ハイチ首都が停電発生、住民が水力発電所襲撃か=報道
ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
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ハイチの首都ポルトープランスで18日、水力発電所が襲撃を受けた影響により停電が発生した。
地元メディアによると、中部ミバレの水力発電所に17日午後、地元住民が押し入り、その影響で発電が止まったという。
ソーシャルメディアで拡散した動画には群集が発電所の建物内に侵入する様子が映っていた。
AP通信は目撃者の話しとして、「群衆が変電所内の送電鉄塔を倒したという情報がある」と伝えている。
政府と暫定大統領評議会はコメントを出していない。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。
ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。
国連は先週、ギャングがポルトープランスを越えて中央地域に影響力を拡大していると警告。今年1月から5月末までの間に少なくとも2680人がギャング暴力で死亡し、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると明らかにした。
地元メディアによると、17日午前にミバレで治安部隊とギャングが衝突したという。死傷者の情報はない。
ミバレの水力発電所が止まったのはこの数カ月で2回目。フィゼメ(Alix Didier Fils-Aimé)首相は先月、同様の事態が発生しないよう、主要インフラの警備を強化すると約束していた。