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「ふるさと住民」27年3月開始、自治体の74%が参加意向、課題と今後の展望

ふるさと住民登録制度は、居住地以外の地域に継続的に関わる人々を登録し、地域活性化や担い手確保につなげることを目指す制度である。2027年3月の開始方針が報じられ、総務省の調査で1,788自治体のうち1,327自治体、74%が参加に前向きな意向を示したことは、地域外の人材との関係を強化する政策への期待の大きさを示している。
田んぼのイメージ(Getty Images)
現状(2026年10月時点)

総務省は居住地以外の地域に継続的に関わる人を「ふるさと住民」として自治体が登録する新制度について、2027年3月に開始する方針を決めた。2026年10月10日に報じられた共同通信の報道によると、総務省が全国の自治体を対象に実施した調査では、全1,788自治体のうち1,327自治体が参加に前向きな意向を示しており、全体の74%に達した。

この結果は、人口減少や高齢化が進む地域において、地域外の人材との継続的なつながりを政策的に活用しようとする動きが広がっていることを示す。ただし、74%という数字は、制度への参加に前向きな意向を示した自治体の割合であり、すべての自治体が参加を正式決定したことや、住民登録がすでに進んでいることを意味するわけではない。

制度の背景には、地方の人口減少が単なる居住人口の縮小にとどまらず、地域経済、自治会、祭り、農林水産業、防災活動など、地域社会を維持するための担い手不足に直結しているという問題がある。移住者の獲得や出生数の増加だけでこうした問題に対応することは容易ではなく、地域外に暮らしながら地域を支える人々の力を活用する必要性が高まっている。

政府は、2025年6月に閣議決定した地方創生の基本構想において、関係人口の拡大と質的向上を重要な政策課題に位置づけた。2034年度に向けて関係人口を実人数1,000万人、延べ人数1億人とする目標も掲げており、ふるさと住民登録制度は、こうした政策を具体化するための仕組みの1つといえる。

一方、2026年10月時点では、全国規模での制度運用に向けた準備と検証が重要な段階にある。自治体の参加意向が高いことは制度への期待を示すものの、実際にどれだけの人が登録し、継続的な訪問や地域活動に参加するかについては、運用開始後の検証が必要となる。

制度の概要と目的

ふるさと住民登録制度は、住民票を置く自治体とは別の地域に継続的に関わる人々を登録し、その人数や地域との関係性を把握できるようにする制度である。自治体が地域外の人々との接点を可視化し、地域活動への参加や地域経済の活性化、地域の担い手確保につなげることを基本的な目的としている。

従来、地域とのつながりは、出身地への帰省、観光、ふるさと納税、ボランティア、地域企業との取引など、さまざまな形で存在してきた。しかし、これらの関係は異なる制度や活動の中に分散しており、自治体が地域外の協力者を一体的に把握することは必ずしも容易ではなかった。

本制度では、スマートフォンのアプリなどを通じて登録し、地域との関わりを把握する共通の基盤を整備する方針が示されている。自治体ごとに独自の登録制度を一から構築するのではなく、全国共通の仕組みを活用することで、登録の手間を抑えながら、地域とのつながりを継続的な活動へ発展させることが期待されている。

制度には、要件を設けずに地域とのつながりを登録する「ベーシック登録」と、地域での担い手活動を伴う「プレミアム登録」が設けられる。プレミアム登録では、原則として地域で年3回以上の担い手活動を行うことが要件となり、自治体の判断により、地域を訪問した際の宿泊費や交通費などへの支援が想定されている。

ただし、制度の狙いは、登録者に一律の特典を配布して登録数を増やすことではない。登録を入口として地域との関係を深め、実際の訪問、地域活動への参加、地域経済への貢献などにつなげることが重要であり、登録の見返りとして現地での活動を伴わずに物品などを受け取れる仕組みとは区別する必要がある。

また、制度への参加は自治体の任意であり、全国一律の参加を義務づけるものではない。地域の人口規模や産業構造、既存の交流事業、受け入れ体制に応じて活用方法を検討できる点が特徴となる。

制度の定義

ふるさと住民登録制度を理解するうえで重要なのは、「ふるさと住民」が法律上の住民や、住民票を移した移住者と同じ意味ではないという点である。本制度は、住所地以外の地域に継続的に関わる人を把握するための政策的な登録制度であり、登録によって住民票上の住所が変更されたり、登録先自治体の住民と同じ権利や義務が自動的に発生したりするものではない。

制度の基礎となる「関係人口」とは、移住した「定住人口」でも、観光などで一時的に訪れる「交流人口」でもなく、特定の地域と継続的かつ多様な関係を持つ人々を指す概念である。例えば、地方出身で都市部に住みながら定期的に帰省する人、特定地域の農作業や祭りを支援する人、地域企業と継続的に取引する人、地域の課題解決に参加する人などが該当し得る。

この概念の特徴は、地域との関係を居住の有無だけで判断しないことにある。地域に住んでいなくても、知識、技能、資金、労働力、情報発信力などを通じて地域社会を支えることは可能であり、人口減少時代には、こうした人々を地域の重要な資源として捉える必要がある。

ただし、関係人口とふるさと住民登録者は完全に同一ではない。関係人口は地域とのつながりを広く捉える概念であるのに対し、ふるさと住民登録制度は、そのつながりを登録という形で把握し、自治体の施策に結びつけるための制度的な枠組みである。

また、登録者が必ずしも移住を目指す必要はない。仕事や家庭の事情から移住が難しい人でも、年に数回の訪問やオンラインでの支援、地域産品の購入、専門知識の提供などを通じて地域に貢献できるため、移住だけを成果指標にすると、制度本来の意義を狭めることになる。

このように、ふるさと住民登録制度は、住所を基準とした従来の住民概念を変更するものではなく、住所を越えた地域とのつながりを政策的に把握し、活用するための補完的な仕組みと位置づけられる。

主な狙い

制度の第1の狙いは、地域外にいる協力者を可視化することである。自治体には、地域に関心を持つ人や過去に関わった人が存在していても、その人数、関心分野、活動履歴などを十分に把握できていない場合があるため、登録制度を通じて継続的な関係づくりの基礎情報を整備することが重要となる。

第2の狙いは、地域活動の担い手を確保することである。人口減少と高齢化が進む地域では、祭りや伝統行事の運営、農林水産業の補助、観光案内、地域防災、空き家の管理など、地域住民だけでは維持が難しくなっている活動がある。地域外の人材が継続的に参加できる仕組みを整えれば、地域住民の負担軽減と活動の維持につながる可能性がある。

第3の狙いは、地域経済の活性化である。ふるさと住民が地域を訪問すれば、宿泊、飲食、交通、買い物などの需要が生まれるほか、地域産品の継続購入や地域企業との取引につながることも考えられる。ただし、経済効果は登録者数だけで決まるものではなく、訪問頻度、滞在時間、消費額、地域事業者への波及などを総合的に評価する必要がある。

第4の狙いは、地域との関係を段階的に深めることである。地域を知る段階から、訪問する段階、イベントに参加する段階、継続的な活動を担う段階へと関わり方を発展させることで、一度きりの交流を長期的な協力関係に変えていくことが期待される。

第5の狙いは、二地域居住や将来的な移住など、多様な暮らし方を支えることである。都市部で仕事を続けながら地方にも生活拠点を持つ人や、地域との関係を深めた後に移住を検討する人にとって、登録制度は地域と接点を持ち続けるための入口となり得る。ただし、移住は選択肢の1つであり、制度の成果を移住者数だけで評価すべきではない。

これらの狙いを実現するには、登録者を増やすことと、登録者が地域で活動できる環境を整えることを一体的に進めなければならない。登録者の関心と地域側の需要を適切に結びつけ、無理のない頻度で参加できる機会を提供することが、制度の実効性を左右する。

現状の検証と分析(高い参加意向の背景)

自治体の74%が参加に前向きな意向を示した背景には、人口減少への危機感だけでなく、国が全国共通の制度基盤を整備することへの期待があると考えられる。自治体が独自に関係人口の名簿を作成し、交流事業を企画し、参加者との連絡を継続するには、人員や予算が必要となるため、国の共通システムを利用できることには一定の利点がある。

この点を考えるうえで参考になるのが、自治体を対象とした関連調査である。一般社団法人自治体DX推進協議会が2026年7〜8月に実施した、46都道府県・242自治体を対象とする調査では、ふるさと住民登録制度への関与に前向きな回答が72.3%となった一方、外部財源の活用に前向きな回答は97.9%に達した。

この調査は総務省による全国調査とは対象も方法も異なるため、74%という数字を直接裏づけるものではない。しかし、自治体が制度そのものに関心を持つだけでなく、財源確保や運営負担の軽減を強く求めていることを示す参考材料となる。

したがって、高い参加意向は、制度の理念への賛同だけでなく、地域課題を解決する新たな手段を確保したいという自治体側の実務的な期待を反映しているとみられる。ただし、参加意向と実際の成果は別の指標であり、制度開始後には登録者数だけでなく、継続的な活動への参加率や地域側の負担軽減などを検証する必要がある。

深刻な人手不足・担い手不足への危機感

自治体がふるさと住民登録制度に期待する最大の理由の1つは、地域社会を維持するための人手と担い手が不足していることである。人口減少は、行政サービスの利用者が減るという問題だけではなく、地域の仕事や共同活動を支える人が減少し、住民だけでは従来の地域機能を維持できなくなるという構造的な問題を引き起こす。

農山漁村では、農作業の繁忙期に必要な人員の確保、農地や森林の管理、地域産品の販売、伝統行事の継承などが課題となる。都市部でも、商店街の活性化、町内会の運営、防災活動、高齢者の生活支援などにおいて、地域の担い手不足が深刻化する可能性がある。

こうした課題に対して、移住者を増やす政策だけで対応することには限界がある。仕事や家族の事情によって移住できない人も多く、移住を前提とした地域振興では、地域に貢献する意思や能力を持ちながら、住所を移せない人々を十分に活用できないからである。

ふるさと住民登録制度は、こうした人々を地域の外部にいる協力者として位置づけ、地域活動への参加機会を提供するものである。例えば、都市部の会社員が休日に農作業を支援する、専門職の人が地域企業の経営改善に協力する、出身者が祭りの運営を手伝うといった形で、居住地を変えずに地域の課題解決に参加できる。

