバランスを調整したり、食品全体の味を整えたりする目的でも使用されるからだ。
例えば、韓国のキムチには、唐辛子の辛味や乳酸発酵による酸味がある。そのため、砂糖や水あめが使用されていても、甘味だけが際立つことはなく、消費者が糖類の存在を意識しにくい。
同じような問題は、韓国の副菜であるうずら卵の煮物、ニンニクの漬物、甘辛い味付けの総菜などにも見られる。果実シロップや砂糖を使用していても、塩味や酸味が強ければ、食品全体としては甘く感じられない場合がある。
日本でも事情は似ている。きんぴらごぼう、肉じゃが、煮豆、照り焼き、漬物などには砂糖やみりんが使用されることがあり、甘味が強くなくても糖類を摂取する可能性がある。
つまり、甘い食品だけを警戒する食生活では、糖類摂取の全体像を把握できない。味覚による判断から栄養成分表示に基づく判断へと、消費者の意識を変えていく必要がある。
知らず知らずの糖類過多
糖類の過剰摂取は、必ずしも大量の砂糖を一度に食べることで発生するわけではない。日常的に食べる食品に少量ずつ糖類が含まれ、それが複数の食事や間食を通じて積み重なることでも、摂取量は増加する。
特に問題となるのは、加工食品を複数組み合わせる食生活である。朝食にパンと飲料、昼食に市販総菜とキムチ、夕食に味付けされた肉料理と副菜を食べる場合、それぞれの食品から糖類を摂取することになる。
このような食事では、個々の食品の糖類含有量が少なくても、合計すると無視できない量になる可能性がある。消費者が食品ごとの糖類含有量を把握していなければ、本人が意識しないまま摂取量が増えてしまう。
世界保健機関は、肥満や虫歯などの予防を目的として、遊離糖類の摂取量を総エネルギー摂取量の10%未満にすることを推奨している。可能であれば5%未満に抑えることも追加的に推奨しており、成人では1日約2,000kcalの食事を想定した場合、それぞれ約50g未満、約25g未満が目安となる。
ただし、この基準は遊離糖類を対象としたものであり、食品に含まれるすべての糖類と同一ではない。野菜などに自然に含まれる糖類と、製造時に添加された糖類を区別し、適切に評価する必要がある。
また、糖類の過剰摂取が問題となる背景には、エネルギー摂取量の増加がある。糖類を多く含む食品や飲料を頻繁に摂取し、消費するエネルギー量を上回る状態が続けば、体重増加や肥満につながる可能性がある。
さらに、糖類を含む飲料は、固形食品と比較して短時間で摂取しやすく、満腹感を得にくい場合がある。こうした食品の特性も考慮すると、糖類の摂取量だけでなく、どのような食品から、どのような形で摂取しているのかを分析する必要がある。
糖類の過剰摂取は、糖尿病などの生活習慣病との関連でも注目される。ただし、糖尿病は遺伝的要因、肥満、身体活動、食事全体など複数の要因が関係する疾患であり、キムチや特定の食品を食べたことだけで発症するわけではない。
今回の研究結果から導かれるべき結論は、キムチを避けることではなく、日常的な食品の組み合わせを見直すことだ。特定の食品だけに注目するのではなく、飲料、主食、副菜、調味料、間食を含めた食生活全体を把握する必要がある。
表示制度や選択肢の必要性
消費者が糖類の摂取量を管理するためには、食品に含まれる栄養成分を正確に把握できる環境が必要になる。その中心となるのが、食品の原材料表示と栄養成分表示である。
韓国では食品医薬品安全処が食品表示制度を所管しており、加工食品などの対象品目について、熱量、ナトリウム、炭水化物、糖類、脂質、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール、たんぱく質などの表示を義務付けている。
また、韓国政府は栄養表示の対象を段階的に拡大する政策を進めている。2024年に発表された制度改正方針では、従来の対象品目に77品目を追加し、原則として栄養表示の対象を大部分の加工食品に広げる計画が示された。
