カリブ海の島国グレナダで総選挙、ミッチェル首相が再選目指す
今回の選挙では、経済の近代化や医療サービスの改善、若年層の失業対策に加え、英国に対する奴隷制の謝罪と賠償要求も重要な政治課題となっている。

カリブ海の島国グレナダと周辺の島々で5日、総選挙が行われた。ミッチェル(Dickon Amiss Thomas Mitchell)首相率いる与党・国民民主会議(NDC)が政権維持を目指し、2期目を懸けて選挙に臨んだ。今回の選挙では、経済の近代化や医療サービスの改善、若年層の失業対策に加え、英国に対する奴隷制の謝罪と賠償要求も重要な政治課題となっている。
ミッチェル氏は英国による植民地支配と奴隷制の歴史的責任を追及し、正式な謝罪と賠償を求めてきた。カリブ海諸国の指導者らも同様の要求を長年続けており、補償を求める動きが広がっている。ジャマイカは9月、チャールズ英国王(King Charles III)に賠償問題を提起し、その後、英連邦の一部国家などで最終審を担う枢密院司法委員会(JCPC)に案件が付託された。英国政府は謝罪や賠償を一貫して拒否している。
選挙では、NDCのミッチェル氏に対し、デービッド(Charles Peter David)元外相が率いる民主人民運動(DPM)などが対抗した。デービッド氏は雇用創出、医療体制の改善、国内食料生産の強化を公約に掲げた。ミッチェル氏は経済構造の近代化と若年層の雇用拡大を訴え、政権継続への支持を求めた。
投票資格を持つ有権者は約9万7000人。下院の15議席が改選対象で、上院の13議席は任命制となっている。
グレナダは1974年に英国から独立した。1983年には、急進派によるモーリス・ビショップ(Maurice Bishop)首相らの処刑を受け、米国が軍事侵攻した歴史もある。植民地支配の記憶と国際関係が現在の政治にも影響を与える中、今回の選挙は同国の経済政策だけでなく、カリブ海地域の歴史的正義を求める運動の行方を占う機会となった。