ただし、外部人材を受け入れれば、直ちに人手不足が解消するわけではない。作業内容の説明、参加者の安全管理、宿泊や移動の調整、地域住民との関係づくりなど、受け入れる側にも一定の労力が発生するため、活動を設計する自治体や地域団体の能力が成果を左右する。

特に重要なのは、地域が本当に必要としている仕事と、登録者が提供できる能力を結びつけることである。地域側が求めていない活動を外部から持ち込んだり、単純な労働力として登録者を扱ったりすれば、継続的な関係は築きにくい。

自治体の参加意向の高さは、地域外の人々を新たな担い手として迎え入れることへの期待を示している。しかし、その期待を実現するためには、登録者の数を増やす施策だけでなく、地域の需要を具体化し、活動の受け入れ体制を整える取り組みが不可欠である。

「ふるさと納税」に続く関係性強化のツールとしての期待

ふるさと住民登録制度が注目される背景には、ふるさと納税を通じて地域への関心を高めてきた経験もある。ふるさと納税は、自治体への寄附を通じて地域を応援できる仕組みとして普及し、地域産品の認知向上や自治体の情報発信、地域との接点づくりに活用されてきた。

一方、寄附をした人が、その後も地域を訪問したり、地域活動に参加したりするとは限らない。寄附が単発の金銭的な支援にとどまる場合、地域との関係を継続的に深めるためには、別の仕組みが必要となる。

ふるさと住民登録制度は、寄附によって生まれた関心を、訪問や活動参加へと発展させる可能性を持つ。地域の情報を継続的に届け、イベントや担い手募集を案内し、参加した人が次の活動につながる機会を得られるようにすることで、単発の応援を継続的な関係へ変えていくことが期待される。

ただし、ふるさと納税と本制度は、制度の目的も仕組みも異なる。前者が寄附を通じた財政的支援を主な手段とするのに対し、後者は地域との関係を登録し、活動参加や訪問を促すことに重点を置くため、両者を単純に一体化するのではなく、相互補完的な制度として活用することが望ましい。

例えば、ふるさと納税の寄附者に対して、寄附先の地域で開催される行事やボランティア活動の情報を案内することが考えられる。地域産品を購入した人が生産者との交流に参加し、その後に農作業支援や地域イベントの運営に携わるようになれば、消費を入口として地域との関係が段階的に深まる可能性がある。

このような展開が実現すれば、地域にとっては寄附金や商品販売だけでは得られない継続的な協力者を確保でき、登録者にとっても、自分が応援する地域をより深く知る機会となる。ただし、登録そのものを返礼品のような特典の獲得手段に変えてしまえば、制度の本来の目的が損なわれるため、活動への参加を中心に据える必要がある。

温度差の存在(消極的な自治体の懸念)

自治体の74%が参加に前向きである一方、残る自治体のすべてが同じように制度を評価しているわけではない。2026年10月10日の共同通信報道では、参加に消極的な自治体から、事務負担や財政負担が重くなることを懸念する意見が出ていると伝えられた。

こうした温度差は、制度への理解不足だけで説明できるものではない。自治体によって人口規模、財政力、職員数、観光資源、既存の交流事業、地域住民の受け入れ態勢などが異なるため、制度を活用することで得られる利益と、導入に伴う費用や負担の大きさも異なるからである。

すでに移住相談や地域おこし協力隊、二地域居住、都市部との交流事業などに取り組んでいる自治体では、既存施策との連携によって制度の効果を高められる可能性がある。反対に、地域外の人材を受け入れる窓口がなく、活動機会も十分に整っていない自治体では、登録制度を導入しても具体的な成果につなげるまでに時間がかかると考えられる。

また、登録者が増えた場合に、誰が活動を調整し、事故やトラブルに対応し、地域住民との間を取り持つのかという問題もある。制度の登録手続きが全国共通化されても、地域で活動を受け入れるための実務まで自動的に効率化されるわけではない。

特に職員数が限られる小規模自治体では、制度の準備や運用が既存業務に上乗せされる可能性がある。地域活性化のために新しい制度を導入した結果、職員の負担が増え、既存の住民サービスや地域振興事業に影響が及ぶようでは、政策全体としての効果は限定的になる。

さらに、地域外の人々を積極的に受け入れることに対して、地域住民が必ずしも一様に賛成するとは限らない。地域の慣習や文化への理解が不足したまま外部人材が活動した場合、善意による支援であっても、地域側との認識の違いや摩擦が生じる可能性がある。

したがって、参加に消極的な自治体を一律に後ろ向きと評価することは適切ではない。国は参加意向の高さだけを成果として捉えるのではなく、自治体が参加を判断する際の障壁を把握し、地域の実情に応じて段階的に導入できる環境を整える必要がある。

「ふるさと住民」制度の主要な課題

1.自治体の事務負担とシステム運用コスト

「ふるさと住民」制度を持続的に運用するうえで、最初に問題となるのが自治体の事務負担である。制度への参加意向を示す自治体が74%に達していても、登録者の募集、本人確認、登録情報の管理、情報発信、活動実績の把握、問い合わせ対応などを継続的に担えるとは限らない。

