インドネシア、前大統領の出廷に警察・軍7000人動員、盗聴疑惑で政界緊張高まる

今回の事件は、2024年の大統領選でウィドド氏の後押しを受けたプラボウォ氏との政治的亀裂を浮き彫りにしている。
2026年11月5日/インドネシア、首都ジャカルタの裁判所近く(AP通信)

インドネシア当局は5日、ジャカルタ東部地方裁判所で行われたジョコ・ウィドド(Joko Widodo)前大統領の裁判に合わせ、警察と軍の要員6770人を配置した。現職のプラボウォ(Prabowo Subianto)大統領や政府関係者らの電話を違法に盗聴した疑惑を巡り、警察幹部の逮捕が相次ぐ中、政治的緊張が高まっている。政府はジャカルタに2万人以上の軍関係者を動員しており、大規模な警備態勢を敷いた。

ウィドド氏が出廷したのは、大学卒業証書を偽造したとの疑惑を巡る名誉毀損裁判で、盗聴事件とは別の案件だ。同氏は学歴詐称疑惑を否定しており、裁判所前には数百人の支持者が集まった。ウィドド氏は盗聴疑惑について、記者団に対し、捜査の進展を待ち、法的手続きを尊重すべきと述べた。

盗聴疑惑では、ウィドド政権下で国家警察長官を務めたリストヨ・シギット・プラボウォ(Listyo Sigit Prabowo)氏ら警察幹部3人が逮捕された。リストヨ氏は先月、プラボウォ大統領の首席補佐官に任命されたばかりだったが、逮捕翌日に解任された。警察はさらに、盗聴記録の削除を承認した疑いで情報通信技術部門の幹部スラメット・ウリアンディ(Slamet Uliandi)氏を逮捕した。

捜査当局によると、違法な盗聴は2025~26年に行われ、大統領のほか、閣僚、政治家、ジャーナリスト、市民団体関係者、企業経営者らも監視対象になった可能性がある。ウィドド氏自身が関与した証拠は示されていないが、元警察幹部からは指揮系統を含めて同氏への事情聴取も検討すべきとの声が出ている。

今回の事件は、2024年の大統領選でウィドド氏の後押しを受けたプラボウォ氏との政治的亀裂を浮き彫りにしている。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、違法監視が市民の自由を脅かす重大な人権問題になり得ると警告した。

この事件は政権内部の権力闘争に発展する可能性もあり、捜査の行方が注目される。

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