5万ドル超を「ラブブ」収集に費やした熱狂的ファン、世界的人気に陰り、ブーム終息の兆し

単なる流行を追う消費者と、キャラクターそのものに愛着を持つファンを維持できるかが、ポップマートの今後の成長を左右することになる。
ラブブのイメージ(Getty Images)

中国の玩具メーカー、ポップマートが販売するキャラクター人形「ラブブ(Labubu)」の世界的な人気に陰りが見え始めている。米ノースカロライナ州在住の熱狂的なコレクター、エンシト(Ensito)さんは、これまでに5万ドル(約790万円)以上を費やし、400体を超えるコレクションを築いた。しかし、かつて数万回の再生を集めたSNS投稿の反応が鈍くなり、世界的なブームの減速を実感している。

エンシトさんは2024年、IT関連の仕事を辞め、ラブブに関する動画制作を本業にした。新作を求めてイタリアやスペインまで足を運び、イベントではラブブ特有のギザギザした歯を再現した特注の歯も身に着けていた。しかし最近は動画の再生回数が伸び悩み、関心はハローキティや柔らかい感触のぬいぐるみなど、別のキャラクター商品に移っている。

ラブブは2019年に登場したポップマートの人気シリーズ「ザ・モンスターズ」のキャラクターだ。大きな目と尖った耳、ギザギザの歯を持つ独特の外見が特徴で、著名人がバッグに取り付けて紹介したことなどから世界的な人気に火が付いた。キム・カーダシアン(Kim Kardashian)さんや韓国の音楽グループBLACKPINKのリサらも愛用者として知られ、店舗には長蛇の列ができた。英国では購入を巡る客同士のトラブルが発生し、一時販売が取りやめられた店舗もあった。

人気を支えたのが、中身の分からない箱を購入する「ブラインドボックス」という販売方式だ。1箱15ドル前後の商品を開封するまで中身が分からず、目当ての人形を手に入れるために何度も購入する消費者が続出した。希少なモデルは転売市場で高値が付くこともあり、限定性と収集欲を刺激する仕組みが需要を押し上げた。人間ほどの大きさの特大モデルに15万ドル以上を支払った購入者もいたという。

しかし、ポップマートの販売実績には急激な変化が表れている。同社によると、9月末までの3カ月間におけるラブブの世界売上高は、前年同期比で45~50%減少した。特に中国本土以外での落ち込みが大きく、米国市場では70%以上減少したとされる。ザ・モンスターズ全体の売上高も2026年上半期に前年同期比7.5%減の44億5000万元となり、同社売上高に占める割合は34.7%から26%に低下した。

人気低下の要因として、専門家は商品の供給拡大による希少性の喪失を指摘する。需要増加に対応して生産を拡大した結果、以前は入手困難だった商品が店舗に並ぶようになり、購入すること自体の特別感が薄れた。ポップマートの株価も昨年の高値から50%以上下落しており、投資家の間では、一時的なSNSブームに依存した成長だったのではないかとの懸念が広がっている。

一方、ブラインドボックス市場そのものが消滅したわけではない。ソニーエンジェルや暗闇で光るスミスキーなどの競合商品が人気を集め、ミニソーもディズニーやマーベルのキャラクター商品を世界各地で販売している。ポップマートは北京にテーマパークを開設し、ラブブの映画化も発表するなど、キャラクターを長期的なブランドへ育てる取り組みを進めている。

熱狂が冷める中でも、70体を所有する英国のコレクターなど、収集を続ける愛好家は存在する。単なる流行を追う消費者と、キャラクターそのものに愛着を持つファンを維持できるかが、ポップマートの今後の成長を左右することになる。

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