とりわけ、人口減少が進む小規模自治体では、制度の担当職員を新たに配置する余裕が乏しい。既存の職員が通常業務と兼務する場合、登録者への対応が後回しになり、制度を導入したにもかかわらず、期待した成果を上げられない可能性がある。

また、登録者が増えるほど、管理する情報や対応すべき案件も増加する。登録者の属性、関心分野、過去の参加実績などを適切に管理できなければ、個々の登録者に合った情報提供や活動機会の紹介は難しくなる。

この問題を軽減するには、国が共通の登録基盤や管理システムを整備し、自治体が個別にシステムを開発する必要性を減らすことが重要である。登録手続きや情報更新を簡素化するとともに、自治体間で共有できる事務処理の標準化を進めることも求められる。

ただし、全国共通のシステムを整備すれば、すべての課題が解消するわけではない。地域ごとに異なる活動内容や住民のニーズを反映できる柔軟性を確保しながら、個人情報の保護、不正利用の防止、情報管理の責任範囲を明確にする必要がある。

2.登録者数を追うことによる形骸化のリスク

第二の課題は、登録者数の拡大が制度運営の目的にすり替わることである。自治体が成果を分かりやすい数字で示そうとすると、実際の地域活動への参加や継続的な交流よりも、登録者数の増加を優先する誘因が生じる。

登録者数が多くても、その大半が自治体からの情報を受け取るだけで、地域との接点を持たないのであれば、制度が地域社会にもたらす効果は限定的となる。登録者数を政策成果の中心に据えると、登録後の活動状況や地域への貢献が十分に評価されず、制度が名目的なものになるおそれがある。

この問題を防ぐには、登録者数だけでなく、実際に地域を訪れた人数、ボランティアや地域行事への参加回数、地域産品の購入、地域企業との取引、継続的な情報交換など、複数の指標を用いる必要がある。さらに、登録後にどのような関係が生まれ、地域側にどのような変化が生じたのかを定期的に検証することが重要である。

もっとも、地域への関わり方は一様ではない。現地での活動に参加する人もいれば、遠隔地から寄付や購入を通じて地域を支える人、専門知識を提供する人、地域の情報を発信する人もいるため、単一の基準で貢献度を評価することは適切ではない。

したがって、制度の評価では、参加回数の多さだけでなく、関係の継続性や活動の内容も考慮すべきである。自治体は登録者に一律の活動を求めるのではなく、それぞれの生活環境や能力に応じた参加方法を用意する必要がある。

3.登録者にとってのメリットと参加動機の設計

第三の課題は、登録者が制度に参加する動機をどのように維持するかという点である。制度の理念に共感して登録する人がいても、継続的に地域と関わるための具体的な機会がなければ、登録後の関係は自然に薄れていく可能性が高い。

登録者にとって重要なのは、単に「ふるさと住民」という名称を得ることではなく、その地域と関わることで得られる経験や価値である。地域のイベントへの参加、地元企業や住民との交流、地域産品の購入、二地域居住や移住に関する相談、地域課題の解決に向けた活動など、実際に参加できる機会が必要となる。

一方、登録者への特典を過度に重視することにも注意が必要である。割引やポイントなどの経済的なメリットだけを前面に出すと、地域との関係を深める意思よりも、特典の獲得を目的とした登録が増える可能性がある。

また、特典を充実させるためには費用がかかる。財政基盤の弱い自治体が独自の割引制度や補助制度を拡充しようとすれば、制度運営費が膨らみ、他の行政サービスに影響するおそれもある。

そのため、自治体は経済的な特典だけでなく、地域の人々と交流できる機会や、地域づくりに参加できる仕組みを充実させるべきである。登録者が自分の知識や経験を生かし、地域社会の一員として一定の役割を果たせるようになれば、制度への参加を継続する動機も強まりやすい。

特に、専門的な技能を持つ人材や、地域に関心を持つ若年層、子育て世代、退職後の経験豊かな人々など、それぞれの特性に応じた参加機会を用意することが有効である。自治体は登録者を一括して扱うのではなく、関心や希望を把握し、適切な活動や地域の担い手につなぐ役割を担う必要がある。

4.自治体間の獲得競争と地域間格差

第四の課題は、自治体間で登録者の獲得競争が過熱する可能性である。制度が全国的に普及すると、自治体は登録者を増やすために、特典の拡充や広報活動の強化に力を入れるようになると考えられる。

しかし、知名度が高い観光地や、交通アクセスに恵まれた地域、財政的な余裕がある自治体は、登録者を集めやすい。これに対し、交通が不便な地域や、情報発信に十分な人員を割けない小規模自治体は、制度への参加に意欲があっても、登録者の獲得や継続的な交流の面で不利になる可能性がある。

自治体間の競争が特典の豪華さを中心に展開されれば、制度本来の目的から離れ、財政力の差がそのまま登録者数の差につながりかねない。各自治体が個別にシステムを整備し、広告費や運営費を競って投入することになれば、行政コストの増大にもつながる。

