アルゼンチン畜産業界、輸出拡大見据え生産体制転換、牛肉価格高騰が追い風に
アルゼンチンは世界有数の牛肉生産国であり、国民1人当たりの牛肉消費量も世界最高水準を誇る。
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アルゼンチンの畜産業界が輸出拡大を見据え、生産体制の転換を進めている。世界的な牛肉価格の上昇に加え、ミレイ政権が進めた米国や欧州連合(EU)との新たな通商合意を追い風に、従来よりも重量のある牛を育て、高付加価値の輸出向け牛肉の生産を拡大する動きが広がっている。
アルゼンチンは世界有数の牛肉生産国であり、国民1人当たりの牛肉消費量も世界最高水準を誇る。一方で、これまでの畜産業は国内市場向けを重視してきた。しかし近年は米国、中国、イスラエル、欧州など海外市場からの需要が高まり、輸出産業としての成長期待が高まっている。
ブエノスアイレス近郊で約8000頭の牛を肥育する牧場主のギジェルモ・デル・バリオ(Guillermo del Barrio)さんはロイター通信の取材に対し、「仕事のやり方が大きく変わった」と語った。以前は体重約300キログラムで出荷していた牛を、現在では約550キログラムまで肥育してから出荷しているという。生体牛価格の上昇も、生産者がより長期間肥育を続ける後押しとなっている。
アルゼンチンでは、牛は広大な牧草地で育てられた後、「フィードロット」と呼ばれる肥育施設で数カ月間飼育される。トウモロコシや大豆粕を中心とした高エネルギー飼料を与え、効率的に体重を増やしてから食肉として出荷する仕組みだ。輸出市場では大型牛の需要が高く、体重を増やすことで収益性の向上が期待されている。
業界関係者によると、米国やEUとの通商合意により、関税が引き下げられて輸入枠が拡大し、アルゼンチン産牛肉の輸出環境は大きく改善した。2026年1~5月の対米牛肉輸出額は前年同期比158%増の3億4800万ドルに達し、市場拡大の勢いを示している。
2025年にはペソ高や国内コストの上昇によって輸出が一時落ち込んだものの、2026年は輸出量が前年同期比8%増、輸出額は44.7%増と大きく回復した。市場分析では、今後4年間で輸出量が最大50%増加し、2029~2030年には年間150万トンを超える可能性も指摘されている。
こうした需要拡大を見据え、生産者は繁殖用雌牛をより多く確保し、牛群全体の規模拡大にも取り組んでいる。長年、国内消費を中心に発展してきたアルゼンチンの牛肉産業は、国際市場を重視する輸出型産業へと転換点を迎えている。世界的な需要拡大と新たな貿易環境を背景に、伝統的な「牛肉大国」は輸出競争力の強化を通じてさらなる成長を目指している。
