インド政府、モンスーンの雨不足を警告、インフレリスト高まる
気象台はエルニーニョ現象の発生によって雨量が平年を大きく下回る可能性があると警告しており、農業生産の落ち込みや食料価格の上昇を通じてインフレ圧力が強まる懸念が広がっている。
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インド政府は29日、2026年の雨季(モンスーン)の降水量が過去11年間で最も少なくなる見通しだと発表した。気象台はエルニーニョ現象の発生によって雨量が平年を大きく下回る可能性があると警告しており、農業生産の落ち込みや食料価格の上昇を通じてインフレ圧力が強まる懸念が広がっている。世界第5位の経済規模を持つインドにとって、モンスーンの雨不足は成長率や家計消費にも影響を及ぼす重要なリスク要因となる。
ラビチャンドラン(M. Ravichandran)博士は記者会見で、2026年のモンスーン降水量は平年の90%程度にとどまるとの見通しを示した。4月時点の予測では92%だったが、その後の気象データを反映して下方修正された。これが現実になれば、強いエルニーニョの影響で降水量が落ち込んだ2015年以来、11年ぶりの低水準となる。気象台は平年の降水量を長期平均の96~104%と定義し、今回の予測は明確な「平年以下」に分類される。
インドでは年間降水量の約70%をモンスーンが占める。農地の約半分は灌漑(かんがい)設備が十分整備されておらず、多くの農家が雨水に依存している。そのため降雨不足は農作物の作付けや収穫量に直結する。特に7~8月は農業にとって最も重要な時期で、この期間の降水量が不足すればコメや豆類、綿花、食用油原料作物、トウモロコシなどの生産に深刻な影響が出る可能性がある。北部や北西部の非灌漑地域では水田の収量低下も懸念されている。
経済面への影響も大きい。エコノミストたちは雨不足が続けば消費者物価上昇率が平均5.5%近くまで高まる可能性があると指摘している。4月のインフレ率は3.48%だったが、食料価格の上昇に加え、中東情勢の緊迫化によるエネルギー価格高騰も重なり、物価見通しは不透明さを増している。市場ではインド準備銀行(中銀)が年後半に利上げを迫られるとの見方も出始めている。
さらに、農村部の所得低下による景気減速も懸念される。インドの人口の約3分の2は農村地域に居住し、農業収入の落ち込みは二輪車や家電製品など消費財の販売減少につながりやすい。モンスーン不振は単なる農業問題にとどまらず、国内需要全体を冷やす要因となる可能性がある。
一方で政府は、コメや小麦など主要穀物の備蓄は十分確保されているとして過度な不安を抑えようとしている。また近年は灌漑設備の拡充や食料備蓄制度の強化が進み、過去に比べれば干ばつへの耐性は高まっている。それでもエルニーニョが予想以上に強まれば、食料価格や経済成長への打撃は避けられないとの見方が多い。猛暑と降雨不足が同時進行する中、今年のモンスーンの動向がインド経済の焦点となっている。
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