この問題に対処するには、自治体単独の取り組みだけでなく、複数の自治体が連携する仕組みを整えることが有効である。例えば、県内の複数地域を横断する体験プログラムや、地域ごとの特色を組み合わせた周遊企画を実施すれば、特定の自治体だけでなく、周辺地域にも人の流れを広げられる。

また、国や都道府県が制度運営に関する情報を共有し、規模の小さい自治体にも必要な支援を提供することが重要である。自治体間の競争を完全になくすのではなく、地域の特色を生かした取り組みを促しながら、制度運営に必要な基盤については協力できるようにすることが望ましい。

5.制度の成果を地域の実質的な利益につなげるために

以上の課題に共通するのは、制度への登録と、地域社会に対する実際の効果を区別しなければならないという点である。登録者数が増加しても、地域活動の担い手が増えず、地域経済への波及も乏しく、住民との交流も生まれないのであれば、制度の成果は限定的である。

制度の実効性を高めるには、自治体が登録者に対して情報を一方的に発信するだけでなく、登録者の関心や希望を把握し、地域側が必要とする活動との接点をつくることが重要である。地域住民、事業者、NPO、観光関連団体などが協力し、登録者が無理なく参加できる機会を継続的に提供する必要がある。

同時に、制度の導入そのものを目的化してはならない。自治体は、地域の人口構成、産業、交通事情、既存の交流事業などを踏まえ、どのような人々と、どのような関係を築きたいのかを明確にすることが求められる。

制度の成果を検証する際には、定量的な指標と定性的な評価を組み合わせることが望ましい。登録者数や活動回数などの数字に加え、地域住民や事業者の評価、参加者が地域との関係を継続する理由、活動を通じて生まれた新たな協力関係などを把握することで、制度の改善につなげられる。

「ふるさと住民」制度が地域の担い手不足や関係人口の拡大に寄与するかどうかは、制度を導入した自治体の割合だけでは判断できない。自治体の事務負担を抑えながら、登録者と地域の双方にとって意味のある関係を築き、その関係を長期的に維持できるかどうかが、制度の成否を左右することになる。

今後の展望と成功のポイント

ふるさと住民登録制度を実効性のある政策に発展させるには、登録者数の拡大を出発点としながらも、地域との継続的な関係を形成することを最終的な目標に据える必要がある。自治体の74%が参加に前向きな意向を示したことは、制度を全国に普及させるうえで追い風となるが、参加意向の高さだけで政策の成否を判断することはできない。

制度の成否を左右する第1の条件は、地域が抱える課題を具体的に把握することである。地域活動の担い手不足といっても、農繁期の労働力、専門知識を持つ人材、地域行事の運営、観光客への案内、情報発信など、必要とされる支援は地域によって異なる。

自治体は、制度への参加を決める前に、地域住民、事業者、農林水産業の関係者、地域団体などに対して聞き取りを行い、どのような活動で外部人材の協力が必要なのかを整理することが望ましい。地域側の需要を明確にすれば、登録者に対して具体的な参加機会を提示できるとともに、受け入れ後の行き違いを減らすことにもつながる。

第2の条件は、登録から活動参加までの道筋を設計することである。地域の情報を知る段階、実際に訪問する段階、短期的な活動に参加する段階、継続的な協力者になる段階へと、無理なく関係を深められる仕組みが必要となる。

第3の条件は、活動を受け入れる地域側の体制を整えることである。登録者が意欲を持って訪問しても、活動内容が不明確であったり、現地での連絡先がなかったりすれば、継続的な参加にはつながりにくい。活動の責任者、参加条件、安全管理、費用負担、成果の確認方法を事前に明らかにし、参加者と受け入れ側の双方が安心して関われる環境を整える必要がある。

第4の条件は、成果を測定し、制度の改善に反映することである。登録者数や活動件数だけでなく、参加者の継続率、地域団体の負担の変化、地域事業者への経済効果、住民の満足度などを把握することが重要となる。成果が確認できた活動を拡大し、効果が乏しい活動については原因を分析して見直すという循環を構築すべきである。

これらの条件を満たすためには、自治体だけで制度を運営するのではなく、地域住民、民間企業、大学、非営利団体などと協力し、それぞれの強みを生かす必要がある。ふるさと住民登録制度は、単独で地域の人口減少を解決する政策ではなく、既存の地方創生施策や地域活動をつなぐ基盤として活用することが望ましい。

持続可能な「関係人口エコシステム」の構築

関係人口を一時的な交流や単発のボランティアにとどめないためには、地域と登録者が継続的に関わり続けられる仕組みが必要である。ここでいう「関係人口エコシステム」とは、地域の課題、参加者の能力、活動機会、情報発信、費用支援、成果の評価が相互につながり、地域との関係が長期的に維持される仕組みを指す。

この仕組みでは、自治体がすべての活動を直接運営する必要はない。自治体は制度全体の調整役を担い、地域団体や企業が具体的な活動を提供し、登録者がそれぞれの関心や能力に応じて参加するという役割分担が考えられる。

例えば、農業を基幹産業とする地域では、農繁期の作業支援だけでなく、農産物の販売促進、加工品の開発、販路開拓などを組み合わせることができる。専門的な知識を持つ登録者が経営や情報発信を支援し、別の登録者が現地での作業に参加するような形で、複数の人材が異なる役割を担えば、単純な労働力の補充を超えた効果が期待できる。

