SHARE:

ブラジル、燃料税を緊急減税、ルラ大統領がディーゼル補助を拡大、選挙を前に物価抑制

中東情勢の緊迫化を背景に原油価格が急騰し、国内の燃料価格にも上昇圧力がかかる中、消費者や物流業者への影響を抑える狙いだ。
2026年9月4日/ブラジル、首都ブラジリア、ルラ大統領(AP通信)

ブラジルのルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領は9日、ガソリンやエタノールへの連邦税を引き下げ、ディーゼル燃料への補助金を拡大する法案に署名した。中東情勢の緊迫化を背景に原油価格が急騰し、国内の燃料価格にも上昇圧力がかかる中、消費者や物流業者への影響を抑える狙いだ。10月に大統領選を控えるタイミングでの政策となり、選挙を意識した物価対策との見方も出ている。

今回の措置では、ガソリンにかかる連邦税を1リットル当たり0.63レアル引き下げる。エタノールについても1リットル当たり0.19レアルの税負担をなくす。措置は9月10日から10月5日までの期間限定で、政府は国際的な原油価格の急騰による国内価格への影響を一時的に吸収する考えだ。

さらに重要なのがディーゼルへの補助だ。政府は輸送用ディーゼルについて、1リットル当たり最大1レアルの新たな補助金を設定した。既存の支援策と合わせた補助規模はさらに大きくなり、政府の燃料価格対策にかかる月間財政負担は約70億レアル(約2100億円)に達する見通しとなっている。

背景には、米国とイランの軍事衝突によってホルムズ海峡を巡る懸念が強まり、北海ブレントが1バレル100ドルを超えたことがある。ブラジルは原油輸出国である一方、精製燃料では輸入への依存度が高く、国際価格の上昇が国内のガソリン・ディーゼル価格に波及しやすい。

特にディーゼル価格の上昇は物流費を押し上げ、食品など生活必需品の価格上昇につながる可能性がある。2018年には燃料価格を巡るトラック運転手の大規模ストライキが発生し、物流が混乱した。ルラ政権にとって燃料価格の安定は、インフレ抑制だけでなく社会的混乱を回避する意味でも重要な政策課題となっている。

一方、今回の措置には政治的な側面も指摘される。ルラ氏は再選を目指しており、選挙直前に家計への影響が大きい燃料価格を抑えることは、有権者への直接的なアピールとなる。政府は国際的な価格高騰への緊急対応と説明しているが、財政負担を伴う補助政策をいつまで維持できるかが今後の焦点となる。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします
あなたへのおすすめ