国連安保理、ハイチのギャング掃討部隊を延長へ、治安回復と復興支援が焦点
GSFはケニア主導の多国籍部隊を前身とし、ギャングの影響力を抑え、ハイチ国家警察が治安を回復するための時間と環境を確保することを目的としている。
.jpg)
国連安全保障理事会は9月30日、ハイチで活動する「ギャング掃討部隊(GSF)」の任務更新をめぐる投票を予定している。
ハイチでは2021年のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺以来、武装ギャングが勢力を拡大し、首都ポルトープランスを中心に治安と統治機能の崩壊が続いている。英シンクタンク「チャタムハウス」は、現段階でGSFを撤退させることは適切ではなく、任務を迅速に延長するとともに、治安対策と並行して復興支援を拡大する必要があると指摘している。
GSFはケニア主導の多国籍部隊を前身とし、ギャングの影響力を抑え、ハイチ国家警察が治安を回復するための時間と環境を確保することを目的としている。2025年には国連安保理の決議によって任務が拡大され、ギャングの摘発能力を強化する部隊へと移行した。2026年にはチャドなどからの部隊も加わり、6月から本格的な対ギャング作戦を開始している。
GSFはポルトープランス近郊での捜索作戦やパトロール、ギャングが設置したバリケードの撤去、武器・弾薬の押収などを進めている。7月の国連安保理への報告では、部隊の司令部や前線基地、情報部門、指揮統制体制が整備され、限定的ながら実戦活動へ移行したことが示された。
一方、治安作戦だけではハイチ危機を解決できないとの見方も強い。チャタムハウスは、ギャング掃討を継続する一方で、医療や教育などの公共サービスを再建するための国際的な資金拠出が不可欠だと指摘している。国際社会の支援が治安分野に偏れば、貧困や政治的混乱、行政機能の弱体化といった根本的な問題が残るためだ。
また、ハイチでは過去の国際介入に対する警戒感も根強い。外国部隊による人権侵害などの問題が過去に起きたことから、GSFについても民間人保護と透明性、説明責任を確保することが求められている。
今回の安保理投票は単なる任務延長ではなく、治安回復と政治・経済再建をどのように結び付けるかを問う機会となる。
チャタムハウスは、現時点でGSFを打ち切れば、ようやく始まった治安回復の動きを失う可能性があると警告する。国連が任務を延長する場合、その次の課題は部隊を維持するための資金だけでなく、ハイチ社会そのものを立て直すための長期的な国際支援を確保できるかどうかとなる。