観光地では、地域の歴史や文化を学ぶ交流事業を入口として、観光案内、伝統行事の運営、地域産品の企画、地域情報の発信などへ活動を広げることが考えられる。地域への理解を深めた人が情報発信の担い手となれば、新たな訪問者や協力者を呼び込む効果も生まれ得る。

ただし、関係人口エコシステムの構築には、地域側に活動を企画し、参加者を受け入れ、関係を維持する能力が必要となる。活動を支える中間支援組織や地域コーディネーターが不足している場合には、自治体が人材育成や組織づくりを支援することが重要である。

また、関係人口の価値は、地域外の人々が地域の課題を一方的に解決することだけにあるのではない。地域住民が自らの文化や技術を伝え、外部の人々から新たな知識や視点を得るという相互交流が成立してこそ、継続的な関係が形成される。

持続可能な仕組みを構築するには、活動を提供する地域側にも適切な利益が還元されなければならない。地域住民の無償労働に依存するのではなく、必要な経費を確保し、活動の調整や指導を担う人材を適切に支えることが、制度を長く運営するための条件となる。

国による財政・システム支援の必要性

ふるさと住民登録制度を全国に普及させるためには、国が共通の制度基盤を整備するだけでなく、自治体の運用能力や財政状況の違いを考慮した支援を行う必要がある。登録システムを全国共通化すれば、自治体ごとの開発費用や事務手続きの重複を抑えられる可能性があるが、地域活動の企画や受け入れに必要な費用まで自動的に解消されるわけではない。

特に、財政力が弱く、職員数も限られる小規模自治体では、制度を導入しても、登録者を受け入れるための担当者や活動予算を確保できない場合がある。こうした自治体が制度の恩恵を受けられなければ、財政力や人員に余裕のある自治体に登録者が集中し、地域間の格差が拡大するおそれがある。

国による財政支援では、登録者数に応じた一律の配分だけでなく、地域課題の深刻さ、受け入れ体制の整備状況、事業の実現可能性などを考慮することが望ましい。例えば、活動を調整する人材の確保、地域団体への運営支援、安全管理、参加者の移動費用など、制度の実効性を高めるために必要な経費を支援対象として検討する余地がある。

また、補助金を活用して事業を開始できても、支援期間が終了した後に活動が継続できなければ、制度の定着にはつながらない。国は初期導入費用への支援だけでなく、事業の自立化に向けた計画づくりや、地域内で費用を分担する仕組みの構築も後押しする必要がある。

システム面では、登録者の本人確認、登録情報の更新、活動履歴の記録、自治体からの情報発信などを、使いやすく安全な形で提供することが重要となる。自治体が必要な情報を適切に扱えるようにすると同時に、登録者が自分の情報の利用目的を理解し、安心して制度を利用できる環境を整えなければならない。

さらに、高齢者やデジタル機器の操作に不慣れな人が制度から排除されないよう、登録や相談の方法を複数用意することも課題となる。アプリを中心とした仕組みであっても、必要に応じて窓口や紙の案内を組み合わせるなど、利用者の状況に配慮した設計が求められる。

国は、制度の基本的な運用ルール、個人情報の取り扱い、活動時の安全管理、費用支援の考え方などについて、自治体が参照できる共通の指針を整備することが望ましい。全国共通の部分と自治体が独自に決められる部分を明確に分けることで、制度の信頼性を確保しながら、地域ごとの創意工夫を促すことができる。

加えて、制度開始後には、自治体ごとの運用実績や課題を継続的に把握し、制度設計の改善に反映する必要がある。国が導入自治体の声を集め、成功事例だけでなく、登録者が定着しなかった事例や運用負担が大きかった事例も共有すれば、後発の自治体が同じ問題を繰り返すことを防ぎやすくなる。

民間企業や地域コミュニティとの連携

ふるさと住民登録制度を地域社会の持続可能性につなげるには、自治体の行政活動だけでなく、民間企業や地域コミュニティとの連携が欠かせない。地域外の人々が持つ技能、経験、資金、情報発信力などを実際の活動につなげるためには、地域の仕事や活動機会を具体的に提供できる主体が必要となるからである。

民間企業は、地域での活動機会を提供するだけでなく、従業員の地域貢献活動や専門知識を生かした支援を通じて、制度に参加できる可能性がある。例えば、企業が従業員のボランティア休暇を活用して地域活動への参加を促したり、専門職の社員が地域企業の経営改善や情報発信を支援したりする仕組みが考えられる。

こうした取り組みは、企業にとっても、従業員の能力開発や地域社会との関係強化につながる可能性がある。ただし、企業側の利益だけが優先されないよう、地域側が必要とする支援内容を明確にし、活動の成果や費用負担について事前に合意しておくことが重要である。

地域の商工会、農業協同組合、観光協会、非営利団体、大学なども、制度を支える重要な主体となり得る。これらの組織は、地域の課題や活動機会を把握している場合が多く、登録者と受け入れ先を結びつける役割を担うことができる。

