ルーマニア東部の集合住宅にロシアドローン墜落、2人負傷
ルーマニア政府は「ロシア製ドローンによる領空侵犯だ」と非難し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国への戦火拡大に対する懸念が高まっている。
.jpg)
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、ロシア製ドローンが29日、ルーマニア東部の集合住宅に墜落し、2人が負傷した。ルーマニア政府は「ロシア製ドローンによる領空侵犯だ」と非難し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国への戦火拡大に対する懸念が高まっている。
事故が起きたのは、ウクライナ国境に近い東部ガラツィ。ルーマニア国防省によると、ロシア軍がウクライナ南部への大規模攻撃を行った際、43機のドローン群のうち1機がルーマニア領空に侵入した。軍のレーダーが飛行経路を追跡していたが、ドローンは10階建て集合住宅の屋上部分に衝突し、爆発と火災を引き起こした。住民数十人が避難し、女性と子どもの2人が軽傷を負った。
ルーマニア政府はこのドローンがロシア製の「ゲラン2」であると特定した。ニクソル・ダン(Nicusor Dan)大統領は声明で、「ロシアから飛来し、ウクライナを経由してルーマニアに入った経路を把握している」と述べ、ロシア側の関与は明白だと強調した。また、少なくとも30キログラムの爆発物を搭載していた可能性があると明らかにした。
一方、ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は訪問先のカザフスタンで記者団に対し、「機体の残骸を詳しく調べるまでは出所は断定できない」と主張し、ロシア側に調査を委ねるよう求めた。しかし、ルーマニア政府はこれを退け、ロシアの責任追及を続ける姿勢を示した。
ルーマニア空軍は領空侵犯を受けてF16戦闘機2機とヘリコプターを緊急発進させたが、市街地上空での迎撃による二次被害を避けるため、攻撃は実施しなかった。今回の事件を受け、ルーマニア政府はNATOに対し、対ドローン防衛システムの早期配備を要請した。
NATOのルッテ(Mark Rutte)事務総長は「加盟国の領土を守る」と述べ、ロシアの行為を「危険かつ無責任」と非難した。欧州連合(EU)も声明で連帯を表明し、ロシアの攻撃が欧州全体の安全保障を脅かしていると警告した。ルーマニア政府は黒海沿岸に駐在するロシア総領事を国外退去処分とし、外交面でも対抗措置に踏み切った。
ロシアのウクライナ侵攻開始以降、ドローンの破片がルーマニア国内で発見される事例は繰り返されてきたが、民間人が負傷したのは今回が初めてである。ルーマニアでは昨年、領空侵犯した無人機を撃墜可能とする法律が成立したものの、実際の運用には慎重論も根強い。今回の事件はウクライナ戦争がNATO加盟国に直接的な危険を及ぼし始めている現実を改めて浮き彫りにした。
