SHARE:

ブラジル政府、米国による主要犯罪組織の「外国テロ組織」指定を非難

米国は近年、中南米の麻薬組織や越境犯罪組織への圧力を強めている。
2025年10月28日/ブラジル、リオデジャネイロ郊外のスラム街、治安部隊とギャングの構成員(AP通信)

ブラジル政府は29日、米国がブラジルの主要犯罪組織を「外国テロ組織」に指定する方針を示したことに対し、「混乱を招き、逆効果だ」と強く反発した。両国間の治安協力や情報共有に悪影響を及ぼす可能性があるとして、国家主権への干渉だと批判している。

米国務省は28日、ブラジル最大級の犯罪組織「PCC(首都第一コマンド)」と「CV(赤コマンド)」を外国テロ組織および特別指定国際テロリストに指定する方針を発表した。適用は6月5日からで、資金取引の制限や制裁措置の強化につながる見通しだ。両組織は麻薬密売や武器取引、資金洗浄などに深く関与し、近年は中南米各国や米国内にも活動範囲を広げているとされる。

これに対しブラジル大統領府は声明で、「主権や経済を攻撃する口実として外国からの恣意的な措置を受け入れることはできない」と表明した。また、一方的な措置は犯罪対策を弱体化させ、警察当局間の情報共有を損なう恐れがあると警告した。

ルラ政権は以前からこうした指定に慎重な姿勢を示していた。テロ組織認定が将来的な米国の制裁発動や軍事介入の根拠として利用される可能性を懸念しているためだ。ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領は今回の決定について、「失望した」と述べる一方、国内での組織犯罪対策を継続する考えを強調した。

今回の問題はブラジル国内政治にも波紋を広げている。ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領の長男でフラビオ・ボルソナロ(Flávio Bolsonaro)上院議員は今週、ワシントンDCでトランプ(Donald Trump)大統領らと会談し、犯罪組織のテロ指定を要請したと明らかにしていた。これに対しルラ氏は同氏が外国に介入を求めたとして「祖国を裏切った」と主張した。

米国は近年、中南米の麻薬組織や越境犯罪組織への圧力を強めている。今回の措置もその一環とみられるが、ブラジル側は国際協力そのものには前向きな姿勢を示しており、武器密輸や資金洗浄対策では米国との連携を続ける意向を示している。今後は治安対策を巡る協力関係を維持しながらも、主権問題をめぐる両国の対立が外交上の新たな火種となる可能性がある。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします