SHARE:

熱波続くインド、気温45度超、過酷な生活を強いられる貧困層

世界有数の人口を抱えるインドでは、今後さらに酷暑が増えると予測されており、気候変動への適応策が大きな課題となっている。
インド、首都ニューデリー、水を浴びる男性(AP通信)

インドの首都ニューデリーで猛烈な熱波が続き、気温が45度を超える中、貧困層が過酷な生活を強いられている。現地メディアによると、ブルーカラーやスラム街の住民の多くが健康被害の危険を理解しながらも、生活のために炎天下で働き続けざるを得ない状況に置かれている。専門家は「生き延びることが安全より優先されている」と指摘し、都市部における格差と気候変動の影響が深刻化していると警告している。

インド北部では例年を上回る熱波が続き、ニューデリーでは連日45度前後の高温が観測されている。気象台は外出自粛を呼びかけているが、多くの低所得者層にとって仕事を休む選択肢はない。建設作業員やリキシャ運転手、露天商、廃品回収業者などは日給制で働くケースが多く、一日休めば食料を買うことも難しくなるためだ。

英BBCニュースは炎天下の道路工事現場で働く男性の声を紹介している。男性は「暑さで頭がクラクラするが、働かなければ家族が食べていけない」と語った。ニューデリー周辺ではアスファルト道路の表面温度が60度を超える場所もあり、長時間の屋外作業によって熱中症や脱水症状が相次いでいる。医師によると、極端な高温は腎機能障害や心疾患のリスクを高めるという。

特に深刻なのはスラム街や非公式居住区に暮らす住民への影響である。こうした地域では狭いトタン屋根の家屋が密集しており、冷房設備を持たない家庭が大半を占める。室内温度は夜間でも下がりにくく、多くの人が十分な睡眠を取れない状態が続いている。水不足も深刻で、住民は限られた給水所に長い列を作っている。高温によって電力需要も急増し、停電が発生すると扇風機すら使えなくなる。

中央政府や地方自治体は給水車の増派や公共施設の冷房開放などの対策を進めている。しかし、人口が急増する都市部ではインフラ整備が追いつかず、支援は限定的だ。環境専門家は急速な都市化による「ヒートアイランド現象」が気温上昇をさらに悪化させていると指摘する。道路やコンクリート建築が熱を蓄積し、樹木や緑地の減少によって都市全体が高温化しているという。

また、気候変動によってインドの熱波は長期化・激化している。専門家によると、かつては数日程度だった”酷暑”が、現在では数週間続くケースも珍しくない。特に低所得層は冷房設備や医療へのアクセスが限られているため、富裕層よりも大きな健康リスクを抱えている。富裕層が冷房の効いた住宅や車内で暑さを避けられる一方、貧困層は灼熱の環境にさらされ続け、気候危機が社会的不平等を拡大させている実態が浮き彫りになっている。

専門家は短期的な暑さ対策だけでなく、都市計画の見直しや公共医療の強化、労働環境の改善が不可欠だと訴えている。世界有数の人口を抱えるインドでは、今後さらに酷暑が増えると予測されており、気候変動への適応策が大きな課題となっている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします