「馬の密輸」が露呈させた米国の防疫の穴、スクリューワーム再侵入に警戒
スクリューワームは家畜や野生動物の傷口に幼虫を寄生させ、生きた組織を食べる害虫である。
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米国で家畜に寄生して傷口の組織を食い荒らす「スクリューワーム(新世界ラセンウジバエ)」への警戒が強まる中、メキシコからの「馬の密輸」が米国の防疫体制の弱点を浮き彫りにしている。
ロイター通信の調査によると、米・メキシコ国境では獣医検査などを経ない違法な動物の移動が続いており、スクリューワームの侵入・拡大を防ぐ上で大きなリスクとなっている。
スクリューワームは家畜や野生動物の傷口に幼虫を寄生させ、生きた組織を食べる害虫である。米国では1960年代に根絶されたが、近年メキシコなど中米地域で再び拡大し、2024年以降、メキシコでは馬を含む家畜で2000件を超える感染例が報告されている。米農務省はこうした動物の違法な移動がスクリューワームを北上させた可能性を指摘している。
問題を深刻にしているのが、国境を越える動物の密輸が容易に防げないことだ。ロイターの調査では、メキシコから米国へ馬を運ぶ密輸業者が、薬物や人の密輸にも使われるような監視の難しいルートを利用していることが明らかになった。
2026年5月には米南部テキサス州レッドフォード付近でリオグランデ川を通じて密輸された6頭の馬が確認された。この馬はスクリューワームに感染していなかったものの、合法的な輸入手続きや獣医検査を回避していたことが、防疫上の重大な懸念となった。
米当局は合法的な家畜輸入を制限するなど対策を強化しているが、密輸動物には通常の検査網が及ばない。しかも対象は馬だけではなく、牛、犬、その哺乳類などにも広がる可能性があり、国境管理と動物防疫を別々の問題として扱うことの難しさが浮かび上がる。
スクリューワームが米国内で広範囲に定着すれば、畜産業への経済的打撃は極めて大きくなる。ロイターによると、テキサス州だけでも被害額が最大18億ドルに達する可能性が指摘されている。
米国にとって必要なのは、合法的な輸入規制だけではなく、国境沿いの監視強化、メキシコ政府との情報共有、密輸摘発、動物の追跡体制を一体化した防疫網の構築である。
今回の馬の密輸問題はスクリューワームという農業上の脅威が、同時に国境管理と国家的なバイオセキュリティの問題でもあることを示している。
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