◎ミゲル・ディアス＝カネル第一書記は12日、共産党の支持者に「抗議者と戦う」よう呼びかけ、ソーシャルメディアで共有されている様々な情報に懸念を表明した。
キューバの現地メディアによると、首都ハバナに集まった数千人の市民が共産党指導部に激しく抗議し、治安部隊と衝突したという。
革命以来、一党独裁体制を維持しているキューバは経済危機の真っただ中にあり、アメリカのドナルド・トランプ前大統領が科した経済制裁とコロナウイルスの感染拡大は食糧と医薬品不足に拍車をかけ、市民の生活に深刻な影響を与えている。
ミゲル・ディアス＝カネル第一書記は12日、共産党の支持者に「抗議者と戦う」よう呼びかけ、ソーシャルメディアで共有されている様々な情報に懸念を表明した。「ソーシャルメディアはキューバに対する悪質なキャンペーンを面白おかしく拡散しています。それがメディアのやり方です。メディアはあなたの心と感情を支配し、不満を生み出すのです...」
抗議者たちは経済崩壊、食糧と医薬品の不足および値上げ、そして政府のコロナ対応に腹を立てている。
AP通信の取材に応じたある抗議者は、「自由と独裁政権の解体」を訴えた。「私たちは恐れていません。逮捕されてもいい。私たちは変化を望んでいます。私たちはこれ以上独裁を望んでいません...」
ロイター通信によると、数十人の反共産党団体が治安部隊と衝突し、逮捕されたという。ソーシャルメディアには治安部隊の兵士が数人の抗議者を殴打し、唐辛子スプレーをかけている写真や動画が共有された。
AP通信のジャーナリスト、ラモン・エスピノサ氏は治安部隊の取り締まりに遭遇し、鼻を骨折した。
ジョー・バイデン大統領は12日の声明で、キューバの抗議者は基本的な権利を主張していると述べた。「アメリカはキューバの国民を支持します。彼らはコロナウイルスがもたらした混乱と、何十年にもわたる権威主義体制の抑圧および経済的苦痛から解放されることを望んでいます。政府は私腹を肥やすのではなく、国民に奉仕しなさい」
ミゲル・ディアス＝カネル第一書記は12日に放送されたテレビ演説の中で、混乱をアメリカのせいにした。アメリカは1962年のキューバ危機以来、様々な方法でキューバに厳しい制裁を科している。
ディアス＝カネル第一書記は、「ハバナの抗議者はアメリカに雇われた傭兵である」と断言し、1959年の革命に思いをはせ、「共産党支持者は外に出てアメリカの傭兵と戦わなければならない」と力強く語った。
「さあ、通りに出て戦うのです、革命家たちよ！」
米国務省の西半球局を率いるジュリー・チョン次官補代理は、「キューバ政府の戦闘の呼びかけに深い懸念を抱いている」とツイートした。
国連のファーハン・ハク副報道官は12日、「国連は表現の自由と平和的な集会の権利を支持する」と述べた。
反共産党抗議は首都ハバナの南西に位置するサン・アントニオ・デ・ロス・バーニョス市から地域全体に広がった。
抗議者たちはソーシャルメディアで現地の様子をライブ配信し、政府と書記長に対する反対スローガンを叫び、人々に抗議に参加するよう呼びかけた。
一部の暴徒化した抗議者たちはパトカーを襲撃し、店舗を略奪したと伝えられている。
抗議に参加した中年男性はAP通信の取材に対し、「私たちは食料品店の行列と食糧不足にウンザリしています」と述べた。
抗議開始から数時間後、共産党支持者たちがキューバの国旗と故フィデル・カストロ議長の旗を掲げて到着し、キューバ革命に賛成するスローガンを叫びながら抗議者やジャーナリストに襲いかかった。
首都に集結した数千人の抗議者は治安部隊の催涙ガス攻撃をかわしながら前進し、さらに圧力をかけた。この時、多くの抗議者が携帯電話で現地の様子をライブ配信していたが、当局は午後、インターネットサービスを停止した。
キューバの経済を支える観光業はコロナの影響で大打撃を受け、荒廃した。また、外貨の稼ぎ手である砂糖の出来も今年は特に悪かった。
砂糖の生産と輸出を管理している国営のアズキューバ社は声明で、「今年の出来は燃料の不足、機械の故障、天候不良、人員不足などの影響で特に悪かった」と述べた。
貿易と観光業がダメージを受けた結果、外貨準備は枯渇し、政府はいつものように商品を輸入できなくなった。
キューバの2020年GDPはコロナウイルスとトランプ前大統領の厳しい経済制裁の影響で11％縮小した。