例えば、大学が地域課題の調査や実証事業に学生や研究者を参加させ、地域の事業者が実践の場を提供し、自治体が調整や費用面を支援するという連携が考えられる。地域外の専門人材と地元の担い手が協力することで、単発の支援にとどまらず、地域の知識や技術の蓄積につながる可能性がある。

一方、地域コミュニティとの連携では、外部人材の受け入れを地域住民の負担増につなげない配慮が必要である。参加者に地域の慣習や活動の目的を事前に伝え、現地で相談できる担当者を設けるとともに、受け入れ側の意見を定期的に確認することが望ましい。

また、民間企業や地域団体に協力を求める場合には、活動の責任範囲や事故時の対応、個人情報の管理、成果物の利用条件などを明確にする必要がある。制度への期待が大きいからこそ、善意や無償の協力に過度に依存せず、継続可能な役割分担を整えることが重要となる。

企業、地域団体、大学、自治体がそれぞれの強みを持ち寄り、地域課題と登録者の能力を結びつけられれば、ふるさと住民登録制度は単なる登録の仕組みを超えた地域協働の基盤となる。国による共通制度の整備と、地域に根ざした民間・住民主体の活動が組み合わさることが、制度の長期的な発展を支える条件である。

ふるさと住民登録制度を成功させるためには、登録者を集める仕組みと、地域との関係を維持する仕組みを一体的に構築する必要がある。国が共通の登録基盤や財政支援を整え、自治体が地域の課題を把握し、民間企業や地域コミュニティが具体的な活動機会を提供するという役割分担が重要となる。

とりわけ、制度を継続可能なものにするには、地域外の人材を一時的な労働力として扱うのではなく、地域と相互に利益を得られる協力者として位置づけることが求められる。登録者が地域に貢献する一方、地域側も参加者の知識や経験を尊重し、活動の成果を共有することで、継続的な関係が形成されやすくなる。

また、国の支援は、登録システムの整備や初期導入費用にとどまらず、地域の受け入れ能力を高めるための人材育成や運営支援にも及ぶことが望ましい。自治体間の財政力や人員の差を考慮しながら、地域の実情に応じて制度を活用できる環境を整えることが、全国的な普及と実効性の両立につながる。

今後の展望

2027年3月に開始予定のふるさと住民登録制度は、居住人口の増加だけに依存しない地方創生の仕組みとして注目される。人口減少と高齢化が進むなか、地域外に暮らす人々の知識、技能、労働力、資金、情報発信力を地域の維持と発展に生かすことは、今後の地域政策における重要な選択肢となる。

自治体の74%が参加に前向きな意向を示したことは、地域外の人材との関係を強化する政策への期待の大きさを示している。ただし、これは制度の成果を示す数字ではなく、参加に対する意向を示した数字であるため、実際の制度利用や地域課題の解決にどの程度つながるかは、運用開始後の検証を待たなければならない。

制度開始後にまず必要となるのは、登録手続きの円滑な運用と、登録者が地域で活動するための受け入れ体制の整備である。登録者の関心と地域の需要を結びつけ、参加者が無理なく活動を続けられる環境を整えることが、制度を定着させるための出発点となる。

初期段階では、全国一律の数値目標を追い求めるよりも、地域の特性に応じた運用モデルを確立することが重要である。農業支援、伝統行事の継承、観光振興、地域企業の経営支援など、地域ごとに異なる課題に合わせて活動を設計し、その実績から効果的な方法を抽出することが望ましい。

また、制度の普及を急ぐあまり、自治体の運営能力を超えて登録者を募集することは避けるべきである。活動機会が不足したまま登録者数だけが増えれば、参加者の期待を損なうとともに、地域住民や担当職員の負担が増える可能性がある。

制度の中長期的な発展には、自治体の担当部署だけでなく、地域団体、民間企業、大学、非営利団体などが協力する体制が必要となる。国は共通の制度基盤と財政支援を整え、自治体は地域の課題を把握し、地域の各主体が具体的な活動を提供するという役割分担が、持続的な運用の基礎となる。

成功を判断するための評価指標

制度の実効性を検証するためには、登録者数を中心とする評価から、地域との関係の継続性や具体的な成果を重視する評価へと発展させる必要がある。登録者数は制度の認知度や利用規模を把握するうえで有用だが、それだけでは地域の担い手不足が改善したかどうかを判断できない。

評価指標は、少なくとも登録、参加、継続、地域への効果、運営効率という複数の観点から構成することが望ましい。これらを組み合わせることで、登録者が増えているにもかかわらず活動参加が伸びない場合や、活動は活発でも自治体の負担が大きすぎる場合など、制度の問題点を把握しやすくなる。

評価の観点

主な指標

検証する内容

登録の普及

登録者数、登録者の属性や関心分野

制度が必要な層に届いているか

活動への参加

訪問者数、活動参加率、活動件数

登録が実際の行動につながっているか

関係の継続

翌年度の継続率、再訪問率、再参加率

一時的な交流で終わっていないか

地域への効果

担い手不足の改善、住民負担の変化、地域経済への波及

地域に実質的な利益が生じているか

運営の効率

事業費、職員の作業時間、活動1件当たりの費用

費用と効果の均衡が取れているか

参加者の満足度

活動後の評価、受け入れ側の満足度

双方にとって継続する価値があるか

ただし、これらの指標を全国一律に適用し、単純に自治体を順位づけすることは適切ではない。都市部の自治体と農山漁村では必要とされる活動が異なり、地域の規模や産業構造によって成果が現れるまでの期間も異なるからである。

