メキシコ各地で「死者の日」祝賀行事、観光客増加で伝統行事の保護も課題に
死者の日は2008年、ユネスコの無形文化遺産に登録された。国際的な知名度が高まる一方、地域の伝統を守りながら観光需要とどう両立させるかが課題となっている。
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メキシコ各地で10月末から11月2日にかけ、先祖や亡くなった家族をしのぶ伝統行事「死者の日(ディア・デ・ロス・ムエルトス)」の祝賀が行われている。鮮やかなオレンジ色のマリーゴールドやろうそくで街が彩られ、骸骨を優雅に表現した「カトリーナ」の化粧を施した人々が行列に参加する。死者の魂がこの時期に一時的に現世へ戻り、家族と再会すると信じられている。
この行事は、メキシコの先住民社会に伝わる農耕に関係した信仰に起源を持つ。1521年のスペインによる征服後、カトリックの伝統が融合し、現在の形になった。家庭では故人の写真や好物、食べ物、酒などを並べた祭壇を設け、死者を迎える準備をする。マリーゴールドは、その鮮やかな色で故人が帰る道を照らすとされる。パン店には死者の日に食べる伝統菓子「パン・デ・ムエルト」も並ぶ。11月1日の夜には、各地の墓地に家族が集まり、墓を飾って故人とのつながりを確かめる。
首都メキシコシティでは、主要道路を使った大規模なパレードが開催され、山車や仮装した参加者が街を練り歩く。ただし、カトリーナをあしらった山車が登場する現在のパレードは、2015年公開の映画「007 スペクター」のために考案され、その後、祝賀行事に取り入れられたものだ。伝統的な祭礼ではなかったため、地元住民の中には違和感を示す人もいる。
近年、死者の日は海外でも注目を集め、オアハカ州やミチョアカン州などには観光客が押し寄せている。一方、過度な観光によって地域社会や文化財に負担が生じる問題も浮上した。ミチョアカン州の湖上にあるハニツィオ島では、観光客の増加に伴い墓や十字架、墓地の外壁の一部が損傷したとして、地元当局が今年初めて墓地への観光客の立ち入りを禁止した。墓地への入場は、埋葬されている人の家族や友人に限定された。
死者の日は2008年、ユネスコの無形文化遺産に登録された。国際的な知名度が高まる一方、地域の伝統を守りながら観光需要とどう両立させるかが課題となっている。