この拡大は2026~2028年にかけて事業者の売上規模などに応じて段階的に実施する方針であり、2026年11月時点では移行期間にある。したがって、すべての加工食品について同一時点で表示が完了していると理解するのは正確ではない。
キムチについても、韓国では加工キムチなどを対象とした栄養表示の段階的な義務化が進められてきた。こうした制度の整備によって、消費者が購入時に糖類やナトリウムなどの情報を確認しやすくなることが期待される。
ただし、栄養成分表示があるだけで、消費者が適切な商品を選択できるとは限らない。表示内容を理解し、商品間で比較できることが重要であり、表示方法の分かりやすさも問われる。
例えば、糖類の含有量を100g当たりで表示するだけでなく、1食当たりの量も併記すれば、実際に食べる量に応じた比較がしやすくなる。キムチのように複数回に分けて食べる食品では、1回当たりの標準的な摂取量を示すことも有効だ。
また、メーカー側には、糖類を抑えた製品の開発や、原材料の使用量を見直す取り組みが求められる。甘味を抑えながら、発酵食品としての風味や食感を維持できれば、健康を意識する消費者にとって選択肢が広がる。
一方、糖類を減らすことだけを優先して、人工甘味料などに置き換えれば問題がすべて解決するわけではない。食品の味、栄養バランス、安全性、消費者の受け入れやすさなどを総合的に考慮する必要がある。
韓国政府にとっても、単に糖類の摂取を減らすよう国民に呼び掛けるだけでは十分ではない。食品メーカーが栄養成分を改善し、消費者が比較・選択しやすい市場環境を整備することが、持続的な糖類対策につながる。
今後の展望
今回のソウル大学健康文化事業団による分析は、韓国人の糖類摂取問題を考えるうえで、従来とは異なる視点を提示した。これまで糖類対策の中心だった清涼飲料水や菓子類だけでなく、キムチのように日常的に食べられる食品も、国民全体の糖類摂取に影響する可能性があることを明らかにしたからだ。
今後、韓国の糖類対策では、間食や飲料の摂取制限だけでなく、食事全体を対象とした栄養改善が重要になると考えられる。特に、市販キムチ、調理済み副菜、加工肉、調味済み食品など、日常的に購入・消費される食品について、糖類の含有量を把握し、必要に応じて製造方法を改善する取り組みが求められる。
食品メーカーにとっては、従来の味付けや製造方法を維持しながら、糖類の使用量を抑えることが課題になる。キムチの場合、甘味を単純に減らすだけでは、辛味や酸味とのバランスが変化し、消費者が期待する味から離れてしまう可能性があるため、発酵技術や原材料の組み合わせを含めた商品開発が必要になる。
例えば、果物や野菜が持つ自然な風味を生かすことや、原材料の配合を見直すことによって、添加する砂糖や水あめを減らせる可能性がある。また、発酵条件を適切に管理し、乳酸菌の活動や熟成による風味を活用することも、糖類削減と品質維持を両立させるための研究課題となる。
ただし、糖類の削減だけを優先して、塩分やその他の栄養成分を見落としてはならない。キムチは食塩を使用する食品でもあり、糖類、ナトリウム、食物繊維、発酵に関係する成分などを総合的に評価する必要がある。
韓国政府には、栄養表示制度の充実に加え、食品メーカーによる自主的な栄養改善を促す政策が求められる。食品の糖類含有量を消費者が比較しやすくし、健康を意識した商品を選択できる環境を整えることが重要だ。
また、学校給食や公共施設の食事についても、糖類摂取の実態を把握することが望ましい。子どもや青少年は糖類の摂取量が多くなりやすい世代であり、成長期の栄養バランスを維持しながら、過剰摂取を防ぐ食環境を整備する必要がある。
韓国の食品産業と消費者への影響
今回の研究結果は、韓国の食品産業にも影響を与える可能性がある。キムチは国内消費だけでなく、海外輸出においても重要な食品であり、健康的な発酵食品としての評価は、韓国食品産業の競争力を支える要素の1つとなっている。
そのため、糖類を含む製品が存在するという事実だけを強調し、キムチ全体の健康価値を否定するような議論は避けるべきだ。重要なのは、製品ごとの栄養成分を明らかにし、消費者が目的に応じて選択できるようにすることである。
