ニカラグア大統領「今後選挙は行わない」独裁体制確立へ
オルテガ氏は演説で、選挙制度は外国勢力が支援する反政府勢力に権力奪取の機会を与える仕組みになっていると主張し、国家の安定を維持するためには現在の体制を維持する必要があると訴えた。
と妻のムリーリョ副大統領(左)(Getty-Images/AFP通信).jpg)
中米ニカラグアの独裁者であるオルテガ(Daniel Ortega)大統領は20日、首都マナグアで開かれた与党・サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)の式典で演説し、今後選挙を実施しない方針を表明した。来年に任期満了を迎える自身の政権に対する挑戦の可能性を事実上排除する発言であり、独裁政権の固定化につながるとして国内外で波紋を呼びそうだ。
オルテガ氏は演説で、選挙制度は外国勢力が支援する反政府勢力に権力奪取の機会を与える仕組みになっていると主張し、国家の安定を維持するためには現在の体制を維持する必要があると訴えた。一方で、実際にどのような法的手続きを経て選挙制度を廃止するのかについては説明しなかった。
オルテガ氏はFSLNの指導者として1979年の革命後に政権を担い、1990年にいったん下野したものの、2007年に大統領に復帰して以降政権を維持している。近年は権限集中を進め、2025年の憲法改正では妻のムリジョ(Rosario Murillo)副大統領が「共同大統領」に位置付けられるなど、政権基盤を一段と強化してきた。
国際社会はこうした統治手法に強い懸念を示している。国連人権理事会の専門家らは、ニカラグア政府が反体制派や市民団体、報道機関への弾圧を強め、国家を権威主義体制に変質させたと批判している。特に2018年の反政府デモでは数百人が死亡し、その後も野党指導者や活動家、ジャーナリストの拘束や国外追放が相次いだ。
2021年の大統領選挙では有力な野党候補が投票前に相次いで逮捕されたことから、米国や欧州連合(EU)などは自由で公正な選挙ではなかったと非難した。オルテガ氏は圧倒的な得票率で再選を果たした。
今回の「選挙を行わない」との発言は、こうした民主的手続きをさらに後退させる可能性がある。政権側は国家主権と安定維持を理由に正当性を主張しているが、反体制派や人権団体は権力の恒久化を狙った動きだと反発しており、国際社会による批判や追加制裁の議論が強まる可能性がある。