そのため、国は共通して測定する基本指標を設定する一方、自治体が地域の課題に応じた独自指標を追加できるようにする必要がある。定量的な指標に加え、住民や参加者への聞き取り、地域団体の活動状況なども活用することで、数字だけでは把握しにくい変化を検証できる。

さらに、制度開始直後の実績だけで長期的な効果を判断しないことも重要である。地域との信頼関係や担い手の育成には時間がかかるため、短期的な登録者数や活動件数と、中長期的な地域社会の変化を区別して評価する必要がある。

制度が地域社会にもたらす効果と限界

ふるさと住民登録制度が適切に運用されれば、地域社会には複数の効果が期待できる。地域活動の担い手確保、地域産品の消費拡大、専門人材との協働、地域文化の継承、将来的な移住や二地域居住への発展などであり、地域外の人々との関係を多面的に活用できる点に制度の意義がある。

国の地方創生政策も、移住者の増加だけでなく、地域と継続的に関わる人々の拡大を重視している。内閣官房・内閣府が公表する関係人口関連資料では、特産品の継続購入、帰省、地域イベントへの参加、ボランティア、副業、二地域居住など、多様な関わり方が示されており、ふるさと住民登録制度はこうした関係を把握し、発展させるための手段と位置づけられる。

一方、本制度には明確な限界もある。登録者が増えたとしても、地域の雇用不足、医療や交通などの生活基盤の弱体化、産業の衰退、自治体の財政難といった構造的な問題が自動的に解決するわけではない。

地域外の人材による支援は、地域住民や地元企業の活動を補完するものであり、行政サービスや地域の基幹的な仕事を恒常的に代替するものではない。外部人材の参加を前提にしすぎると、受け入れや調整に関する負担が地域住民へ集中したり、無償の労働力に依存したりする危険性もある。

また、登録者の活動意欲や参加可能な頻度は、それぞれの生活環境によって異なる。すべての登録者に現地での活動を求めるのではなく、地域産品の購入や専門知識の提供なども含め、関わり方の多様性を認める必要がある。

したがって、制度を過大評価することなく、既存の地方創生施策や産業振興、地域福祉、交通政策などと組み合わせて活用することが重要である。ふるさと住民登録制度は、人口減少への万能薬ではなく、地域と外部の人々との関係を継続的に築くための政策基盤として評価すべきである。

まとめ

ふるさと住民登録制度は、居住地以外の地域に継続的に関わる人々を登録し、地域活性化や担い手確保につなげることを目指す制度である。2027年3月の開始方針が報じられ、総務省の調査で1,788自治体のうち1,327自治体、74%が参加に前向きな意向を示したことは、地域外の人材との関係を強化する政策への期待の大きさを示している。

高い参加意向の背景には、人口減少や高齢化に伴う担い手不足、移住政策だけでは対応しきれない地域課題、ふるさと納税などで生まれた地域への関心を継続的な活動につなげたいという期待がある。一方、自治体によって財政力や職員数、受け入れ体制が異なるため、制度への期待と実際の運用能力には差がある。

制度の主要な課題は、事務負担と費用の増加、登録だけで関係が深まらない形骸化、参加を継続するための動機付け、自治体間の過度な登録者獲得競争である。これらの問題を解決するには、登録者数だけを成果指標とせず、活動参加や継続率、地域側の負担軽減、経済的な波及効果などを組み合わせて評価する必要がある。

今後は、国による共通システムと財政支援、自治体による受け入れ体制の整備、民間企業や地域コミュニティとの連携を通じて、地域と登録者の双方に利益が生まれる仕組みを構築することが重要となる。登録者を一時的な協力者として扱うのではなく、地域と継続的に関わるパートナーとして位置づけることが、制度を持続可能なものにするための基本条件である。

最終的に、ふるさと住民登録制度の成否を決めるのは、登録者数の多さではなく、登録を通じて地域との関係がどれだけ深まり、地域社会の維持や発展にどの程度貢献できたかという点である。2027年3月の開始後は、自治体ごとの実績と課題を丁寧に検証し、地域の実情に応じて制度を改善していくことが求められる。


参考・引用リスト

1. 共同通信(2026年10月10日)「『ふるさと住民』27年3月開始、自治体の74%が参加意向」

2. 総務省(2026年3月27日)「『ふるさと住民』でモデル事業 7道県と21市町村選定」

3. 内閣官房・内閣府「関係人口の創出・拡大」

4. 内閣官房・内閣府「関係人口に関する調査」

5. 内閣官房・内閣府(2025年6月13日閣議決定)「地方創生2.0基本構想」

6. 内閣官房・内閣府「小さな拠点・地域運営組織/関係人口担当者会議」

7. 一般社団法人自治体DX推進協議会(2026年8月)「ふるさと住民登録制度に72.3%が前向き、外部財源の活用は97.9%」

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