今後は、低糖類キムチや砂糖の添加を抑えた製品への需要が高まる可能性がある。健康志向の消費者、高齢者、糖類摂取を管理する必要がある人などに向けて、原材料や栄養成分の違いを明確にした商品展開が進むことも考えられる。
一方、消費者側にも、食品の健康イメージだけで判断しない姿勢が必要になる。発酵食品、野菜食品、伝統食品という分類は、食品の特徴を理解するうえで有用だが、それだけで個々の商品の栄養価を判断することはできない。
市販キムチを購入する場合には、栄養成分表示の糖類だけでなく、食塩相当量や原材料名も確認することが望ましい。さらに、購入した食品をどの程度の量、どのくらいの頻度で食べるのかを意識することで、食生活全体の栄養バランスを調整しやすくなる。
日本の食生活にも当てはまる問題
今回の韓国の研究は、日本の食生活を考えるうえでも参考になる。日本にも、漬物、煮物、佃煮、総菜、たれ、ドレッシングなど、甘味が強くなくても砂糖や糖類を含む食品が数多く存在する。
例えば、肉じゃがやきんぴらごぼうには砂糖やみりんが使用されることがあり、市販の漬物や総菜にも味付けのための糖類が含まれる場合がある。これらを毎日の食事で複数組み合わせれば、甘い菓子や飲料をあまり摂取しなくても、食事由来の糖類が積み重なる可能性がある。
特に、単身世帯や共働き世帯の増加によって、調理済み食品や市販総菜を利用する機会が多くなれば、原材料や栄養成分を確認する重要性も高まる。食品の購入時に価格や味、容量だけでなく、糖類や食塩相当量にも目を向けることが必要だ。
もっとも、韓国のキムチの数値をそのまま日本の漬物や総菜に当てはめることはできない。食品の製造方法、原材料、摂取頻度、食習慣が異なるため、日本については日本人の国民健康・栄養調査や個別の食品成分分析を用いた検証が必要となる。
それでも、甘くない食品にも糖類が含まれるという問題は、日本でも十分に検討する価値がある。今回の研究は、食品の味覚的な印象ではなく、栄養成分と実際の摂取量に基づいて食生活を評価する必要性を示している。
研究結果の限界と今後必要な検証
今回の発表を学術的に評価するには、研究結果の限界も理解しておかなければならない。最も重要なのは、キムチ類からの糖類摂取量が1人1日平均2.30gだったという数値は、食品群別の摂取寄与量であり、キムチ100g当たりの糖類含有量を示すものではないという点だ。
また、今回の分析だけでは、市販キムチと家庭製造キムチの糖類含有量を厳密に比較することはできない。市販品の利用拡大が糖類摂取に影響しているという説明には合理性があるものの、購入形態別の摂取量や製品ごとの栄養成分を直接比較した研究が必要となる。
さらに、国民健康・栄養調査に基づく食事摂取データには、調査対象者の記憶や申告に依存する部分がある。実際の摂取量と申告内容が一致しない可能性があり、食品の分類や栄養成分データベースの精度も結果に影響する。
今後は、次のような研究が必要になる。
市販キムチと家庭製造キムチの糖類含有量の比較
製品別の砂糖、水あめ、果実由来原料の使用量の分析
発酵期間や保存温度による糖類残存量の変化
年齢、性別、所得別のキムチ摂取量と糖類摂取量の分析
キムチを含む食事全体の糖類摂取と健康指標との関連調査
糖類を抑えたキムチの開発と、味や品質に対する消費者評価
特に、キムチの糖類含有量と健康影響の関係を検証するには、単純な摂取量の比較だけでは不十分である。長期的な食事調査や食品分析を組み合わせ、糖類摂取と体重、血糖、虫歯などの健康指標との関連を検討する必要がある。
また、韓国人の糖類摂取に関する統計には、調査対象や糖類の定義、推計方法が異なる複数の数値が存在する。総糖類、加工食品由来糖類、添加糖類、遊離糖類はそれぞれ異なる概念であり、数値を比較する際には定義を統一することが不可欠である。
今回の発表は、こうした研究をさらに進めるための重要な出発点といえる。キムチという身近な食品を通じて、日常の食事に潜む糖類摂取の問題を可視化したことには、栄養政策や食品産業にとって大きな意義がある。
