イギリス、奴隷貿易への正式謝罪に前向き、賠償金支払いは拒否
英国は16世紀半ばから奴隷貿易に関与し、最盛期には世界最大の奴隷貿易国となった。
とチャールズ英国王(AP通信).jpg)
イギリスのバーナム(Andy Burnham)首相は11月1日、英国が大西洋奴隷貿易に関与した歴史について、正式な謝罪を検討する用意があると表明した。カリブ海地域で開かれる英連邦首脳らとの会合を前に、奴隷制の遺産と向き合い、被害を受けた国々との対話を進める姿勢を示した。英国政府が正式謝罪に前向きな姿勢を示すのは大きな政策転換となる。
一方、バーナム氏は金銭的な賠償には応じない考えを強調にした。現代の英国民が、異なる時代の法律の下で起きた歴史的な過ちについて責任を負うべきではないとの立場だ。代わりに、英連邦の貧困国が抱える債務の返済期間延長や金利引き下げを支援する構想を提示した。ブラウン(James Gordon Brown)元首相もこの取り組みに加わるという。
英国は16世紀半ばから奴隷貿易に関与し、最盛期には世界最大の奴隷貿易国となった。アフリカ人300万人以上を大西洋を越えて輸送し、カリブ海や米大陸の砂糖・たばこ農園などで労働を強いた。英国は1807年に奴隷貿易を禁止し、1833年には帝国内の奴隷制を廃止したが、国家として正式な謝罪はしていない。
カリブ共同体(CARICOM)は謝罪検討を歓迎する一方、「謝罪だけでは不十分」と主張する。各国は教育や公衆衛生への投資、先住民支援、債務免除、金銭補償などを求めている。セントルシア政府は11月1日、賠償を議論から排除した対話では完全な解決にならないと指摘し、債務救済を賠償の代替にすべきではないと訴えた。
チャールズ国王(King Charles III)も訪問先で過去の苦難と不正義に言及したが、謝罪や賠償には踏み込まなかった。保守党のベーデノック(Kemi Badenoch)党首は謝罪に反対しており、英国国内にも慎重論がある。
歴史認識をめぐる姿勢に変化が生じる一方、賠償を求めるカリブ諸国との溝は残されたままだ。
