トランプ政権の石炭火力「延命」命令、連邦控訴裁が違法と判断
今回の判決は、老朽化した石炭火力の延命を進めるトランプ政権のエネルギー政策にとって大きな打撃となる。
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米ワシントンDCの連邦控訴裁判所は11日、トランプ政権がミシガン州の石炭火力発電所を予定されていた閉鎖後も稼働させるために出した命令について、エネルギー省の権限を逸脱しているとの判断を示した。対象となったのは、64年の歴史を持つJ.H.キャンベル発電所である。
エネルギー省のライト(Chris Wright)長官は地域の電力供給の安定性を確保する必要があるとして、連邦電力法に基づく緊急権限を行使し、2025年5月に予定されていた同発電所の引退を延期させていた。しかし、ミシガン、イリノイ、ミネソタの3州と環境保護団体が提訴し、今回の判決では3人の判事による合議体が原告側の主張を認めた。
控訴裁は連邦電力法が認める緊急措置について、通常の政策手段では対応できない場合に限る「最後の手段」に近い性格を持つと指摘した。その上で、J.H.キャンベル発電所の閉鎖を覆すほどの法的な意味での緊急事態は存在しなかったと判断した。また10数年前に決まっていた発電所の引退を覆したこと自体が、制度上の問題を生じさせたとの見方も示した。
今回の判決は、老朽化した石炭火力の延命を進めるトランプ政権のエネルギー政策にとって大きな打撃となる。政権はこれまで、電力不足や送電網の信頼性を理由に、インディアナ、コロラド、フロリダ、ワシントン州などの石炭火力発電所についても閉鎖延期を命じてきた。今回の判断は、これらの措置にも法的な影響を及ぼす可能性がある。
さらに、J.H.キャンベル発電所の延命にはこれまで約2億5900万ドルの費用が発生しているとされる。環境保護団体は、こうした費用が中西部の家庭や企業の負担につながる一方、老朽化した石炭火力の稼働継続によって大気や水への汚染も続くと批判してきた。今回の判決は米国で進む「電力安定性の確保」と「老朽火力の廃止」をめぐる政策対立を改めて浮き彫りにした。