まとめ
今回のソウル大学健康文化事業団による分析で明らかになったのは、韓国人の糖類摂取において、キムチが無視できない供給源になっているという事実である。2023年の韓国人1人当たりのキムチ類由来糖類摂取量は1日平均2.30gで、アイスクリームの1.42g、菓子類の1.18gを上回った。
この結果は、キムチ自体がアイスクリームや菓子より甘いことを意味しない。日常的に食べる頻度や量が多い食品は、1回当たりの糖類含有量が少なくても、国民全体の摂取量に大きく寄与する可能性があるということだ。
また、韓国人の糖類摂取経路は変化している。2019年から2023年にかけて間食由来の糖類摂取量は減少した一方、食事由来の糖類摂取量は増加しており、糖類対策の対象を甘い飲料や菓子だけに限定することには限界がある。
市販キムチに砂糖や水あめなどが使用されることも、今回の問題を理解するうえで重要だ。発酵食品であることと糖類が少ないことは同義ではなく、原材料、製造方法、発酵条件、保存期間によって糖類の残存量は異なる。
ただし、キムチは野菜や発酵に由来する栄養学的な特徴も持っており、糖類が含まれているという理由だけで健康に悪い食品と判断するべきではない。重要なのは、糖類の含有量だけでなく、食塩、食物繊維、摂取量、食事全体のバランスを考慮することだ。
消費者に求められるのは、食品の健康イメージや甘さだけで栄養価を判断しないことである。市販キムチを含め、日常的に食べる食品の栄養成分表示を確認し、必要に応じて糖類の少ない製品を選択することが望ましい。
今回の研究が示した最も重要な教訓は、糖類の摂取は、甘いものを食べるときだけに発生する問題ではないということだ。 健康的な食生活を実現するためには、間食だけでなく、毎日の食卓に並ぶ食品まで含めて、食事全体を見直す必要がある。
参考・引用リスト
学術論文・研究資料
1. Nam, Y., Huang, L., Kim, C. & Yoon, J. (2026). Estimating added sugars intake among South Koreans: results from the 2023 Korea National Health and Nutrition Examination Survey. Clinical Nutrition Research, 15(3), 139–148. 2026年7月31日公開。
2. 韓国疾病管理庁(2026年)「韓国人の食事性糖類摂取:国民健康・栄養調査データ」。2016~2023年の糖類摂取傾向を分析した研究。
3. ソウル大学健康文化事業団による国民健康・栄養調査の分析。2019~2023年の食事・間食由来糖類摂取量と食品群別の糖類摂取寄与量。2026年10月公表。
政府・専門機関資料
4. 世界保健機関(2015年)Guideline: Sugars Intake for Adults and Children. 成人・子どもの遊離糖類摂取に関する国際的な推奨基準。
5. 韓国食品医薬品安全処(2024年8月9日)「2026年から加工食品の栄養表示を拡大」。2026~2028年にかけて段階的に表示対象を拡大する政策。
6. 韓国国家法令情報センター「食品等の表示・広告に関する法律施行規則」。栄養成分表示の対象と表示方法に関する法令。
7. 韓国食品医薬品安全処「食品表示制度」。加工食品の栄養成分表示に関する制度概要。
報道・関連資料
8. 朝鮮日報(2026年10月24日)「キムチを購入して食べるとアイスクリームより糖類摂取が多い」。ソウル大学の分析結果を紹介。
9. アジア経済(2026年10月26日)「毎日食べるキムチに注意報、菓子より多い糖類」。食品群別の糖類摂取量と食生活の変化を解説。
10. 聯合ニュース(2026年2月9日)「韓国人の過剰な糖類摂取、女性で高い割合」。韓国疾病管理庁の調査結果を紹介。
