米・メキシコ、中間選挙前の貿易合意へ協議加速、自動車関税が焦点
メキシコのシェインバウム政権は景気低迷や信用格付けへの懸念を抱えており、米国との合意によって市場や投資家に安定を示したい思惑がある。
とトランプ米大統領(Getty-Images)-2.jpg)
メキシコと米国が、11月3日に行われる米中間選挙を前に、二国間の貿易合意をまとめようと協議を急いでいる。ロイター通信によると、米国はカナダとの通商交渉で合意に至らなかったことを受け、メキシコとの交渉を早期に進める動きが強まっている。正式な期限は設定されていないものの、双方にとって政治的、経済的な利点があるため、中間選挙前の合意を目指す機運が高まっている。
協議では、メキシコ製品に対する米国の一部関税を引き下げる代わりに、メキシコ側が自動車の米国産部品比率を高めることや、中国企業によるメキシコへの投資を厳しく審査することなどが焦点となっている。メキシコにとって米国は最大の輸出市場であり、輸出の8割以上が米国向けとなるため、米国との貿易関係の安定は経済運営に直結する。
特に難航が予想されるのが自動車分野だ。米国は鉄鋼やアルミニウム、自動車などに通商拡大法232条に基づく関税を課し、メキシコから米国へ輸出される車両には25%の関税がかかる。一方、日本や欧州連合(EU)、韓国などとの間では15%の自動車関税が設定されており、メキシコの自動車産業は競争上不利な状況に置かれている。
複数の自動車業界関係者は、米国がメキシコにも15%程度の関税枠を提示し、米国産部品の使用比率に応じて実効税率をさらに引き下げる案が検討される可能性を指摘している。これに対しメキシコは、エンジンや電子部品、ソフトウエアなどで米国製品の使用を増やすことを求められるとみられるが、明確な米国産比率の義務化には慎重な姿勢を示している。
メキシコのシェインバウム政権は景気低迷や信用格付けへの懸念を抱えており、米国との合意によって市場や投資家に安定を示したい思惑がある。一方、トランプ政権にとっても、選挙前にメキシコとの通商合意を実現すれば、関税政策による成果として国内にアピールできる。
ただ、米国産部品の拡大や中国投資の扱いなど、両国の利害が衝突する問題は残る。メキシコと米国が短期間で妥協点を見いだせるかが、北米の通商秩序と今後の米墨関係を左右することになる。
