フランス海外県グアドループで「クレオール語」めぐり論争、仏語要求した行政長官に批判
グアドループではフランス語が公用語だが、クレオール語も広く話されている。
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カリブ海のフランス海外県グアドループで、クレオール語とフランス語をめぐる論争が起きている。発端は9月28日、島の行政長官ドゥヴィムー(Thierry Devimeux)氏が、漁師との会話の中でクレオール語を使われたことについて、「私に対して失礼だ」と発言したことだった。やり取りは動画で撮影され、SNSで拡散したことで大きな反発を招いた。
グアドループではフランス語が公用語だが、クレオール語も広く話されている。住民の多くは黒人で、クレオール語は奴隷として連れてこられた人々が自らの言語と欧州の植民者の言語を組み合わせたことから形成された。その後、インドから連れてこられた契約労働者が使っていたヒンズー語などの語彙も取り込まれた。
クレオール語は社会的に低く扱われ、18世紀にはフランス人聖職者から「壊れた言語」や「意味のない言葉」といった趣旨で表現された記録もある。一方、言語を文化的遺産として守ろうとする動きは続き、1990年代以降にはカリブ海地域の学校教育などで地域言語を扱う取り組みも進められた。
今回のやり取りで、漁師が「これはグアドループの遺産だ」と応じたのに対し、ドゥヴィムー氏は「私はクレオール語を話さないので、フランス語で話してほしい」と述べた。発言は単なる意思疎通の問題を超え、植民地支配の歴史や人種、階層をめぐる問題として受け止められた。
ドゥヴィムー氏はその後、SNS上で謝罪。漁師たちが直面する生活上の課題を理解しようとしていたものの、「発言は不適切なものだった」と説明した。しかし、SNSでは謝罪後も批判が続き、クレオール語を権力者の前では使うべきでない言語として扱うことへの反発が広がっている。
この問題は、グアドループにおけるフランス語とクレオール語の「共存」の難しさを改めて浮き彫りにした。カリブ海全体では約1500万人がクレオール語を話すとされ、ハイチではハイチ・クレオール語がフランス語とともに公用語となっている。
