ルラ大統領の再選で米国のブラジル希土類確保に遅れ、国内精製・加工を優先、対中競争にも影響

ブラジルは世界第2位のレアアース埋蔵量を持ち、先端技術、自動車、エネルギー産業に不可欠な資源の供給先として、米中両国が獲得競争を繰り広げている。
ブラジルのルラ大統領(左)とトランプ米大統領(Getty Images)

ブラジルのルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領の再選により、米国が同国の希土類(レアアース)資源への迅速なアクセスを実現する見通しが遠のいている。

ブラジルは世界第2位のレアアース埋蔵量を持ち、先端技術、自動車、エネルギー産業に不可欠な資源の供給先として、米中両国が獲得競争を繰り広げている。

トランプ米政権はルラ氏の対抗馬だった右派のフラビオ・ボルソナロ(Flávio Bolsonaro)上院議員の当選を期待していた。同氏はトランプ(Donald Trump)大統領と近い関係にあり、選挙戦では米国との長期的な戦略的パートナーシップを約束していた。勝利すれば米企業による鉱物資源への投資や採掘が加速するとみられていたが、ルラ氏の再選で政策の方向性が変わった。

ルラ政権はレアアースを原料のまま輸出するのではなく、国内で精製・加工し、製造業や研究開発につなげる方針だ。新設された重要鉱物・戦略鉱物産業化国家評議会(CIMCE)が投資優遇措置や優先事業の選定、海外企業との契約などに関する新たな規制を策定する。制度の詳細は2027年初頭にも示される見通しである。

政府は米国や中国など外国企業の投資を歓迎する一方、現地での加工設備整備や技術移転、研究開発への参加を求める。ルラ氏は外国企業が資源を持ち出すだけでブラジルに利益を残さない、植民地時代のような資源収奪を警戒してきた。

ただし、国内加工産業の育成には技術と巨額の投資が必要で、現在ブラジルで商業生産を行うレアアース鉱山は1カ所にとどまる。米国の関与が排除されるわけではないが、資源の確保だけでなく、現地産業への貢献が投資の条件となる。

今回の選挙結果はレアアースを巡る米中の供給網競争にも影響を与えそうだ。

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